給与簿等の取扱いについて(通知)

(昭和60年12月21日給実甲第576号)

(人事院事務総長発)

最終改正:令和4年2月18日事企法―37

 

 人事院規則9―5(給与簿)(以下「規則」という。)に規定する給与簿等の取扱いについて下記のとおり定めたので、昭和61年1月1日以降は、これによってください。

 なお、これに伴い「給与簿様式等の特例の承認について(昭和49年11月25日給2―125)」は廃止します。

 

 

第1 用語の定義

  この通達において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 超勤代休時間 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号。以下「勤務時間法」という。)第13条の2第1項に規定する超勤代休時間をいう。

 二 年次休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇及び介護時間 それぞれ勤務時間法第16条に規定する休暇をいう。

 三 就業禁止期間 人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)第24条第2項又は人事院規則10―8(船員である職員に係る保健及び安全保持の特例)第7条第1項の規定により業務に就くことを禁止された期間をいう。

 四 短従許可期間 人事院規則17―2(職員団体のための職員の行為)第6条第1項に規定する許可(第8号において「短従許可」という。)を受けて職員団体の業務に従事する期間をいう。

 五 育児時間 国家公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第109号)第26条第1項に規定する育児時間をいう。

 六 勤務時間を割く兼業 国家公務員法(昭和22年法律第120号)第103条第2項の規定による承認、同法第104条の規定による許可、ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成20年法律第82号)第11条の2第1項の規定による承認又は矯正医官の兼業の特例等に関する法律(平成27年法律第62号)第4条第1項の規定による承認を得て勤務時間法第13条第1項に規定する正規の勤務時間(以下「正規の勤務時間」という。)を割くことをいう。

 七 勤務時間内法科大学院派遣法第4条派遣 正規の勤務時間において法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律(平成15年法律第40号)第4条第3項の規定による派遣により勤務しないことをいう。

 八 欠勤 正規の勤務時間中に勤務しないために給与を減額される場合(介護休暇、介護時間、短従許可、育児時間、勤務時間を割く兼業又は勤務時間内法科大学院派遣法第4条派遣の場合を除く。)をいう。

 

第2 出勤簿

 1 出勤簿は、各職員ごとに作成し、勤務時間管理員がこれを管理するものとする。

 2 出勤簿には、職員(一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成9年法律第65号)第8条の規定の適用を受ける職員を除く。)が定時までに出勤したことを証するために必要な記録を適宜の方法で自ら行い、勤務時間管理員は各職員の年次休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇、介護時間、就業禁止期間、短従許可期間、育児時間、勤務時間を割く兼業、勤務時間内法科大学院派遣法第4条派遣及び欠勤の日数及び時間数並びにその他必要とする事項をその都度記入し、人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第6条第2項に規定する週休日の振替等、勤務時間法第13条の2第1項の規定に基づく超勤代休時間の指定及び勤務時間法第15条第1項の規定に基づく休日の代休日の指定については、その都度その旨を表示するものとする。

 3 勤務時間管理員は、職員ごとにその年に使用することができる年次休暇の日数を、あらかじめ出勤簿に記入するものとする。

 4 勤務時間管理員は、職員が転出した場合には、出勤簿に基づき、当該職員の当該給与期間における当該転出の日の前日までの勤務時間法第6条第1項に規定する週休日の日数、当該転出後の昇給又は勤勉手当の額の算定に際しその者の勤務成績を判定する対象となる期間中の病気休暇、介護休暇、介護時間、就業禁止期間、短従許可期間、育児時間、勤務時間を割く兼業及び欠勤の日数及び時間数、その年において使用した年次休暇の日数及び時間数並びにその他必要とする事項について、これを文書で給与事務担当者に報告するものとする。

 

第3 勤務時間報告書

 1 勤務時間報告書には、その給与期間につき、次に掲げる事項をそれぞれ転記し又は記入する。

  一 超過勤務等命令簿に記載されている超過勤務、休日給の支給される日の勤務及び夜間勤務については、それぞれの勤務に対する手当の支給割合別の合計時間数、宿日直勤務については、その支給額区分別の回数(人事院規則9―15(宿日直手当)第1条第3号に掲げる勤務及び同条第4号に掲げる勤務のうち同条第3号に掲げる勤務と同様の勤務にあっては、勤務日数)、超勤代休時間にした勤務については、当該勤務の当該超勤代休時間の指定に代えられた超過勤務手当の支給に係る超過勤務の時間の属する年月別の合計時間数並びに一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。以下「給与法」という。)第16条第4項に規定する減じた割合及び当該年月別の合計時間数

