昇格及び昇給への人事評価の結果の活用に関する留意事項等について

(平成21年3月31日給2―35)

(人事院事務総局給与局長発)

 

最終改正:令和3年12月24日給2―132

 

 今般、昇格及び昇給への人事評価制度の活用のための人事院規則及びその運用通知の改正を行ったことに伴い、「昇格制度に係る留意事項等について」を別紙1のとおり、「昇給制度に係る留意事項等について」を別紙2のとおり策定したので、平成21年4月1日以降は、これらを踏まえつつ、人事院規則及びその運用通知に従って、各制度の運用を適切に行ってください。

 その際、人事評価の結果がないため人事評価の結果以外の事実に基づいて昇格及び昇給の勤務成績判定を行う必要がある場合には、具体的な事実の把握に基づく勤務成績の判定が求められることにも、留意してください。

 なお、「給与における成績主義の推進について(平成18年2月1日給2―6)」は、廃止します。

 

 

 

別紙1

 昇格制度に係る留意事項等について

 

1 直近の連続した2回の能力評価及び4回の業績評価の全体評語の全部又は一部がない場合の取扱い

 (1) 直近の連続した2回の能力評価及び4回の業績評価の全体評語の全部又は一部がない職員を昇格させようとするときは、人事院規則9―8(初任給、昇格、昇給等の基準)(以下「規則」という。)第20条第3項の規定により昇格させようとする日以前2年間又は同日以前2年未満の期間における給実甲第326号(人事院規則9―8(初任給、昇格、昇給等の基準)の運用について)(以下「事務総長通達」という。)第20条関係第5項に規定する人事評価の結果及び勤務成績を判定するに足りると認められる事実を総合的に勘案し、当該職員が規則第20条第2項に掲げる要件を満たす職員に相当するものと認められるかを判定するものとする。

 (2) 国際機関又は民間企業に派遣されていた等の事情により全体評語の全部又は一部がない職員を規則第20条第3項の規定により昇格させようとするときには、必要に応じて部内の他の職員との均衡に配慮しつつ、昇格させようとする日以前2年間における次に掲げる事項等を総合的に勘案するものとする。なお、規則第20条第3項の「国際機関若しくは民間企業に派遣されていたこと等の事情」には、国際機関又は民間企業に派遣されていたことのほか、例えば、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第109号)第3条の規定による育児休業をしていたこと、休職にされていたこと、人事交流等により規則第17条第1号から第4号まで及び第7号に掲げる者であったことなどを含むものとする。

  ア 当該事情の発生前又は消滅後の人事評価の結果及び勤務成績を判定するに足りると認められる事実(勤務成績を判定するに足りる事実が十分得られない場合には、昇格させようとする職務の級への決定の判定に必要であると認められる範囲で、昇格させようとする日から2年以上前の人事評価の結果及び勤務成績を判定するに足りると認められる事実)

  イ 当該事情により所属することとなった機関の業務への取組状況

 (3) 各庁の長は、1(2)イに掲げる「業務への取組状況」の把握に努めなければならないこと。

2 Ⅱ・Ⅲ種登用等の場合の2級上位の職務の級への決定について

  今般、採用年次や採用試験の種類にとらわれない給与決定を推進する観点から、事務総長通達第20条関係第6項に規定するとおり、「Ⅱ種・Ⅲ種等採用職員の幹部職員への登用の推進に関する指針(平成11年3月19日任企―73)」に基づき選抜された職員又はこれに準ずると認められる職員を選抜し育成する一環として昇任させた場合において、その者の職務がその昇任前に従事していた職務が分類されていた職務の級の2級上位の職務の級に分類されるべきものと評価することができるときには、各府省において2級上位の職務の級に決定するものとしているところ、同項の「これに準ずると認められる職員」とは、職員の選抜基準、育成方法などについて、同指針に定めるものに相当するものを各府省において定め、これに基づいて選抜された職員とする。

 

以   上

 

 

 

別紙2

 昇給制度に係る留意事項等について

 

1 公務に対する貢献が顕著であると認められる職員について

  事務総長通達第37条関係第2項に規定する「公務に対する貢献が顕著であると認められる職員」としては、以下の例として掲げるような場合に該当する職員が挙げられる。この場合において、ウからキまでに該当するような場合には、具体的かつ客観的な事実に基づくことが求められることに留意されたい。

 ア 遠隔の地その他生活の著しく不便な地に所在する官署に異動し、相当の期間勤務することとなったこと。

 イ 住居の移転を必要とする異動が頻繁に行われること等により相当の負担が生じていると認められること。

 ウ 次に掲げる事由に該当し、当該事由により所属することとなった機関での勤務又は当該事情の終了後において所属する組織への成果還元を通じた貢献が顕著であること。

() 任命権者を異にする官職への異動が行われること。

() 人事院規則11―4(職員の身分保障)第3条第1項第1号から第4号までの規定により休職にされること。

() 国際機関等への派遣等法律の規定により派遣されること。

() 人事交流等により規則第17条第1号から第4号まで及び第7号に掲げる者となったこと。

  所属する組織の業務に関し知識・経験を幅広く習得し、これに基づき、上司・同僚に対して有用な助言等を行い、組織の業務運営に対する貢献が顕著であること。

 オ 相当の期間にわたり繁忙度の高い業務や負担の大きい業務に精励し、組織の業務運営に対する貢献が顕著であること。

 カ 相当の期間にわたってみた場合の職務遂行状況が、通常の期待水準を超えるものであり、組織の業務運営に対する貢献が顕著であること。

  キ 特別な知識・経験等を必要とする業務を適切に遂行し、組織の業務運営に対する貢献が顕著であること。

  

