人事院規則10―5(職員の放射線障害の防止)等の改正に関する留意事項について
(令和2年12月22日職職―347)
(人事院事務総局職員福祉局職員福祉課長発)
 
 この度、人事院規則10―5(職員の放射線障害の防止)及び同規則の運用通知(昭和38年12月3日職厚―2327人事院事務総長通知)の一部が改正され、令和3年4月1日から施行されるところですが、この実施に当たっては、下記事項に留意の上、放射線障害防止に万全を期すよう貴管下各機関にも御周知ください。
 
 
(改正内容)
 眼の水晶体の線量限度の変更について、放射線審議会から平成30年3月2日付け意見具申を受けたため、放射線障害防止の技術的基準に関する法律(昭和33年5月21日法律第162号)第6条に基づき、令和元年12月23日に同審議会へ諮問し、次の改正を行ったものである。
1 放射線業務従事職員の眼の水晶体に受ける等価線量の限度は、5年間ごとに区分した各期間につき100ミリシーベルト、かつ、1の年度につき50ミリシーベルトに変更したこと
2 眼の水晶体の等価線量を正確に算定するため、規則第5条第2項に規定する外部被ばくによる線量の測定について、3ミリメートル線量当量の測定を追加したこと
3 眼の水晶体の等価線量を算定するための線量の測定は、眼の近傍(両眼からの距離ができるだけ近い位置であって、かつ、両眼で受ける線量が最も高い位置から当該線量と有意な線量(率)勾配がないと判断できる位置までの範囲をいう。)その他の適切な部位について測定することを追加したこと
4 放射線業務従事職員が眼の水晶体に受ける等価線量について、5年ごとの累積等価線量を記録することを追加したこと
5 各省各庁の長は、眼の水晶体の等価線量を測定された職員に対し、その記録後、速やかに当該期間中の累積等価線量を知らせなければならないことを追加したこと
6 この運用通知の改正は、公布の日から施行し、令和3年4月1日から適用すること
 
(留意事項)
次に掲げる留意事項についての周知徹底を図り、従前の取扱いに加えて、必要な措置を講ずるものとする。
 1 眼の水晶体の線量の測定(※)
⑴ 医療分野において、線源の位置関係や防護策の種類によって不均等被ばくとなる場合の測定については、体幹部の基本部位に加え、頭頸部で測定し、実効線量及び水晶体における等価線量を算定するものとする。
⑵ 頭頸部の測定において、過小評価又は過大評価となるおそれのある場合にあっては、眼の近傍(頭頸部のうち、眼の水晶体が受ける放射線量を直接測定するために適切な位置であって、かつ、両目で受ける線量が最も高い位置から当該線量と有意な線量(率)勾配がないと判断できる位置までの範囲)における測定を追加することができる。
⑶ 眼の近傍において線量計を装着する場合は、両眼からの距離ができるだけ近い位置に装着するものとする。
※ 別紙「眼の水晶体の等価線量算定のための手順」(出典:「眼の水晶体の線量モニタリングのガイドライン)一般社団法人日本保健物理学会)。
 
 2 測定結果に基づく実効線量等の算定
⑴ 線量等の算定は、放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則(昭和35年総理府令第56号)及び放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成12年10月23日号外科学技術庁告示第5号、最終改正:令和元年6月1日原子力規制委員会公示第1号)等の関係法令(以下「公示第1号等」という。)に基づき行うものとする。
⑵ 個人の外部被ばく線量の測定方法として3ミリメートル線量当量が可能となったこと及び眼の水晶体の等価線量を算定する方法としても3ミリメートル線量当量が可能となったことに対応できることとする。
 
3 線量の記録
⑴ 累積等価線量の記録
  1年間(年度)についての眼の水晶体に受ける等価線量が20ミリシーベルトを超えた場合は、眼の水晶体に受ける等価線量の合計(累積等価線量という。)を毎年度集計及び記録し、累積等価線量を他の線量と併せて当該職員に通知することとする。
⑵ 記録の保存
  本規則に基づき作成する記録は、①エックス線装置等の定期検査の記録、②職員の線量(累積実効線量及び累積等価線量を含む。)の測定結果等の記録、③管理区域の線量当量率等の測定結果等の記録であり、これらの保存については、人事院規則1―34(人事管理文書の保存期間)に定める期間保存するものとする。
 
4 その他の留意点
⑴ 特別定期健康診断の実施の要否
  眼の水晶体に受ける等価線量が継続的に1年間に20ミリシーベルトを超 えるおそれのある職員については、検査の項目のうち白内障に係る眼の検査についての省略は認めないことを適当であるものとする。
⑵ 放射線障害防止管理規程の変更及び届出
  本規則等の改正を踏まえ、速やかに各機関における放射線障害防止管理規程についての所要の改正を行うものとし、令和3年3月末までに人事院(職員福祉課)に届け出るものとする。
  なお、本規則等は独立行政法人には適用されないため、改正に当たっては注意するものとする。
⑶ 教育の実施
  各機関における放射線施設については、本規則等のほか、公示第1号等及び医療法施行規則等が適用されることから、今回の改正を機に各機関の実情に応じ、これら法令(各機関が作成する放射線障害防止管理規程を含む。)の改正並びに医療放射線防護連絡協議会その他関係団体が作成する「医療スタッフの放射線安全に係るガイドライン~水晶体の被ばく管理を中心に~」等を周知するなど放射線業務従事職員及び安全管理担当者その他関係職員に対する教育を実施し、放射線障害の防止に努めるものとする。
⑷ 解釈等に関する注意点
  放射業務従事職員の線量管理(国の機関の場合は、医療法施行規則及電離放射線障害防止規則における経過措置適用者(遮蔽その他の適切な放射線防護措置を講じても、なおその眼の水晶体に受ける等価線量が5年間につき100ミリシーベルトを超えるおそれのある医師であって、その行う診療に高度の専門的な知識経験を必要とし、かつ、そのために後任者を容易に得ることができないもの)とならないこと)については、特に注意するものとする。

(施行及び適用)
この通知は発出の日から施行し、令和3年4月1日から適用する。
以   上
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