倫理法・倫理規程Q&A

 
Q1  国家公務員倫理規程により、国家公務員はどのような規制を受けているのですか。簡単に説明してください。
 倫理規程では、国家公務員が、許認可等の相手方、補助金等の交付を受ける者など、国家公務員の職務と利害関係を有する者(利害関係者)から金銭・物品の贈与や接待を受けたりすることなどを禁止しているほか、割り勘の場合でも利害関係者と共にゴルフや旅行などを行うことを禁止しています。また、国の補助金や経費で作成される書籍等、国が作成数の過半数を買い入れる書籍等について、国家公務員が監修料等を受領することも禁止しています。
Q2  倫理規程における規制はどのような目的で設けられたのですか。
 国家公務員は、国民全体の奉仕者として公正に職務の遂行に当たることが求められています。国家公務員が職務の遂行上、あるいは私生活において利害関係者と接触するケースは色々とあります。その中で、贈与を受けることなど一定の行為は、公正な職務の遂行に対する国民の疑惑や不信を招くものであり、禁止・制限されるべきだと考えられます。
 倫理規程は、このような観点から、国家公務員が遵守すべき事項を定め、公務に対する国民の信頼を確保することを目的としています。 
Q3  平成17年4月の倫理規程改正の基本的な考え方を説明してください。
 倫理規程は、公務員不祥事が相次ぐという異常事態の下で、公務に対する国民の信頼を確保するため制定されたものです。平成12年4月の施行後、目に余るような接待や贈与は影を潜めるなど、かなりの前進が見られた一方で、組織ぐるみの違反行為と思われるような公務に対する国民の信頼を損ねる事案が跡を絶たないなど、なお、当時の異常事態を完全には脱したとはいえず、平時に復したとは言い難い状況にあります。
 このような状況認識の下、一つには監修料問題や裏金問題に対処するとともに、組織ぐるみの違反行為を防止するためには、新たな規制が必要であるとの結論に至ったところです。
 また、一つには倫理規制が煩瑣であるために、違反をおそれて公務員が萎縮し、行政対象の実態把握などが十分行われていないのではないかとの指摘も踏まえ、公務員が過度に萎縮することなく、利害関係者との間においても、職務遂行上必要な情報収集や意見交換などを行いやすくすることにより、国民の期待に応える行政の実現に資するよう、規制基準を分かりやすくすることが必要であるとの結論に至ったところです。
 これらを踏まえ、倫理審査会は、平成17年2月8日、①監修料の適正化を図る、②組織的違反行為を規制する、③規制基準を分かりやすくする、との基本的考え方に立って、内閣に対して、国家公務員倫理規程の一部改正を求める意見の申出を行い、これを受け、倫理規程の改正が行われたものです。 
Q4  「利害関係者」について、詳しく説明してください。
 「利害関係者」とは、国家公務員が接触する相手方のうち、特に慎重な接触が求められるものです。 ある国家公務員にとって「利害関係者」とは、その国家公務員が現に携わっている1~8の事務の相手方をいいます。ただし、基本的に同一省庁内の国家公務員同士は利害関係者にはならないものとして取り扱うこととしています。
許認可等の申請をしようとしている者、許認可等の申請をしている者及び許認可等を受けて事業を行っている者
補助金等の交付の申請をしようとしている者、補助金等の交付を申請している者及び補助金等の交付を受けている者
立入検査、監査又は監察を受ける者
不利益処分の名あて人となるべき者
行政指導により現に一定の作為又は不作為を求められている者
所管する業界において事業を営む企業
契約の申込みをしようとしている者、契約の申込みをしている者及び契約を締結して債権・債務関係にある者
予算、級別定数又は定員の査定を受ける国の機関
Q5  国家公務員は、自分が現に携わっている事務の相手方以外に「利害関係者」はいないのですか。
 過去3年間に在職したポストの利害関係者は、異動後3年間は引き続き利害関係者とみなされます。
 また、ある国家公務員(A)の利害関係者が、別の国家公務員(B)に接触している場合、それが、BがAに対して持つ官職上の影響力を期待してのものであることが明らかなときは、Bにとっても利害関係者とみなされます。
 したがって、これらの者との間で行う行為は、倫理規程の規制を受けることとなります。
Q6  「利害関係者」との間では、どのような行為が規制されるのですか。
 規制される行為は、そのような行為が「利害関係者」との間でなされると、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を持たれるものです。具体的には、国家公務員は、「利害関係者」との間で次の行為を行うことが禁止されています。
金銭、物品又は不動産の贈与を受けること
金銭の貸付けを受けること
無償で物品又は不動産の貸付けを受けること
無償でサービスの提供を受けること
未公開株式を譲り受けること
供応接待を受けること
一緒に旅行、ゴルフ・遊技(麻雀など)をすること
利害関係者に要求して、第三者に対して1~7の行為をさせること
