II種・III種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針について
(平成11年3月19日任企―73)
(人事院事務総長発)
「II種・III種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針」を別添のとおり定めましたので、通知します。
貴省庁においては、II種・III種等採用職員の幹部職員への登用の推進の必要性を十分にご理解いただき、この指針に基づいて、II種・III種等採用職員のうち意欲と能力のある優秀な者の早い時期からの選抜、計画的育成に努め、II種・III種等採用職員の幹部職員への登用を着実に推進していただくようお願いします。
別添
II種・III種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針
1 登用の基本的考え方
公務の一層の活性化を図るためには、能力・適性に基づく人事管理を徹底していく必要があり、その一環として、意欲と能力のある優秀なII種・III種等採用職員の幹部職員への登用を一層推進していくことが重要である。
II種・III種等採用職員の幹部職員への登用を着実に推進していくためには、各省庁において、II種・III種等採用職員のうち意欲と能力のある優秀な者を早い時期から選抜し、計画的に育成していくことが肝要である。
2 選抜の実施
各省庁は、その実情に応じ、次に掲げる評価の方法の中から各省庁がその実情に応じて選択した1又は2以上の方法により、II種・III種等採用職員のうち意欲と能力のある優秀な者で幹部登用に向けて計画的に育成しようとするもの(以下「計画的育成者」という。)の選抜を行うこと。
(1) 人物試験、論文試験等による競争的選考による評価
(2) 官房人事担当部局以外の局の課長等を含む委員により構成される評価委員会による評価
(3) 選抜に活用できる特定の研修の受講成績等に基づく評価
(4) 特定ポストにおける上司等による多角的な勤務実績等の評価
(5) 相当期間にわたる勤務評定その他これに準ずる客観的な能力評価手続による勤務実績等の評価の蓄積に基づく評価
(6) 上記(1)~(5)の方法以外の人事院と協議して定めた方法による評価
また、職員を選抜するための評価を行うに当たっては、必要に応じ、別紙「選抜のための共通の評価基準モデル」を参考とすること。
3 計画的な育成
(1) 多様な経験等を通じての育成
計画的育成者については、各省庁の実情に応じ、次のような多様なポスト経験や研修等を通じての計画的な育成に努めること。
① 特定分野の専門的ポストのみではなく、企画・立案的ポスト等への配置を含む幅広いポスト経験
② 他省庁、地方支分部局、地方公共団体、国際機関、民間企業等での勤務経験
③ 人事院及び各省庁で実施している海外研修を含む研修
(2) 行政研修(係長級・課長補佐級特別課程)の受講等
① 行政研修(係長級・課長補佐級特別課程)の受講
人事院は、係長級段階及び課長補佐級段階における計画的育成者について、将来の幹部要員として必要な知識・能力等の向上を図る観点から、それぞれの段階における計画的育成者が受講する行政研修(係長級特別課程)及び行政研修(課長補佐級特別課程)を実施すること。各省庁は、計画的育成者について、その段階に応じた研修を受講させるよう努めること。
② 研修受講者の能力・適性に関する評価
各省庁は、人事院が①の研修を活用して省庁横断的な視点から行う当該研修受講者の能力・適性に関する評価を、当該研修受講者のその後の計画的育成に当たって参考にすること。
(3) 計画的育成に係る人事管理
(1)の計画的な育成を行うため、各省庁は、計画的育成者の人事管理について、官房人事担当部局等においてI種採用職員の人事管理と調整しつつ、一元的に人事運用を行うこと。また、一元的な人事運用を直ちに実現することが困難な省庁においては、将来的には一元的に人事運用を行う方向で、これらの職員の計画的な育成に支障がないような人事管理上の工夫をすること。
4 着実な登用促進のための方策
(1) 育成計画の基本方針の策定
各省庁は、この指針を踏まえ、登用の基本的考え方、選抜の実施(例えば、計画的育成者を選抜する際の評価の方法等)、計画的な育成方針(例えば、多様なポスト経験や研修を通じての計画的な育成についての方針等)その他必要な事項を盛り込んだ育成計画についての基本方針を策定すること。
(2) 研修受講後のフォローアップ
研修受講者については、その後の人事配置、昇任等の状況に関し、人事院において継続的な把握を行い、各省庁との間で緊密な連携を保ちつつ、登用の着実な推進を図っていくこと。
(3) 連絡協議会(仮称)による情報交換等
II種・III種等採用職員の幹部職員への登用状況、研修の受講状況等に関する情報交換等の場として連絡協議会(仮称)を定期的に開催すること。
(4) 登用状況の公表
II種・III種等採用職員の幹部職員への登用状況、登用に対する各省庁の取組み状況等については、人事院において、必要に応じ公表すること。
5 その他
各省庁は、年齢等によりこの指針による計画的育成者として行政研修(係長級・課長補佐級特別課程)を受講することができない職員についても、能力・適性についての評価を適切に行い、意欲と能力のある優秀な者の積極的な育成や幹部職員への登用の推進に努めること。
以 上
選抜のための共通の評価基準モデル
(HTML形式による表示上、正しいレイアウトとなっていません。 PDFも御参照ください。)
(1) 事務処理能力
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(2) 対人的能力
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(3) 情意的能力
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(4) 知識・識見
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※ 評価基準モデルの活用に当たって
I 評価基準の位置付け
この「評価基準」は、各省庁のII種・III種等採用職員の幹部職員への登用を促し支援する観点から、各省庁が早期選抜を行う際に参考とすることができるよう策定したものである。
II 評価基準の活用方法
この基準によって評価しようとする能力は、幹部登用に向けて計画的に育成しようとするにふさわしい者として、採用後の早い時期において求められる能力である。
この能力を客観的に評価するために、(1)事務処理能力、(2)対人的能力、(3)情意的能力、及び(4)知識・識見の4つの観点(能力)から、評価基準として、評価要素と評価の際の着眼点を示すこととした。実際の活用に当たっては、着眼点として示した行動例を参照しながら、評価要素について評価を行うこととする。
1 評価要素
評価を行う際の基準として、本省庁課長級以上の管理的なポスト(特に企画・立案、政策決定に関与し得るポスト)において求められる能力を念頭に置き、期待されるこれからの公務員像も考慮して、具体的に①を示し、更にその内容を明確にするために、①を分析し細分化した②を示すこととした。
2 着眼点
上記1の①及び②について、実際に評価を行う時点(係長クラス及び課長補佐クラス)において求められる能力を明らかにするとともに、評価を容易にし評価の客観性を高めるために、具体的に着眼点を示すこととした。
3 参考
上記1、2により評価を行う際の参考として、将来、本省庁課長級以上の管理的なポストにおいて求められる能力(計画的育成により身に付くことが期待される能力)も示すこととした。
III 評価を行う際の留意点
この基準においては、選抜のための評価の際に重要又は必要と考えられる評価要素及び評価の際の着眼点のうち、各省庁に共通すると考えられるものを示している。したがって、実際の活用に際しては、各省庁の実情に応じて、新たな評価要素や異なる着眼点の追加、評価のウエート付け等を行うことが必要である。