◉ 民間企業等における多様な経験や高度な専門性を有する人材をより一層公務に誘致し、確保するため、実務の中核を担う人材の積極的誘致に向けた取組、官民人事交流の促進のための発信強化、公務組織への円滑な適応支援(オンボーディング)の充実のための取組を進めた。
◉ 国家公務員の志望者の減少が続く中、「一般職試験(大卒程度試験)における専門試験を課さない新区分の創設」の検討等、令和4年度から取り組んでいる採用試験の改革を引き続き進めた。
◉ 優秀な人材確保に資する採用戦略の検討を行うため、令和5年12月から令和6年3月にかけて、有識者との意見交換を実施した。
◉ 優秀な人材確保に資する処遇を実現するため、給与制度見直しに向けて取組を進めた。
(1)実務の中核を担う人材の積極的誘致
経験者採用試験では従来、府省合同の試験は主に総合職試験(大卒程度試験)採用者等が従事する政策の企画立案等を担う係長級の職員として採用するための試験のみ実施してきた。しかし、各府省における係長級の層の職員が少なくなってきていること及びその候補となる若年層職員の離職者数が増加していることを踏まえ新たに、主に一般職試験(大卒程度試験)採用者等が従事する政策・事業の実施等を担う係長級の職員として民間人材等を採用するための府省合同の試験を創設することを念頭に、各府省に対し、当該試験新設のニーズ等の意見聴取を実施した。また、総務省の要望を踏まえて総務省経験者採用試験(係長級(事務))を令和6年度に実施することなどを内容とする人事院公示の改正を行った。
(2)官民人事交流の促進のための発信強化
官民人事交流を更に促進する観点から、官民の人事交流を経験した者及び人事担当者等から意見を聴取するとともに、アンケートを行った。この取組を通じて、官民人事交流を経験した者の成長、交流者を受け入れる職場や復帰後の職場にもたらされる好影響等、官民人事交流を通じて得られる効果や魅力等を把握し、意見聴取の記事やアンケートの結果を官民双方に向けて発信した。このほか、民間情報発信サイトに官民人事交流のバナー広告を掲載するとともに、同サイトの公式メールマガジンで配信するなど、情報発信の強化を図った。
(3)公務組織への円滑な適応支援(オンボーディング)の充実
今後ますます民間人材等の採用が増加していくことが見込まれる状況においては、各府省において採用者が職場や業務に早期に適応し、その能力や知見を存分に発揮できるようにするための体制づくりがより重要になる。そのため、各府省の本府省に採用された民間人材等を対象とした実務経験採用者研修の実施回数を毎年度1、2回程度から3回に増やしたほか、地方支分部局で採用された民間人材等のための研修を試行実施した。
さらに、各府省における取組を支援するため、民間企業における先進的なオンボーディングのプログラムの内容、作成過程、課題等の内容を含んだ好事例集を作成し、提供した。
国家公務員の志望者の減少が続く中、令和4年度から採用試験の改革に取り組んできており、必要な制度改正等を実施してきたところである。
改革を行った施策については採用試験の応募者数等を踏まえ効果を検証し、さらに、令和4年の公務員人事管理に関する報告で表明した採用試験改革のうち、「一般職試験(大卒程度試験)における専門試験を課さない新区分の創設」等についても、各府省の意見を聞きながら検討を進めた。