  二 管理職員特別勤務手当整理簿に記載されている管理職員特別勤務手当の支給に関し必要な事項

  三 出勤簿に記載されている介護休暇、介護時間、短従許可期間、育児時間、勤務時間を割く兼業、勤務時間内法科大学院派遣法第4条派遣及び欠勤の時間数

  四 特殊勤務手当整理簿に記載されている特殊勤務手当の支給に関し必要な事項

  五 超勤代休時間の指定に関する記録に記載されている超勤代休時間の時間数及び給与法第16条第4項に規定する減じた割合別の当該超勤代休時間の指定に代えられた超過勤務手当の支給に係る時間数の合計時間数

  六 国際平和協力手当に関する記録に記載されている支給額別の日数

  七 前各号に掲げるもののほか職員の給与計算に関し必要な事項

 2 勤務時間報告書に記入する事項のない職員については、その記入を省略することができる。ただし、全職員について記入する事項がない場合には、その旨を記載する。

 3 給与期間の中途において俸給の月額、これに対する地域手当、広域異動手当若しくは研究員調整手当の月額、管理職員特別勤務手当の額又は特殊勤務手当の額に異動を生じた場合には、勤務時間報告書に第1項第1号から第5号までに掲げる項目ごとの当該異動の前後別に時間等を区分して記入する。

 4 超勤代休時間に勤務した場合においては当該超勤代休時間の指定に代えられた超過勤務手当の支給に係る超過勤務の時間の属する年月を、次に掲げる場合においてはその旨をそれぞれ勤務時間報告書に備考として記入する。

  一 当該給与期間中の勤務を要する全時間が、介護休暇、短従許可期間、勤務時間を割く兼業又は欠勤であった場合

  二 以前の給与期間に関する勤務時間報告書に欠勤として記載された時間につき、人事院規則15―14第27条第1項ただし書の規定により、後日休暇の承認を得た場合

  三 前項に定める取扱いをした場合

  四 給与法附則第6項の規定により俸給が半減されることとなった場合

  五 人事院規則9―7(俸給等の支給)第7条の規定により俸給の特別調整額、本府省業務調整手当若しくは専門スタッフ職調整手当が支給されないこととなった場合又は人事院規則9―24(通勤手当)第20条の規定により通勤手当が支給されないこととなった場合

 5 課係等の長が、規則第4条の証明を行うに当たっては、勤務時間報告書が正確かつ適法であることを確認し、当該勤務時間報告書にその旨を示すものとする。

 

第4 職員別給与簿

 1 職員別給与簿の様式は、別表第1のとおりとする。

 2 規則第7条に規定する人事の事務を担当する者(以下「人事事務担当者」という。)は、職員について次に掲げる事項に異動があったときは、その都度文書で給与事務担当者に通知しなければならない。

  一 氏名

  二 住所

  三 所属部局課係

  四 発令事項(発令日付、異動の内容)(併任されている官職の業務に専ら従事することを命じたことを含む。)

  五 俸給の特別調整額、本府省業務調整手当、初任給調整手当、専門スタッフ職調整手当、扶養手当、地域手当、広域異動手当、研究員調整手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、在宅勤務等手当、特殊勤務手当、特地勤務手当(給与法第14条の規定による手当を含む。)、管理職員特別勤務手当、期末手当、勤勉手当及び国際平和協力手当並びにその他法令の規定により支給される給与に関する事項(支給率、手当額、支給開始年月日、変更年月日等)

  六 国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)又は地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)に基づく職員の属する共済組合名及び掛金率並びに厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)に基づく保険料率

 3 前項の通知文書は、給与事務担当者が保管するものとする。

 4 給与事務担当者は、人事事務担当者からの通知等に基づき、職員別給与簿(その1)の各欄に記入するものとする。

 5 給与事務担当者は、勤務時間管理員からの報告等に基づき、職員別給与簿(その2)の各欄を記入するものとする。

 6 給与事務担当者は、職員が転出した場合には、職員別給与簿の写し及びこの通達の第2第4項に定める勤務時間管理員からの報告の文書(月の中途で職員が転出した場合にあっては、当該写し、当該文書及び超過勤務等命令簿の写し)を転出先の給与事務担当者に送付しなければならない。

 7 給与事務担当者は、転出した職員について、給与法その他の法令の規定により支給される給与の追給又は返納があった場合には、その都度追給又は返納の額その他必要な事項を文書で転出先の給与事務担当者に通知しなければならない。

 

第5 基準給与簿

 1 基準給与簿の様式は、別表第2のとおりとする。

 2 給与事務担当者は、職員別給与簿に記載されている事項を基準給与簿に転記するものとする。

 3 規則第10条の規定による証明は、課係等の長が、基準給与簿の記録計算が正確かつ適法であることを確認し、最後の葉の欄外に、その旨を示すことにより行うものとする。

 4 給与事務担当者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める文書を基準給与簿に添付して保管するものとする。

  一 規則第13条の2第1項後段に該当する場合 給与期間、現金支給額及び受領年月日を記載した受領証

  二 規則第13条の2第2項に該当する場合 給与期間、振込額、振込先金融機関等の名称及び振込年月日を職員別に記載した振込みに係る文書

 

