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第1編 人事行政
第1部 人事行政この1年の主な動き
第2章 給与及び勤務時間の改定についての勧告
第1節 適正な公務員給与の確保等
◉ 令和5年8月7日、国会及び内閣に対し、国公法に定める情勢適応の原則に基づき、公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させるため(民間準拠)、月例給及び特別給を引き上げるとともに、在宅勤務等手当を新設すること等を内容とする報告及び勧告を行った。民間における大幅な賃上げを反映して、月例給は過去5年の平均と比べて約10倍のベースアップとなった。
◉ 内閣は人事院勧告どおり給与改定を行うこと等を閣議決定し、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第73号)が制定された。
1 給与に関する勧告・報告
令和5年8月7日、人事院は国会及び内閣に対し、一般職の職員の給与について、月例給及び特別給を引き上げること等を主な内容とする報告及び勧告を行った。
(1)月例給
民間と公務の令和5年4月分給与を調査し、主な給与決定要素を同じくする者同士を比較した結果、国家公務員給与が民間給与を平均3,869 円(0.96%)下回っていたことから、民間企業における初任給の動向や公務において人材確保が喫緊の課題であることを踏まえ、初任給を高卒12,000円、大卒11,000円引き上げるなど、初任給を始め若年層に重点を置きつつ、全職員について俸給表の引上げ改定を行った。
※ 過去5年の官民較差の額及び率の平均は、約360円(約0.1%)。大卒・高卒の初任給をともに10,000円を超えて引き上げるのは、平成2年以来33年ぶり。官民較差の額3,869円は、平成6年の3,975円以来、29年ぶりの水準。官民較差の率0.96%は、平成9年の1.02%以来、26年ぶりの水準。
(2)特別給
直近1年間(令和4年8月~令和5年7月)の民間の支給割合と公務の年間の支給月数を比較した結果、国家公務員の期末手当・勤勉手当の年間の平均支給月数(4.40月)が民間事業所の特別給の支給割合を0.09月分下回っていたことから、支給月数を0.10月分引き上げて4.50月分とし、引上げ分は民間の支給状況等を踏まえ、期末手当・勤勉手当に0.05月分ずつ均等に配分した。
(3)在宅勤務等手当の新設等
前記第1章第3節1(3)のとおり、在宅勤務等を中心とした働き方をする職員については、在宅勤務等に伴う光熱・水道費等の費用負担が特に大きいことを考慮し、その費用負担を軽減するため、当該職員を対象とした在宅勤務等手当(月額3,000円)を新設した。このほか、医師の初任給調整手当や委員、顧問、参与等の手当について所要の改定を行った。また、常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて非常勤職員の給与を改定するよう努める旨を定めた非常勤職員の給与に関する指針に沿って適切な給与支給がなされるよう各府省を指導することとした。
2 給与勧告の取扱い等
給与関係閣僚会議において検討を行った後、令和5年10月20日、内閣は人事院勧告どおり給与改定を行うことを閣議決定した。国会での審議を経て、給与改定を行うための「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律」(令和5年法律第73号)が同年11月17日に成立した。同法は同月24日に公布・施行され、俸給表、初任給調整手当及び委員、顧問、参与等に支給される手当に関する改定は同年4月1日に遡及して適用された(令和6年度以降の期末手当・勤勉手当に関する規定及び在宅勤務等手当に関する規定は令和6年4月1日施行)。
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