国家公務員災害補償制度について
制度概要
国家公務員災害補償制度は、一般職の国家公務員(非常勤職員、行政執行法人の職員等を含みます。)が公務上又は通勤による災害(負傷、疾病、障害又は死亡をいいます。)を受けた場合に、被災職員・遺族に対し災害によって生じた損害を補償し、併せて被災職員の社会復帰の促進、被災職員・遺族の援護を図るために必要な福祉事業を行う制度です。
- 適用職員〔令和4年7月現在〕:一般職国家公務員約 45.8万人(常勤約 28.8万人、非常勤約 17.0万人)
- 実施機関〔令和6年4月現在〕:37機関(本府省等29機関 行政執行法人等8機関)
※ 実施機関への災害の報告等は補償事務主任者が行っています。
療養する場合 | 療 養 補 償 |
休 業 補 償 | |
傷 病 補 償 年 金 | |
介 護 補 償 | |
治癒後障害が残った場合 | |
障害補償年金 (差額一時金) (前払一時金) | |
障 害 補 償 一 時 金 | |
死亡した場合 | 遺族補償年金 (前払一時金) |
遺 族 補 償 一 時 金 | |
葬 祭 補 償 |
社会復帰促進 | 外科後処置、補装具、リハビリテーション、アフターケア |
被災職員等援護 | 休業援護金、ホームヘルプサービス、 奨学援護金、就労保育援護金、 特別支給金(傷病、障害、遺族)、 特別援護金(障害、遺族)、 特別給付金(傷病、障害、遺族、障害差額)、 長期家族介護者援護金 |
補償及び福祉事業の種類及び内容(R6.4.1現在)
公務上又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった場合、治るまでの間、必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を支給します。
第1級:平均給与額の313日分
第2級: 〃 277日分
第3級: 〃 245日分
傷病が治ったとき、障害等級第1級~第7級に該当する障害が残った場合、障害等級に応じ、以下の年金を支給します。
第1級:平均給与額の313日分
第2級: 〃 277日分
第3級: 〃 245日分
第4級: 〃 213日分
第5級: 〃 184日分
第6級: 〃 156日分
第7級: 〃 131日分
傷病が治ったとき、障害等級第8級~第14級に該当する障害が残った場合、障害等級に応じ、以下の一時金を支給します。
第8級:平均給与額の503日分
第9級: 〃 391日分
第10級: 〃 302日分
第11級: 〃 223日分
第12級: 〃 156日分
第13級: 〃 101日分
第14級: 〃 56日分
傷病補償年金又は障害補償年金の受給権者が、年金の支給事由となった障害により、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、介護を受けている場合に、障害の程度、介護の形態に応じ、人事院が定める額を支給します。(人事院規則16―0第二十八条の三、災害補償制度の運用について(昭和48年職厚―905)第十一の二)
職員が公務上又は通勤により死亡した場合において、一定の要件を備えた遺族があるとき、遺族の人数に応じ、以下の年金を支給します。
1人:平均給与額の153日分。ただし、55歳以上の妻又は一定の障害の状態にある妻の場合は平均給与額の175日分
2人:平均給与額の201日分
3人: 〃 223日分
4人以上: 〃 245日分
② 遺族補償年金の受給権者が権利を失った場合において、他に遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、既に支給された年金の合計額が①の額に満たないとき、その差額を支給します。
職員が公務上又は通勤により死亡した場合、葬祭を行う者に対し、315,000円に平均給与額の30日分を加えた額(これが平均給与額の60日分を下回るときは平均給与額の60日分の額)を支給します。
障害補償年金の受給権者が死亡した場合において、その者に既に支給された障害補償年金及び障害補償年金前払一時金の合計額が障害等級に応じた一定額(第1級で平均給与額の1,340日分、第7級で平均給与額の560日分)に満たないとき、遺族にその差額を支給します。
障害補償年金の受給権者から申出があった場合、年金に代えて、障害等級に応じ平均給与額の1,340日分~560日分の範囲内の額を支給します。
遺族補償年金の受給権者から申出があった場合、年金に代えて、平均給与額の1,000日分の範囲内の額を支給します。
- 予後補償
船員が公務負傷し、又は疾病にかかり、治った後勤務できない場合において、給与を受けないとき、1月間を限度に、平均給与額の100分の60を支給します。
