公務員の全体像を概観するために、一般職国家公務員のほか、特別職国家公務員や地方公務員を含む公務員全体の種類と数を示せば次のとおりである。
日本国憲法第15条は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」(第1項)とし、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」(第2項)と定めている。ここにいう「公務員」とは、国会議員、大臣、裁判官を始め立法、行政、司法の各部に属する全ての職員を含み、かつ、地方公共団体についても、長、議長その他の職員の全てを含む概念であり、広く国及び地方の公務に従事する者の全てを指すと解されている。
公務員は、国の公務に従事する国家公務員と地方の公務に従事する地方公務員に大きく二分される。国家公務員は、一般職と特別職とに大別されるが、後者の特別職国家公務員は、国家公務員法第2条に列挙されており、大まかに分類すれば、政務を担当するもの(内閣総理大臣、国務大臣等)、権力分立の憲法原則に基づき、その人事制度の設計を立法部、司法部に委ねることに合理性があるもの(裁判官及び裁判所職員、国会職員等)、職務の性質上、別個の身分取扱いの基準によることが適当であるもの(防衛省職員)、その他職務の特殊性により、採用試験や身分保障等の一般の公務員に係る原則を適用することが不適当なもの(宮内庁職員、各種審議会委員等)に分けることができる。
一般職国家公務員には、公務の公正、中立な実施を担保する意味から、成績主義の原則、身分保障、厳正な服務に関する規定等の諸規定が国家公務員法上に定められている。また、その勤務条件の決定という観点からは、労働協約締結権を有する行政執行法人の職員と労働協約締結権を有しない「一般職の職員の給与に関する法律(給与法)」の適用を受ける職員及び検察官(裁判官との処遇均衡を重視して決定)に分類される。
地方公務員については、国家公務員とほぼ同様の整理がなされているが、国では一般職とされる非常勤の顧問、参与等についても、特別職として整理されているなど、若干の違いがある。
一般職国家公務員は、郵政民営化、国立大学法人化、非特定独立行政法人化(平成27年4月1日以降は中期目標管理法人及び国立研究開発法人)等により非公務員化が進み、昭和40年代以降80万人を超える水準で推移していたその数は、現在(令和3年度末予算定員)、常勤職員で約29.0万人にまで減少している(次頁(参考)参照)。これに特別職約29.8万人を加えた国家公務員全体では約58.8万人である。また、常勤の国家公務員及び地方公務員の数は約333.1万人である。なお、国家公務員及び地方公務員の種類と数を示せば、次のとおりである(特別職国家公務員及び地方公務員等に関する公務員制度関係法制については、巻末参考資料7参照)。