腰痛に関する公務上の災害の認定について
(昭和52年1月25日職補―34)
(人事院事務総局職員局長発)
 
最終改正:令和元年5月17日職補―5
 
 標記については、昭和52年1月25日以降、下記によつてください。
 
 
1 災害性の原因による腰痛の認定関係
  公務上の負傷(急激な力の作用による内部組織の損傷を含む。以下同じ。)に起因して発症した腰痛で、次の(1)及び(2)に掲げる要件のいずれをも満たし、かつ、医学上療養を必要とするものは、人事院規則16―0(職員の災害補償)(以下「規則16―0」という。)別表第1第1号に該当する疾病として取り扱うものとする。
 (1) 腰部の負傷又は腰部の負傷を生ぜしめたと考えられる通常の動作とは異なる動作による腰部に対する急激な力の作用が公務遂行中に突発的なできごととして生じたと明らかに認められるものであること。
 (2) 腰部に作用した力が腰痛を発症させ、又は、腰痛の既往症を再発させ、若しくは基礎疾病を著しく増悪させたと医学的に認めるに足るものであること。
  なお、職務の遂行に際し、何らかの原因で腰部に異常な内的な力の作用が加わつたことによるいわゆる「ぎつくり腰」等の腰痛は、発症直後に椎間板ヘルニアを発症させ、又は症状の動揺を伴いながら後日椎間板ヘルニアの症状を顕在化させることもあるので、これら椎間板ヘルニアを伴う腰痛についても、公務上の災害として取り扱う場合のあることに留意すること。
2 災害性の原因によらない腰痛の認定関係
 (1) 次に掲げる業務等腰部に過度の負担のかかる業務に比較的短期間(おおむね3カ月から数年以内をいう。)従事する職員に発症した腰痛で、当該職員の業務内容、作業態様、作業従事期間及び身体的条件からみて、当該腰痛が業務に起因して発症したものと認められ、かつ、医学上療養を必要とするものについては、規則16―0別表第1第3号の2に該当する疾病として取り扱うものとする。
  ア 重量物(おおむね20キログラム以上のものをいう。)又は軽重不同の物を繰り返し中腰で取り扱う業務
  イ 腰部にとつて極めて不自然又は極めて非生理的な姿勢で毎日数時間程度行う業務
  ウ 腰部の伸展を行うことのできない同一作業姿勢を長時間にわたり持続して行う業務
  エ 腰部に著しく粗大な振動を受ける作業を継続して行う業務
 (2) 重量物を取り扱う業務(おおむね30キログラム以上の重量物を勤務時間の3分の1程度以上取り扱う業務及びおおむね20キログラム以上の重量物を勤務時間の半分程度以上取り扱う業務をいう。)又は腰部に過度の負担のかかる作業態様の業務(重量物を取り扱う業務と同程度以上に腰部に負担のかかる業務をいう。)に相当長期間(おおむね10年以上をいう。)にわたつて継続して従事する職員に発症した慢性的な腰痛のうち、胸腰椎に著しく病的な変性(高度の椎間板変性や椎体の辺縁隆起等)が認められ、かつ、その程度が通常の加齢による骨変化の程度を明らかに超えるものについては、当該職員の業務内容、作業態様、作業従事期間及び身体的条件からみて、当該業務に起因して発症したものと認められ、かつ、医学上療養を必要とするものは、規則16―0別表第1第3号の2に該当する疾病として取り扱うものとする。
3 認定に当たつての留意点
  認定に当たつては、腰痛を起こす負傷又は疾病は、多種多様であるので傷病名にとらわれることなく、症状の内容及び経過、負傷又は作用した力の程度、作業態様(取扱い重量物の形状、重量、作業姿勢、作業動作、持続時間、回数等)、当該職員の身体的条件(性別、年齢、体格等)、素因又は基礎疾患、作業従事歴、従事期間等認定上の客観的な条件の把握に努めるとともに専門医の意見を聴く等の方法により認定の適正を図るものとする。これらの諸事実等を把握するためには、職員からの申出等が重要であることから、職員が公務に起因して腰痛を発症したと思料するときは速やかに申し出るよう、あらかじめ職員に周知する等の措置を講ずるものとする。
  また、2の(2)の災害性の原因によらない腰痛については、エックス線上の骨変化が認められるものとしては、変形性脊椎症、骨粗鬆症、腰椎分離症、腰椎すべり症等があるが、これらのうち、変形性脊椎症は一般的な加齢による退行性変性としてみられるものが多く、骨粗鬆症は骨の代謝障害によるものであるので、腰痛の公務上外の認定に当たつては、その腰椎の変化と年齢との関連を特に考慮する必要がある。
4 認定調査票の作成等
  腰痛に係る事実の迅速、かつ、適正な認定のためには、3に掲げた諸事実等を発症直後に収集することが極めて重要であるので、公務に起因して発症した可能性があると思料するもの、公務に起因して発症したと職員から申出があつたもの等については、別添の腰痛疾患の認定調査票を作成し、これによつて事案の点検を行うものとする。
  当該腰痛が規則16―0第22条第1項の「人事院が定める疾病」として公務上の災害の可能性がある場合には、「災害補償制度の運用について(昭和48年11月1日職厚―905人事院事務総長)」第2の2の手続により認定を行う必要があるので、「特定疾病に係る災害の認定手続等について(平成20年4月1日職補―115人事院事務総局職員福祉局長)」の定めるところにより、当該認定調査票を用い、所要の報告を行うものとする。
5 再発の認定関係
  公務上の腰痛が、一たん治ゆした後、他に明らかな原因がなく再び症状が発現し療養を要すると認められるものについては、公務上の腰痛の再発として取り扱うものとする。
 