第6 給与支給明細書

  給与支給明細書の様式は、別表第3のとおりとする。

 

第7 委員、顧問、参与等の非常勤職員の特例

  給与法第22条第1項の規定に該当する非常勤職員の出勤簿及び給与簿の記入については、次に掲げる取扱いをすることができる。

  一 出勤簿関係 勤務時間管理員は、職員の出欠を調査し、その記録を作成する。

  二 勤務時間報告書関係 勤務した日数を出勤簿から転記する。

  三 職員別給与簿関係 1日当たりの手当額及び職員が勤務した日数を記入する。

 

第8 給与簿の検査に係る調書等

   給与簿の検査は、次に掲げる調書等により確認して行うものとする。

   一 初任給決定調書

     次に掲げる事項その他の初任給の決定の過程を明らかにするために必要と認められる事項を記載したもの

    イ 決定した職務の級及び号俸(俸給月額をもって定められている場合はその額。以下同じ。)

    ロ 学歴又は資格及び卒業又は資格取得の年月日

    ハ 学歴免許等の資格又は経験年数による調整の過程

   二 俸給表異動等に伴う再計算調書

     次に掲げる事項その他の俸給表異動等に伴う俸給月額の調整の過程を明らかにするために必要と認められる事項を記載したもの

    イ 俸給表異動等の時期

    ロ 異動前の俸給表、職務の級及び号俸

    ハ 異動後の俸給表、職務の級及び号俸

   三 昇給に係る決定調書

     人事院規則9―8(初任給、昇格、昇給等の基準)第34条に規定する昇給日において職員を昇給させなかった場合又は職員の昇給区分(同規則第37条第1項に規定する昇給区分をいう。以下同じ。)をD若しくはEに決定した場合における次に掲げる事項その他の昇給させるか否か及び昇給させる場合の昇給の号俸数の決定の過程を明らかにするために必要と認められる事項を記載したもの

    イ 昇給させるか否か及び昇給させる場合の昇給の号俸数

    ロ 昇給前の職務の級及び号俸

    ハ 昇給後の職務の級及び号俸

    ニ 昇給させなかった事由又は昇給区分をD若しくはEに決定した事由

   四 復職時調整調書

     次に掲げる事項その他の復職時等の調整の過程を明らかにするために必要と認められる事項を記載したもの

    イ 復職等の日における職務の級及び号俸並びにこれらの発令年月日

    ロ 休職等の始期及び終期並びに休職等の事由(2以上の異なる事由による休職等の期間を含む場合は、それぞれの事由別に始期及び終期を記載する。)

    ハ 調整換算率及び実際に換算して得た調整期間

    ニ 復職時調整の時期

    ホ 復職時調整後の職務の級及び号俸

   五 在職者調整調書

     次に掲げる事項その他の俸給月額の決定基準の改正等に伴う在職者の俸給月額の調整の過程を明らかにするために必要と認められる事項を記載したもの

    イ 在職者調整の時期

    ロ 調整前の職務の級及び号俸

    ハ 調整後の職務の級及び号俸

   六 俸給の切替調書

     次に掲げる事項その他の改正給与法の施行に伴う俸給月額の切替えの過程を明らかにするために必要と認められる事項を記載したもの

    イ 切替前における職務の級及び号俸

    ロ 切替後における職務の級及び号俸

   七 扶養手当認定簿、住居手当認定簿、通勤手当認定簿及び単身赴任手当認定簿並びにこれらの関係書類

   八 その他給与の適正な決定及び支給のために作成した調書等

 

第9 給与簿様式の特例等

 1 各庁の長又はその委任を受けた者は、給与計算に関する事務の必要上、給与簿の様式等についてこの通達によることが困難な場合には、あらかじめ事務総長の承認を得て、この通達の規定と異なる定めをすることができる。

 2 職員別給与簿、基準給与簿及び給与支給明細書の様式について、前項の定めをする必要がある場合においては、当分の間、その定めによる様式の改定が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の規定による事務総長の承認があったものとして取り扱うものとする。

  一 様式中の各欄の配列を変更すること。

  二 様式中の各欄のうち当該様式を使用する官署において記入することがない欄若しくは記入することが極めてまれである欄を省略すること又は様式中の各欄以外の欄を必要に応じて設定すること。

  三 様式中の各欄の名称を適宜簡略化すること又は各記入欄ごとに各欄の名称を付すること。

 3 前項の規定により事務総長の承認があったものとして取り扱った場合には、改定後の様式並びにその様式を使用する官署名、対象職員数及び使用開始年月日を文書により、当院給与局給与第二課長宛て速やかに報告するものとする。

 4 職員別給与簿、基準給与簿及び給与支給明細書は、当分の間、従前の様式のものによることができる。

 5 給与簿の記入に当たって誤記を使用した場合には、その部分に二線を引き、誤記の訂正をした者を確認することができるようにするものとする。

 

以   上

 

別表第1

別表第2

別表第3

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