第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第3章 多様な人材の確保・育成等

1 人材の確保

(1)効果的な人材確保策の展開

国民に対して引き続き良質な行政サービスを提供していくとともに、能率的で活力ある公務組織を維持していくためには、多様な有為の人材を安定的に確保することが重要である。

平成29年度の人材確保活動及び啓発活動においては、民間企業における採用選考活動やインターンシップなど多様な取組の動向も注視しつつ、各府省等と連携しながら、①女性、②私立大学・地方大学の学生、③専門職大学院生、④技術系の人材、⑤民間人材等対象に応じた人材確保策を展開した。その際、特に国家公務員ならではの魅力の発信について、学生のみならず、進路選択への影響が大きい大学関係者等を含めて、積極的に展開した。

具体的には、公務研究セミナー、国家公務員試験ガイダンス等の業務説明の場や大学懇談会等地方大学とのネットワーク強化のための場を通じて、平成28年度に本院が初めて多角的・包括的に行った職員意識調査において認められた公共への奉仕や仕事を通じた成長実感、上司との信頼関係等の魅力について、学生等にイメージしやすいよう紹介したほか、各府省における働き方改革の取組やワーク・ライフ・バランスの実践例、職業生活への多様な支援等に関する効果的な情報提供を行った。

これらの施策の展開に当たっては、ポスター、パンフレット等の紙媒体とホームページ、メールマガジン、フェイスブック等の電子媒体を効果的に組み合わせ、双方の強みを活かした情報発信を行った。

この結果、総合職試験及び一般職試験(大卒程度試験)の女性の申込者割合及び合格者割合は、いずれも過去最高となった。

(2)採用試験日程の見直し

平成28年度卒業・修了予定者から、民間企業の採用選考活動の開始時期が、2か月繰り上げられたことを踏まえ、国家公務員採用試験の試験日程を見直し、平成29年度の春実施の総合職試験を前年度より1か月程度繰り上げて実施した。

(3)経験者採用試験の充実

経験者採用試験は、民間企業等における有為な勤務経験を有する者を係長級以上の職へ採用することを目的として平成24年度から実施している中途採用試験であり、公務組織における年齢別人員構成の偏りへの対処に資する方策としても有用であると考えられる。平成29年度は、新設の気象庁経験者採用試験(係長級(技術))を加えた7種類の経験者採用試験を実施し、2,636人が受験を申し込み(前年度2,401人)、342人が最終合格した(同297人)。特に、前年度の採用予定数が最も多かった国税庁経験者採用試験(国税調査官級)において、引き続き採用予定数が200人規模となったこともあり、申込者数は1,328人(同964人)、最終合格者数は250人(同223人)となった。

人事院としては、今後とも、各府省と協力して効果的な人材確保策を展開していくとともに、経験者採用試験を活用した民間人材等の着実な採用を各府省に促していくこととする。

○平成29年度に実施された経験者採用試験

  • ・経験者採用試験(係長級(事務))※12府省が採用を予定
  • ・外務省経験者採用試験(書記官級)
  • ・国税庁経験者採用試験(国税調査官級)
  • ・農林水産省経験者採用試験(係長級(技術))
  • ・国土交通省経験者採用試験(係長級(技術))

    ※本省区分及び地方整備局・北海道開発局区分の2区分で実施

  • ・観光庁経験者採用試験(係長級(事務))
  • ・気象庁経験者採用試験(係長級(技術)) ※平成29年度新設

○経験者採用試験実施状況(単位:人)

  24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度
申込者数 1,206 1,492 2,009 1,446 2,401 2,636
最終合格者数 8 38 138 117 297 342
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