以   上
 
 
 
別添(HTML形式による表示上、正しいレイアウトとなっていません。 PDFも御参照ください。)
 
                       腰痛の認定調査票
氏名:          (男・女)      年  月  日生(発症時  歳)
所属: 職名:   (□常勤 □非常勤) 適用俸給表:   俸給表 級 号
所属組織の組織図又は機構図:別添のとおり 人事記録:別添のとおり
1.災害発生の状況等
  発生日時:令和  年  月  日  時  分ごろ 傷病名:































 
発生場所:
災害発生の概況:



 
災害発生現場の見取図及び作業姿勢・作業動作の写真等:別添のとおり
申立書 → □ 有(別添のとおり)  □ 無
作業態様


















 
取り扱った重量物又は人の形状(状態):

 
取り扱った重量物等の重量 → (   ㎏又は   ㎏~   ㎏)
作業姿勢:

 
具体的な作業動作:


 
持続時間 → (  時間  分)
回数 → (   回)
通常の動作(本人の通常の作業動作及び一般の日常生活上の動作)との比較→ □同じ □異なる
 詳細:



 
症状の内容及び経過:


 
2.作業従事歴等





 
作業従事歴:



 
上記作業の従事期間 → (   年   月)
3.健康状況及び発症時の医師の所見等

























 
健康状況等






 
本人の身長及び体重:身長  ㎝   体重  ㎏   (  年  月  日現在)
本人の素因、基礎疾患又は既往症 → □有  □無
 「有」の場合は、その内容(治療状況、療養経過を含む。):




 
発症時の主治医の診断書・意見書等








 
主治医の診断書・意見 → □有(別添のとおり)  □無(入手すること)
診療録・診療要約 → □有(別添のとおり)  □無(借用すること)
Ⅹ線写真・CT・MRI等の画像検査等 → □実施  □有(別添のとおり)  □未実施
                                 □無(借用すること)
通院・入院等の状況



 
初診日 → 令和  年  月  日
通院日数 →     日
入院 → □有(入院日数   日)   □無
治癒(症状固定)日 → 令和  年  月  日
専門医等の意見聴取結果:






 
作成年月日 令和  年  月  日  
作成者 所属・職名   氏名  
補償事務主任者 所属・職名   氏名  
注1 用紙サイズはA4とするが、各欄の大きさ及び調査票の枚数は、記載内容に応じたものとしてよい。
 2 該当する□にはレ印を記入する。
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