第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第3章 多様な人材の確保・育成等

2 人材の育成

(1)行政研修における取組

ア 公務員倫理やマネジメント能力向上に資する科目の充実

人事院が実施する役職段階別の行政研修において、公務員倫理やマネジメント能力の向上について研修員が自ら考え、実践につなげるための機会を提供する科目の充実に取り組んだ。公務員として積極的に採るべき行動の在り方などについて考える、公務員倫理に関する科目については、これまで若年層向け研修である初任行政研修、係員級特別課程、係長級特別課程で実施してきたが、再就職等規制違反事案等も踏まえて、平成29年度は、課長級研修においても実施した。引き続き、各階層を対象とした研修における倫理科目の充実に取り組んでいくこととしている。

イ 初任行政研修の継続的見直し(グローバル化に対応した科目の拡充)

公務運営を取り巻く環境変化、とりわけグローバル化への対応の必要性の高まりを踏まえ、初任行政研修の全コースにおいて、延べ28人の駐日大使館職員を講師として招き、各国の紹介や日本への期待についての講義と、複数のグループに分かれての座談会を英語で行った。また、そのうちの1コースにおいては引き続き、グローバル化を意識したカリキュラム設定を行い、東南アジア諸国政府職員との意見交換や政策ディベートを英語で実施した。

ウ 現場訪問や他機関と連携したカリキュラムの充実

初任行政研修においては、平成28年までの被災地復興支援プログラムを「被災地復興・地方創生プログラム」として拡充し、新たに地方創生に関する活動を行う団体等への派遣を行った。また、一部研修員を障がい者の就労支援を行うNPO法人に派遣した。さらに、係員級特別課程研修において、東日本大震災の被災地である福島県南相馬市で活動するNPO法人への現場訪問を主軸にした研修コースを初めて実施した。

また、将来の本府省幹部職員として行政運営の中核を担うことが期待されている者を対象とする課長補佐級リーダーシップ研修においては、在京外国大使館や地方自治体と連携した実地訪問型のカリキュラムに加え、平成29年度は初の試みとして、東京大学が、将来の組織の幹部を主たる対象に、全人格的な総合能力を形成させる「唯一無二」の「場」を提供することを目的として平成20年から開講している「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)」との共同プログラムを実施した。

(2)テーマ別の研修等における取組

ア 管理者の人材育成に関する意識の醸成

管理職員による人材育成を促進・支援するため、本府省課室長級職員を対象に、部下の能力発揮等の向上に取り組む際に管理者として心得ておくべきポイント等を理解し、参加者同士の経験共有や意見交換を通じて相互に啓発し合う機会を提供するパーソネル・マネジメント・セミナーについて、カリキュラム内容を時宜に即したものに再構築するとともに、開催回数も増加させて研修機会の確保に努めた。

イ ハラスメント防止研修指導者養成コースの実施

従前のセクシュアル・ハラスメント防止研修の指導者養成研修を、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント防止の人事院規則制定を契機に、パワーハラスメントを含めハラスメント全般の防止を目的とした研修の指導者養成研修として再構築した。

ウ キャリア形成支援に資する取組

平成28年度に実施した職員意識調査の結果を踏まえ、キャリア形成に関する不安の解消を図り職務や能力開発への意欲を高めることを目的とした研修の開発を進めた。また、職員の職場環境への円滑な適応、能力開発・専門性習得等のキャリア形成、仕事と生活の両立等に向けたメンター制度の活用に資するよう、各府省における好事例も取り入れつつ、メンター制度の実施に必要な検討事項等を実施の流れに沿って記載した「メンター制度の実施の手引き」(平成30年2月2日付人材局企画課長通知)を各府省等宛に発出した。

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