2 D又はEの昇給区分の適用について

  D又はEの昇給区分の決定に当たっては、次に掲げる事項に留意することとされたい。

  なお、給与における成績主義を推進する観点からは、管理者と職員との間において日々の十分なコミュニケーションが図られていることが重要であり、とりわけ勤務成績が良好でないと認められる事実が見られる場合には、管理者は具体的な指導や注意を通じて、職員にあらかじめ自覚を促すなど十分な意思疎通を図ることが求められることにも、留意されたい。

 (1) 事務総長通達第35条関係に基づき、Dの昇給区分の適用対象とならない矯正措置の対象となる事実をあらかじめ定めたときは、その内容を給与第二課長あてに報告すること。

 (2) 規則第37条第2項の「その者の勤務成績を総合的に判断した場合に同号に定める昇給区分に決定することが著しく不適当であると認められるとき」及び第5項の「その者の勤務成績を総合的に判断した場合に当該昇給区分に決定することが著しく不適当であると認められるとき」とは、規則第37条第1項第3号若しくは第4項又は事務総長通達第37条関係第4項各号(第1号を除く。)若しくは第5項各号(第1号を除く。)に該当することとなる基礎となる事実がないものとした場合には、A又はBの昇給区分に決定されることとなる場合で、その者の昇給区分をD又はEに決定した場合には著しく公平を欠くこととなるときとすること。この場合において、「A又はBの昇給区分に決定されることとなる」具体的かつ客観的な事実及び「公平を欠くこととなる」理由を明示できる必要があること。

 

3 国際機関又は民間企業に派遣されていた等の事情により昇給評語の全部又は一部がない職員の取扱い

 (1) 国際機関又は民間企業に派遣されていた等の事情により昇給評語の全部又は一部がない職員について、事務総長通達第37条関係第11項の規定により人事評価の結果及び勤務成績を判定するに足りると認められる事実を総合的に勘案して昇給区分を決定しようとするときには、必要に応じて部内の他の職員との均衡に配慮しつつ、規則第34条に規定する評価終了日以前1年間における次に掲げる事項等を総合的に勘案し、規則第37条第1項各号に規定する職員のいずれに該当するものと認められるかを判定するものとする。その際、規則第37条第3項第1号の「国際機関又は民間企業に派遣されていたこと等の事情」には、国際機関又は民間企業に派遣されていたことのほか、例えば、国家公務員の育児休業等に関する法律第3条の規定による育児休業をしていたこと、休職にされていたこと、人事交流等により規則第17条第1号から第4号まで及び第7号に掲げる者であったことなどを含むものとする。なお、規則第34条に規定する評価終了日以前1年間において職員としての身分を保有するが全く職務に従事しなかった場合等規則第37条第1項各号に規定する職員のいずれに該当するものと認められるかを判定することができない職員(同日後昇給日までの間に新たに採用された職員を除く。)については、事務総長通達第37条関係第11項に規定する職員に該当しないことにより規則第37条第3項の適用がないことから昇給しない。

  ア 当該事情の発生前又は終了後の人事評価の結果及び勤務成績を判定するに足りると認められる事実

  イ 当該事情により所属することとなった機関の業務への取組状況

 (2) 各庁の長は、3(1)イに掲げる「業務への取組状況」の把握に努めなければならないこと。

 

4 昇給評語を付された時において、人事評価政令第6条第2項第1号又は第2号に掲げる職員であった職員の取扱い

  昇給評語を付された時において、人事評価政令第6条第2項第1号又は第2号に掲げる職員であった職員について、事務総長通達第37条関係第11項の規定により昇給区分を決定しようとするときには、規則第34条に規定する評価終了日以前1年間における人事評価の結果及び勤務成績を判定するに足りると認められる事実を総合的に勘案して規則第37条第1項各号に規定する職員のいずれに該当するものと認められるかを判定するものとする。この場合において、同項第1号に規定する職員に該当するものと認められる職員として、例えば、昇給評語がいずれも上位の段階である職員が考えられる。

 

5 Aの昇給区分に決定された職員の昇給号俸数の取扱い

  Aの昇給区分に決定された職員のうち、規則別表第7の4イに定める上段の号俸数を適用される職員の昇給号俸数を9号俸以上(同表に定める下段の号俸数を適用される職員にあっては3号俸以上、規則別表第7の4ロ又はハを適用される職員にあっては6号俸以上)とする場合には、具体的かつ客観的な事実に基づくことが求められることに留意する必要があるが、例えば、事務総長通達第37条関係第1項第1号の規定(いわゆる「第1順位グループ」)に該当し昇給評語のいずれかに「卓越して優秀」の段階がある勤務成績が顕著な職員であって、かつ、極めて負担の大きい業務又は他の職員では果たし得ない特別な知識・経験等を必要とする業務を遂行することによって組織の業務運営に対する貢献が顕著な職員であると認められる場合が考えられる。

 

6 その他

  事務総長通達第37条関係第15項第3号の「職務の複雑、困難及び責任の度等を考慮して(1)に掲げる職員に相当するもの」とは、一般職の職員の給与に関する法律第19条の4第5項の規定により期末手当基礎額を決定されることとなる職員以外の職員をいう。

 

以   上

 

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