保有個人情報の開示・不開示等の決定基準について

・法第78条第1項第3号(法人等に関する情報)関係
 
法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く以下この号において「法人等」という。)に関する情報又は開 示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。
  開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
  行政機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
 
1.趣旨
  (1) 本号は、法人等に関する情報及び事業を営む個人の当該事業に関する情報の不開示情報としての要件を定めるものである。
  (2) 本号イは、開示することにより、法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報を不開示情報としたものである。
  (3) 本号ロは、行政機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供された情報であって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが状況に照らして合理的であると認められるものを不開示情報としたものである。
  (4) 本号ただし書は、法人等又は事業を営む個人の事業活動により、現に発生しているか、又は発生するおそれがある危害等から人の生命、健康等を保護するために開示することが必要であると認められる情報を不開示情報から除くこととしたものである。
 
2.解釈
  (1) 「法人その他の団体」とは、株式会社等の商法上の会社、財団法人、社団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、政治団体、外国法人や法人ではないが権利能力なき社団等も含まれる。
一方、国等の公的性格にかんがみ、法人等とは異なる開示・不開示の基準を適用すべきであるので、本号から除き、その事務又は事業に係る不開示情報は、第7号において規定している。
「法人その他団体に関する情報」とは、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報等法人等と関連性を有する情報をいう。なお、法人等の構成員に関する情報は、法人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもある。
     
  (2) 「当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益」とは、次のとおりである。
「権利」には、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を含む。
「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位を指す。
「その他正当な利益」には、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含む。
  (3) 「行政機関の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供された情報」には、行政機関の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供された情報は含まれない。ただし、行政機関の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供申出があった情報であっても、提供に先立ち、法人等又は事業を営む個人の側から開示しないとの条件が提示され、行機関が合理的理由があるとしてこれを受諾した上で提供を受けた場合には、含まれる。
「行政機関の要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令を含まないが、行政機関の長が報告徴収権限を有する場合でも、当該権限を行使することなく、任意に提出を求めた場合は含まれる。
「開示しない」とは、本法や情報公開法に基づく開示請求に対して開示しないことはもちろんであるが、第三者に対して当該情報を提供しないという意味である。また、特定の行政目的以外の目的には利用しないとの条件で情報の提供を受ける場合も通常含まれる。
「条件」については、行政機関の側から開示しないとの条件で情報を提供してほしいと申し入れる場合も、法人等又は事業を営む個人の側から行政機関の要請があったので情報は提供するが開示しないでほしいと申し出る場合も含まれるが、いずれにしても双方の合意により成立する。また、条件を設ける方法については、黙示的なものを排除する趣旨ではない。
  (4) 「法人等又は個人における通例」とは、当該法人等又は個人の個別具体的な事情ではなく、当該法人等又は個人が属する業界における通常の取扱いを意味し、当該法人等又は個人において開示しないこととしていることだけでは足りない。
開示しないとの条件を付すことの合理性の判断に当たっては、情報の性質に応じ、当該情報の提供当時の諸般の事情を考慮して判断するが、必要に応じて、その後の変化も考慮する。開示しないとの条件が付されていても、現に当該情報が公になっていたり、同種の情報が既に開示されているなどの事情がある場合には、本号には当たらない。
 
 
3.運用
  (1) 「権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」の有無は、法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益にも様々のものがあるので、法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の権利の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に判断する必要がある。「おそれ」の判断に当たっては、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められるものである。この場合において、その判断が困難なものについては、法第23条第1項の規定に基づき、当該法人等又は事業を営む個人に意見を聴取するなど、事前に十分な調査を行うことにより、判断するものとする。
  (2) 本号ただし書きにより開示する情報は、不開示とすることにより保護される利益と開示することにより保護される利益とを比較衡量するに当たっては、開示することにより保護される利益の性質及び内容を踏まえる必要がある。


人事院
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