これらに該当する行為でも、職務として出席した会議で弁当の提供を受けることや立食パーティーにおける飲食などは禁止対象から除外されています。
Q7  国家公務員が利害関係者から金銭・物品の贈与を受けたりすることを禁止することは分かりますが、割り勘の場合のゴルフや旅行まで禁止するのは行き過ぎではないでしょうか。
 どのような行為が禁止されるべきかについては、これまでの公務員不祥事の実態を見る必要があります。その中で、ゴルフや旅行については、過去に過剰接待の舞台となった多数の事例があり、最近でも、利害関係者の負担で海外へゴルフ旅行に行った事案が発覚しています。たとえ割り勘だとしても、公務員が自分が許認可等を与えたり、補助金の交付決定をする事務に携わっているその相手方と、一緒にゴルフや旅行をしたりする姿を一般の人が見れば、職務の執行の公正さに対して疑問を持つのではないでしょうか。このため、割り勘の場合でも、ゴルフ・遊技や旅行を禁止することとしています。
Q8  国家公務員は、友人から香典をもらうこともできないのですか。
 友人が、倫理規程で定められている「利害関係者」に該当しない場合には、香典を受け取ることができることはいうまでもありません。
 また、その友人が「利害関係者」に該当する場合でも、学生時代からの友人など、国家公務員としての身分にかかわらない関係(私的な関係)があれば、規制の例外として香典を受け取ることは認められています。
Q9  国家公務員が喪主として父の葬儀を執り行う際、利害関係者が亡くなった父との関係に基づき持参した香典(通常の社交儀礼の範囲内の金額)を受領した場合、報告書を提出する必要がありますか。
 国家公務員が喪主であるか否かにかかわらず、利害関係者が個人として持参した香典であれば、報告の必要はありません。(事業者等として持参した香典は、報告の必要があります。)
Q10  国家公務員が喪主として父の葬儀を執り行う際、利害関係のない者が職員本人との関係に基づき持参した香典(通常の社交儀礼の範囲内の金額)を受領した場合、報告書を提出する必要がありますか。
 国家公務員が喪主であるか否かにかかわらず、利害関係のない者が個人として持参した香典であれば、報告の必要はありません。(事業者等として持参した香典は、報告の必要があります。)
Q11  国家公務員が喪主として父の葬儀を執り行う際、利害関係のない者が亡くなった父との関係に基づき持参した香典(通常の社交儀礼の範囲内の金額)を受領した場合、報告書を提出する必要がありますか。
 国家公務員が喪主であるか否かにかかわらず、利害関係のない者が事業者等として持参した香典であっても、報告の必要はありません。
Q12  国家公務員の婚約者が勤めている会社が国家公務員にとっての利害関係者に該当する場合、国家公務員は結婚披露宴で婚約者の上司・同僚等から祝儀を受け取ることはできないのですか。
 通常の社交儀礼の範囲内の祝儀を受け取ることは認められます。
Q13  国家公務員が結婚披露宴を行う際、その父との関係に基づき出席をした者(国家公務員にとっては利害関係者)からの祝儀は受け取ることができますか。また、この場合に報告書を提出する必要がありますか。
 父との関係に基づき祝儀が出された場合、通常の社交儀礼の範囲内の祝儀を受け取ることは認められます。また、利害関係者が個人として持参した祝儀であれば、報告の必要はありません。(事業者等として持参した祝儀は、報告の必要があります。)
Q14  民間企業等から表彰を受けたときは、贈与等報告書を提出する必要がありますか。
 賞状自体については、名誉を表すもので経済的価値がないことから、贈与等報告書を提出する必要はありませんが、副賞として受領する現金・物品・表彰式での飲食の提供については、贈与等報告書を提出する必要があります。ただし、次のいずれにも該当するものについては、贈与等報告書を提出する必要はありません。
公的性格又は公開性を有するもの
国、地方公共団体、外国政府など公的性格が強い機関が授与するもの
受賞者、受賞内容、副賞の額等が新聞、テレビ等により広く一般に公表されるもの
有識者等により、中立的かつ厳正に表彰者の選考が行われるもの
Q15  「私的な関係」があれば、食事をおごってもらったり、物品をもらったりすることも「利害関係者」との間で自由にできるのですか。
 「私的な関係」がある「利害関係者」との間では、職務上の利害関係の状況、私的な関係の経緯及び現在の状況、行おうとする行為の態様等を考慮して、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないと認められる場合に限り、倫理規程上規制されている行為を行うことができます。例えば、国家公務員の親の葬儀に際し、「利害関係者」に該当する親戚から香典を受け取ることは認められるでしょうし、一方で、監督官庁に勤務する国家公務員の大学時代の同級生である従業員を使って、会社がその国家公務員に接待攻勢をかけるようなことは、いくら大学時代の同級生の関係があるといっても認められるものではありません。
