第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第1章 公務員人事管理における主な課題の取組状況

第2節 職員個々の成長を通じた組織パフォーマンスの向上施策

 各職員が自身のキャリアを主体的に捉え、自律的に形成していけるようにする取組として、職員を対象としたキャリア支援研修を更に拡充することとした。また、各府省が職員のキャリア支援体制を確立できるよう、民間企業のキャリア形成支援の好事例集を作成し、提供した。

 職員が自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直しを行っていくことができる環境を整備していくため、まずはその一環として、職員が利用できる研修や研修教材、関連制度などを内閣官房内閣人事局と協力して整理・一覧化した。

 兼業の在り方について検討を進めることとし、内閣官房内閣人事局と連携して各府省へのヒアリング等を実施した。

 職員の役割・貢献にふさわしい処遇を確保するため、給与制度見直しに向けて取組を進めた。

1 職員の自律的なキャリア形成・主体的な学びの促進

(1)若手職員を対象とするキャリア支援研修の拡充、マネジメント層のキャリア支援力向上支援

若手職員を中心に自身のキャリアに関して主体的・積極的な意識が強くなっている状況においては、これまでの組織主導の人材育成の強化だけではなく、職員個人の主体的な成長を促進するための取組が極めて重要になっている。こうした認識の下、人事院においても、各職員が自身のキャリアを主体的に捉え、自律的に形成していけるようにする取組として、20歳台や30歳台の職員を対象としたキャリア支援研修を更に拡充することとし、地方支分部局に勤務する職員を対象とした研修を新設した。また、キャリア形成支援に向けては、本人だけでなく、それを受け止める組織側においてもマネジメント層を中心にキャリアを支援する体制が必要である。そのため、各府省での支援体制の確立に向け、民間企業のキャリア形成支援のプログラムの内容、作成過程、課題等を含む好事例集を作成し、提供した。

(2)「学びと仕事の好循環」の形成に向けた支援

職員個人ごとの成長を促進していくためには、職員が自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直しを行っていくことができる環境を整備していく必要もある。そのような認識の下、まずはその環境づくりの一環として、内閣官房内閣人事局と協力しながら、職員が学びに利用できる研修や研修教材などを整理・一覧化し、各府省へ配布した。

(3)兼業の在り方の検討

職員の健康への配慮のほか、職務専念義務、職務の公正な執行、国民の公務への信頼の確保の必要性を踏まえつつ、職員としての成長や組織のパフォーマンス向上等につながるような兼業の在り方について検討を進めることとし、そのために必要となる現状の運用の把握を行うため、内閣官房内閣人事局と連携し、各府省に対して兼業制度に係るヒアリング等を実施した。

2 個々の力を組織の力へつなげる取組

職員の役割・貢献に応じた処遇等の実現

職員のモチベーション上昇と組織パフォーマンス向上のためには、役割や能力・実績等をより給与に反映し、組織への貢献にふさわしい処遇を確保することが必要である。また、全国各地での行政サービスを維持するため、勤務地を異にする人事配置の円滑化に資するよう給与上も取組が求められている。

人事院は、令和5年の公務員人事管理に関する報告において、役割・貢献に応じた処遇として、係長級から本府省課長補佐級までの俸給額の最低水準の引上げ、本府省課室長級の俸給体系の職責重視型への見直し、管理職員の超過勤務に対する手当支給拡大、最優秀者のボーナスの上限引上げ等の措置を、円滑な配置への対応として、地域手当の大くくり化、新幹線通勤に係る手当額見直し、定年前再任用短時間勤務職員等に支給する手当の拡大等の措置を、それぞれ検討する方針を示し、令和6年の給与勧告を念頭に各措置事項の具体化に向けた作業に取り組んでいる。

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