大学関係者・学生の採用試験等に対する認識を把握するため、大学の就職担当の教職員等を対象に個別ヒアリングを行った20。その結果の概要は、以下のとおり。
- 就職先としての公務の安定性・ブランド力には一定の評価があるものの、ワークライフバランスを重視する傾向や親の意向等を受けた転勤忌避(地元志向)の影響により、国家公務員への志望が弱くなっている。
- 採用試験の時期については、学生にとって早めに安心感を得る観点、不合格の場合の次善策をとる時期を確保できる観点から、現行より試験時期が早い方が望ましいとする意見があった。一方で、早くし過ぎることには学業への影響を懸念する観点から否定的な意見があった。
- 文系・理系問わず基礎能力試験への負担感が強い。特に理系では人文・社会科目等の暗記科目に対する抵抗感が大きい。
- 試験対策に要する負担が全体的に重く、採用試験合格のために公務員試験予備校に通うことも負担である。市役所などでSPIと面接だけとするケースも珍しくない中、競合する一般職試験(大卒程度試験)に対する志望度が低下しているのではないか。
- 法律や経済等以外の分野の専門試験があれば、現行より幅広い専攻の学生が受験しやすいのではないか。
- 理系人材は専門に特化した仕事を志向する傾向が強い。
20国家公務員採用試験合格者が多い大学を対象に、2021年10月~12月に個別にヒアリングを実施