新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について
(令和2年4月6日職職―151)
(人事院事務総局職員福祉局職員福祉課長発)
令和2年3月28日に新型コロナウイルス感染症対策本部において、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が決定され、状況の変化に即応した情報提供や呼びかけを行い、爆発的な患者の急増(オーバーシュート)リスクを回避するための国民の行動変容を求められております。
こうした提言や昨今の状況に鑑み、厚生労働省から労使団体に対して、要請が出されています。
参考 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10631.html
公務においても、感染拡大防止に向けて、上記方針等に基づき既に取り組まれていると思いますが、下記を参考にしていただき、更に取組を進めていただくようお願いします。
記
1 職場における対策の基本的な考え方
新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するためには、①密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、②密集場所(多くの人が
密集している)、③密接場面(お互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発声が行われる)という3つの条件が同時に重なる場を避け、健康管
理者及び職員それぞれが、職場内外での感染防止行動の徹底について正しい知識を持って、職場や職務の実態に即した対策に取り組んでいただ
くことが必要です。
このため、健康管理者においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組む方針を全ての職員に伝えていただくとともに、職員も
取組の趣旨を踏まえて感染拡大防止に向けた一人一人の行動変容を心がけていただくことが重要です。
2 大規模な感染拡大防止等に向けた対策について
新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するために、以下の内容を参考として、職場の実態に即した、実行可能な感染拡大防止
対策を検討してください。
その際、必要に応じて、健康管理医に対策の検討や実施に当たっての意見を求めるとともに、人事院規則10―4(職員の保健及び安全保
持)第14条に基づき職員の意見を聞いてください。
なお、新型コロナウイルス感染症への対応策については、新たな知見が得られる度に充実しているところであるので、逐次「新型コロナウイルス感染
症について」(厚生労働省ホームページ)を確認してください。
(1)職場内での感染防止行動の徹底
(換気の徹底等)
· 必要換気量(一人あたり毎時30㎥)を満たし「換気が悪い空間」としないために、職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設
備)の場合、換気設備を適切に運転・管理し、ビル管理法令の空気環境の基準が満たされていることを確認すること。
· 職場の建物の窓が開閉可能な場合は、1時間に2回以上(30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。)とすること。空気の流れを
作るため、複数の窓がある場合、二方向の壁の窓を開放すること。窓が一つしかない場合は、ドアを開けること。
(接触感染の防止)
· 物品・機器等(例:電話、パソコン、フリーアドレスのデスク等)については複数人での共用をできる限り回避すること。
· 職場で職員が触れることがある物品・機器等について、こまめに消毒を実施すること。
※ 手で触れる共有部分の消毒には、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きすることが有効であること。家庭用塩素系漂白剤
は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認の上、0.05%の濃度に薄めて使用いただきたいこと(使用方法の詳細はメーカーのホーム
ページ等で確認いただきたいこと)。
· せっけんによるこまめな手洗いを徹底すること。また、洗面台、トイレ等に手洗いの実施について掲示を行うこと。
· 入手可能な場合には、感染防止に有効とされている手指消毒用アルコールを職場に備え付けて使用すること。
· 外来者等に対し、感染防止措置への協力を要請すること。
(飛沫感染の防止)
· 咳エチケットを徹底すること。
· 風通しの悪い空間や人が至近距離で会話する環境は感染リスクが高いことから、その規模の大小にかかわらず、換気等の励行により風通しの悪
い空間をなるべく作らない等の工夫をすること。
· 職場においては、人と人との間に十分な距離を保持(1メートル以上)すること。また、会話や発声時には、特に間隔を空ける(2メートル以
上)こと。
· テレビ会議、電話、電子メール等の活用により、人が集まる形での会議等をできる限り回避すること。
· 外来者等との対面での接触や、これが避けられない場合は、距離(2メートル以上)を取ること。また、業務の性質上、対人距離等の確保が
困難な場合は、マスクを着用すること。
· 食堂での感染防止のため、座席数を減らす、昼休み等の休憩時間をずらして利用者の集中を避ける等の措置を講じること。
· その他密閉、密集、密接となるような施設の利用方法について検討すること。
(一般的な健康確保措置の徹底等)