Q16  利害関係者であるOBから、在職時代の思い出などを内容とする本(非売品)を自費出版したので、無償で職員に配布したいとの申し出がありましたが、受け取ることは倫理規程の禁止行為に該当しますか。
 在職時代を私的に回顧したものを退職後に自費出版した記念品的なものであり、倫理規程の禁止行為には該当しません。
Q17  国家公務員の「利害関係者」に該当する企業の創立○○周年記念パーティー(立食形式)に出席して、利害関係者から飲食物の提供を受けることは、倫理規程に違反するのでしょうか。
 多数の者が出席する立食パーティーにおいて、利害関係者から飲食物の提供を受けることは、倫理規程上、例外として認められています。
Q18  地震等の被災地の復旧作業のために現地入りしている国家公務員(被災地の市が利害関係者に該当)が、災害対策本部でその市から弁当の提供を受けることは、倫理規程に違反するのでしょうか。
 お尋ねのような、国家公務員が、職務として災害対策に従事している際、業務遂行の合間に弁当など簡素な飲食物の提供を受けるケースについては、倫理規程の禁止行為には該当しないものとして取り扱って差し支えありません。
Q19  国家公務員が結婚披露宴に利害関係者を招待する場合には、倫理監督官に届出をする必要がありますか。利害関係者が行う結婚披露宴に、国家公務員が出席する場合(祝儀や会費を持参するため自己費用負担)はどうですか。
 いずれの場合も、多数の者が出席する結婚披露宴であれば、自己の飲食に要する費用が1万円を超える場合であっても、倫理監督官に届出をする必要はありません。
Q20  国の機関から職員の健康管理を委嘱されて月数回程度勤務する嘱託医(国家公務員ではなく、かつ、有給)と当該機関の職員が会食等をする場合、委嘱の契約事務に携わる職員にとって嘱託医は「利害関係者」に該当するのでしょうか。
 そのような嘱託医は、嘱託医という立場で行動している限りにおいては、同一省庁の職員に準ずると解されますので、利害関係者には該当しません。
Q21  国家公務員が、倫理監督官の承認を得て講演を行った際、講演の前後に、利害関係者から簡素な飲食物の提供を受けることはできるのですか。
 公務として又は倫理監督官の承認を得て講演を行った際の簡素な飲食については、職務として出席した会議における簡素な飲食物の提供に準ずるものとして取り扱って差し支えありません。
Q22  国家公務員は、自分の「利害関係者」が参加するゴルフコンペには参加することはできないのでしょうか。
 倫理規程では、国家公務員が「利害関係者」と共にゴルフをすることを禁止していますが、ここで禁止しているのは、国家公務員が利害関係者と打ち合わせて一緒にゴルフをするようなケースです。
 したがって、国家公務員が会員となっているゴルフクラブの月例ゴルフコンペにたまたま「利害関係者」が参加していた場合であっても、そのゴルフコンペに参加することは一向に差し支えありません。
Q23  国家公務員が、利害関係者に該当するOB数名も参加する、OB会のゴルフコンペ(30~40人以上が参加する規模のもの)に参加することは、倫理規程で禁止されている「利害関係者と共にゴルフをすること」に該当するのですか。
 利害関係者と同じ組でプレーすることを意図して参加するような場合を除き、お尋ねのようなゴルフコンペに参加することは倫理規程の禁止行為に該当しないものとして取り扱って差し支えありません。
Q24  利害関係者と共に旅行をすることが認められている「公務のための旅行」とは、どのような場合ですか。
 出張命令が出されていて、利害関係者の同行が公務に必要な場合です。
Q25  国家公務員が同窓会に出席することも倫理規程で禁止されているのですか。
 もちろん、禁止されていません。また、会費を支払って同窓会に出席し、利害関係者である友人と共に飲食し、その費用が1万円を超える場合であったとしても、学生時代の友人は「私的な関係」に当たるので、倫理監督官への届出は必要ありません。
Q26  国家公務員が出張で、利害関係のある民間企業を訪れた際、帰りに駅まで、偶然同方向に用務があるその企業の従業員が乗るタクシーに便乗することは、倫理規程に違反するのでしょうか。
 国家公務員は出張に当たり、必要な旅費を支給されているため、出張中の移動は自らの負担で行うことが原則となります。
 ただし、その国家公務員のためにわざわざ便宜を図るものでなく、たまたま利害関係者が利用するタクシーが国家公務員と同じ目的地に行く場合や国家公務員の目的地を通過することが明らかな場合で、利害関係者に新たな追加的負担もないときには、便乗しても問題ありません。
Q27  贈与等報告書を提出しない職員は、懲戒処分に付されることがあるのですか。
 本省課長補佐級以上の職員は、一定の贈与を受けたときには贈与等報告書を提出する義務がありますが、それに違反したときは、事案の内容によって懲戒処分に付されることがあります。 

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