第1編 《人事行政》

【第3部】 平成28年度業務状況

第2章 人材の育成

第3節 派遣研修

1 在外研究員制度

(1)行政官長期在外研究員制度

本制度は、行政の国際化が進展する中で、国際的視野を持ち、複雑・多様化する国際環境に的確に対応できる行政官の育成を図ることを目的に、各府省の行政官を2年間諸外国の大学院に派遣し、研究に従事させる制度である。

派遣される研究員は、在職期間が8年未満(平成30年度派遣からは10年未満)の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院の選抜審査及び大学院の選考を経て決定している。

平成28年度は143人を派遣し、このうち1人については、博士課程に派遣した。派遣先内訳は、表2-6のとおりである。

表2-6 平成28年度行政官長期在外研究員派遣状況
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昭和41年度の制度発足以来、平成28年度までに派遣した研究員の総数は3,495人で、昭和62年度以降着実に増加し、特に平成14年度以降、新規派遣者数は毎年度120人以上で推移している(図2-2)。

図2-2 行政官長期在外研究員新規派遣者数の推移
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派遣した研究員の総数を派遣先国(地域)別の内訳でみると、米国2,555人、英国573人、フランス161人、ドイツ77人、カナダ48人、オーストラリア31人、中国22人、シンガポール10人、オランダ6人、韓国5人、その他7人となっている。

この制度の修了者は、修士号の学位等を取得するとともに、帰国後、在外公館等海外のポストで活躍する者が多い。国内にあっても、国際的視野に立った行政施策の企画・調整の衝に当たるなど、我が国行政の国際的な活動において、大きな役割を担っている。派遣先国(地域)の一層の多様化が今後の課題である。

(2)行政官短期在外研究員制度

本制度は、諸外国において専門的な知識、技能等を習得させることにより、増大する国際的業務に適切かつ迅速に対処し得る人材の育成を図ることを目的に、各府省の行政官を6か月間又は1年間、諸外国の政府機関等に派遣する制度である。

派遣される研究員は、在職期間がおおむね6年以上で、かつ、職務の級が行政職俸給表(一)の3級以上(他の俸給表についてはこれに相当する級)の行政官で、各府省の長が推薦する者のうちから、人事院が選抜審査を行って決定している。研究員は、諸外国の政府機関、国際機関等に派遣され、それぞれの課題について調査研究活動に従事する。

平成28年度は26人を派遣しており、派遣先内訳は、表2-7のとおりである。

昭和49年度の制度発足以来、平成28年度までに派遣した研究員の総数は1,475人で、派遣先国(地域)別の内訳でみると、米国706人、英国300人、オーストラリア96人、フランス65人、ドイツ60人、カナダ53人、その他195人となっている。

本制度の修了者の多くは、長期在外研究員制度の修了者と同様に、帰国後、国際的な業務に携わっている。また、研究員が帰国後に提出する研究報告書は、海外の制度、実情に関する最新の情報であり、関連する行政分野における貴重な資料として活用されている。

表2-7 平成28年度行政官短期在外研究員派遣状況
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