· 疲労の蓄積(易感染性)につながることから長時間の超過勤務を避けること。あわせて、適切な勤務時間管理、超過勤務の抑制にも留意す
ること。
· 一人一人が十分な栄養摂取と睡眠の確保を心がけるなど健康管理を行うこと。
· 職場において、職員の日々の健康状態の把握に配意すること。(例:出勤前や出勤時等に体温測定を行うなど風邪の症状含め体調を確認
する等)
(2)通勤・外勤に関する感染防止行動の徹底
(接触感染の防止)
· 出勤・帰宅時、飲食前の手洗いや手指のアルコール消毒を徹底すること。
(飛沫感染の防止)
· 咳エチケットを徹底すること。
· 多くの人が公共交通機関に集中することを避ける、職場内の職員の密度を下げる等の観点から、時差出勤のほか、可能な場合には公共機関
を利用しない方法(自転車通勤、徒歩通勤等)の積極的な活用を図ること。
· 通勤時、外勤時の移動においては、電車等の車内換気に協力すること。
· 通勤時、外勤時の移動で、電車、バス、タクシー等を利用する場合には、不必要な会話等を抑制すること。
· 出張による移動を減らすため、テレビ会議等を活用すること。
(3)在宅勤務・テレワークの活用
· 職場や通勤・外勤での感染防止のための在宅勤務・テレワークを活用すること。
· 発熱、咳などの風邪症状を呈していないものの、濃厚接触等により感染のおそれがある職員が勤務を継続できるよう、在宅勤務・テレワークを活
用すること。
3 風邪症状を呈する職員への対応について
新型コロナウイルスに感染した場合、数日から14日程度の潜伏期間を経て発症するため、発症初期の症状は、発熱、咳など普通の風邪と見分
けが付きません。このため、発熱、咳などの風邪症状がみられる職員については、新型コロナウイルスに感染している可能性を考えた人事管理としてく
ださい。具体的には、次のような対応が考えられます。特に、①高年齢職員、②基礎疾患がある職員、③免疫抑制状態にある職員、④妊娠してい
る職員について配慮してください。
· 風邪症状がみられる職員への特別休暇の使用(症状によってはテレワークを指示することを含む)とともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
· 職員が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
· 風邪の症状が出現した職員が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起す
ること。
· 「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安(具体的な目安は以下を参照)」を職員に周知・徹底し、これに該当する場合には、帰国
者・接触者相談センターに電話で相談し、同センターから帰国者・接触者外来の受診を指示された場合には、その指示に従うよう促すこと。
「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」
次の条件のいずれかに該当する場合には、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせいただきたいこ
と。
① 一般の職員(②及び③以外の職員):
· 職員に風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む。高年齢職員や
基礎疾患等がある職員の場合は2日程度続く場合。)
· 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
② 高年齢職員をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など))がある職員や透析を受けている職
員、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている職員:
· 風邪の症状や37.5 度以上の発熱が2日程度続く場合
· 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
③ 妊娠中の職員:
· 風邪の症状や37.5度以上の発熱が2日以上続く場合
· 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
4 新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の対応について
健康管理者においては、職員に対し、新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)に該当した場合には人事当局
又は管理監督者へ報告することや、また、その場合には、職員が陽性者等になったことをもって、不利益な取扱いや差別等を受けることはないことを
あらかじめ周知してください。
5 新型コロナウイルス感染症に対する正しい情報の収集等
健康管理者においては、関係府省、地方自治体等がホームページ等を通じて提供している最新の情報を収集し、必要に応じ感染拡大を防止
するための知識・知見等を職員に周知してください。
6 妊娠中の女性職員への配慮について
妊娠中の女性職員については厚生労働省が妊婦の方々などに向けた新型コロナウイルス感染症対策を取りまとめていますので、以下のホーム
ページも参考にしてください。なお、使用者側として出勤を控えさせたい場合には、職員に対し職務命令として在宅勤務を命ずることなどにより勤務
する場所を指定することが考えられます。
参考 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10656.html
以 上