- 行方不明補償
船員が公務上行方不明になった場合に、その被扶養者に対し、行方不明の間(3月間を限度)、平均給与額に相当する額を支給します。
※ 警察官、海上保安官、在外公館に勤務する職員等が、生命又は身体に高度の危険が予測される状況下において、一定の職務に従事し、そのために公務上の災害を受けた場合に、傷病補償年金、障害補償、遺族補償が加算されるという補償の特例制度があります。
障害等級に相当する障害が残った者のうち、義肢装着のための断端部の再手術などの処置等が必要と認められるものに対し、診察、治療等の処置を行います。
障害等級に相当する障害が残った者に対し、障害に応じて義肢、義眼、眼鏡、補聴器、車いす等を支給します。
障害等級に相当する障害が残った者のうち、社会復帰のために身体的機能の回復等の措置が必要と認められるものに対し、機能訓練、職業訓練等を行い、又はその費用を支給します。
傷病が治った後であっても、外傷による脳の器質的損傷を受けた者で障害等級に該当するもの等に対し、診察、治療等の処置を行い、又はその費用を支給します。
休業補償を受ける者等に対し、平均給与額の100分の20を支給します。
在宅で介護を要する重度被災職員(第3級以上)に対し、介護事業者からの介護サービスの供与を行い、又はその費用を支給します(3割は自己負担)。
傷病補償年金、障害補償年金(第3級以上)又は遺族補償年金の受給権者で子弟等の学費の支弁が困難なもの(平均給与額が16,000円以下)に対し、学校の区分に応じ、人事院が定める額を支給します。(人事院規則16―3第十六条)
傷病補償年金、障害補償年金(第3級以上)又は遺族補償年金の受給権者で自己又はその家族等の就労のため未就学の子を保育所等に預けているもの(平均給与額が16,000円以下)のうち保育費用を援護する必要があると認められる者等に対し、人事院が定める額を支給します。(人事院規則16―3第十八条第三項)
傷病補償年金の受給権者に対し、傷病等級に応じ、一時金を支給します。(人事院規則16―3第十九条)
障害補償の受給権者に対し、障害等級に応じ、一時金を支給します。(人事院規則16―3第十九条の二)
遺族補償の受給権者に対し、遺族の区分に応じ、一時金を支給します。(人事院規則16―3第十九条の三)
障害補償の受給権者に対し、障害等級に応じ、一時金を支給します。(人事院規則16―3第十九条の四、災害補償制度の運用について(昭和48年職厚―905)第十八の10)
遺族補償の受給権者に対し、遺族の区分に応じ、一時金を支給します。(人事院規則16―3第十九条の五、災害補償制度の運用について(昭和48年職厚―905)第十八の11)
傷病補償年金の受給権者に対し、傷病補償年金に特別給支給率(2割が上限)を乗じた額を年金として支給します。
障害補償の受給権者に対し、障害補償に特別給支給率(2割が上限)を乗じた額を年金又は一時金として支給します。
遺族補償の受給権者に対し、遺族補償に特別給支給率(2割が上限)を乗じた額を年金又は一時金として支給します。
障害補償年金差額一時金の受給権者に対し、障害補償年金差額一時金に特別給支給率(2割が上限)を乗じた額を一時金として支給します。
常時又は随時介護を要する重度被災職員が公務上の事由によらずに死亡したときに、長期間介護に当たってきた遺族に対して、一時金を支給します。(人事院規則16―3第十九条の十四)
傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなったときを指します(これを「治癒」といい、必ずしも被災前の身体状態に回復した場合をいうものではありません。)。
職員の1日分の稼得能力を表すもので、原則として、事故発生日前3か月間の給与(期末手当・勤勉手当を除きます。)の総額をその期間の総日数で除して得た額(1日分の給与の平均額)です。なお、年金たる補償及び長期療養者(療養開始後1年6月経過後)の休業補償に係る平均給与額については、年齢階層別に最低・最高限度額が設けられています。
人事院が指定する37の機関(国の29の機関及び8の行政執行法人等)のことです。公務上・通勤による災害の認定、平均給与額の決定、傷病・障害等級の決定、補償金額の決定など、補償に関する事務を行っています。
実施機関の中に一定の組織ごとに置かれ、公務・通勤を探知した場合又は被災職員・遺族から公務・通勤災害である旨の申出があった場合に実施機関に災害の報告を行います。また、実施機関の長の指示に従い、補償の実施を円滑に進める役割も果たしています。
[補償事務主任者を置く組織区分]
災害補償制度の運用について(昭和48年職厚―905) 別表第2、第2の2、第2の3