人事院規則10―5(職員の放射線障害の防止)等の改正に関する留意事項について
(平成13年3月27日勤職―80)
(人事院事務総局勤務条件局職員課長発)
 
 このたび、人事院規則10―5(職員の放射線障害の防止)及び同規則の運用(昭和38年12月3日職厚―2327人事院事務総長通知)が一部改正され、平成13年4月1日から施行されるところですが、この実施に当たっては、下記事項に留意の上、放射線の安全管理に万全を期すよう貴管下各機関に御周知ください。
 なお、「放射線に被ばくするおそれのある業務に係る特別定期健康診断の検査項目の省略について」(平成元年3月15日職福―96人事院職員局福祉課長通知)は、廃止します。
 
 
1 規則の改正概要
  規則における主な改正事項は別紙のとおりであるが、次に掲げる事項については、平成12年10月23日に公布された放射線障害防止法関係法令(放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する施行規則(昭和35年総理府令第56号)及び放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成12年科学技術庁告示第5号)をいう。)の規定と異なっているので、これらの対応等に当たっては特に留意するものとする。
 (1) 女子に係る線量限度を適用する者の範囲
 (2) 妊娠中の女子に係る線量限度の適用期間
 (3) 女子に係る内部被ばくの測定期間
 (4) 健康診断の実施等
2 留意事項
  今回の規則及び同規則の運用の改正は多岐にわたっていることから、関係職員に対し、改正内容のみならず次に掲げる留意点についても周知徹底を図るとともに、必要な措置等を講じるものとする。
 (1) 管理区域等に係る放射線障害防止法関係法令への適合確認等
   本改正規則では、その附則において既設の管理区域に関して経過措置が設けられている(平成15年3月31日まで)が、放射線障害防止法関係法令に基づく承認等を受けている既存の放射線施設については、平成12年10月23日付け科学技術庁原子力安全局放射線安全課長通知「国際放射線防護委員会の勧告(ICRP Pub.60)の取り入れ等による放射線障害防止法関係法令の改正について(通知)」(以下「科学技術庁通知」という。)に基づき、同法令への適合状況の確認等を行うとともに、新基準に適合しない場合は、経過措置期間中に所要の措置をとるものとする。
   なお、科学技術庁通知の内容については、前記1の放射線障害防止法関係法令との相違点を除き本規則の改正趣旨と同内容であるので、その実施に当たっては、科学技術庁通知にも留意して対応するものとする。
 (2) 測定
  ア 「放射線測定器」への用語統一に伴う対応
    職員の量線の測定は、従来どおり身体に装着する個人線量計を用い、これによる測定が困難な場合に限り、場所の測定に用いる機器により測定する。
  イ 女子の内部被ばくの測定
    当該測定は従来1月ごとであったが、妊娠中の女子及び1月に受ける実行線量が1.7ミリシーベルトを超えるおそれのある女子を除き、3月ごとに行う。
  ウ 測定結果に基づく実行線量等の算定
    算定は、従来どおり放射線障害防止法関係法令に基づき行うことになるが、当該法令における関係規定の改正等が行われているので、上記(1)の科学技術庁通知を参照の上対応する。
 (3) 記録 
  ア 累積実効線量の記録等
    放射線業務に従事する職員について、5年間(平成13年4月1日以後5年ごとに区分した各期間)の線量限度が設けられたことに伴い、1年間(年度)についての実効線量が20ミリシーベルトを超えた場合は、年度ごとの実効線量の合計(累積実効線量という。)を毎年度集計し、記録し、当該累積実効線量を他の線量と併せて当該職員に通知する。
  イ 記録の保存
    本規則に基づき作成する記録は、①エックス線装置等の定期検査の記録、②職員の線量(上記アの累積実効線量を含む。)の測定結果等の記録、③管理区域の線量当量率等の測定結果等の記録であるが、これらの保存については、人事院規則1―34(人事管理文書の保存期間)に定める期間保存する。
 (4) 健康診断の実施等
  ア 採用時又は配置前に行う健康診断
    原則として全部の検査項目について実施する。
    なお、眼の検査の省略の基準等については、別途示す予定である。
  イ 特別定期健康診断
    6月ごとに1回実施するものとし、被ばく経歴の評価(問診)以外の検査項目の実施の要否は、次に掲げるところによるものとする。
   (ア) 前年度の実効線量が5ミリシーベルト未満で、かつ、当該年度の実効線量が5ミリシーベルトを超えるおそれのない職員
     → 医師が必要と認める検査項目に限り行う。
   (イ) 上記以外の職員
     → 医師が必要でないと認める検査項目について省略できる。
   上記のとおり検査の実施の可否は、医師が問診によって判断することから、当該健康診断に当たっては、医師に対し受診対象者の作業条件、被ばく状況等十分な情報を提供する必要があることに留意する。
 (5) 放射線障害防止管理規程の変更及び届出
   本規則等の改正内容を踏まえ、所要の改正を速やかに行い、4月末日までに人事院(職員課)に届け出るものとする。
   なお、本規則は独立行政法人には適用されないので改正に当たっては注意する。
 (6) 教育の実施
   国の放射線施設については、本規則(運用通知を含む。)のほか、防止法関係法令、医療法等が適用されることから、この改正を機に各機関の実情に応じ、これら法令等((5)の防止管理規程を含む。)の改正内容を含めて、放射線業務従事者、安全管理担当者、その他関係職員に対する教育を実施し、放射線障害の防止に努めるものとする。
3 その他
  本規則の改正に伴い、健康及び安全管理に関する事項等を定めた関係人事院規則等について、次のとおり所要の改正が行われる。
 (1) 人事院規則1―34(人事管理文書の保存期間)
   別表規則10―5の項
 (2) 人事院規則10―4(職員の保健及び安全保持)の運用について(昭和62年12月25日職福―691人事院事務総長通知)
  ア 別表第3関係第1項の「放射線に被ばくするおそれのある業務」の定義
  イ 別紙第4の記入要領(健康管理手帳交付申請書関係)
  ウ 別紙第5の様式及び記入要領(定期健康診断等の報告書関係)
 
以   上
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