第28回(平成27年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

国土交通省
中国地方整備局

 平成26年8月の広島市土砂災害に際し、二次災害のおそれのある中、被災状況の確認、緊急渓流点検・危険度評価の実施、二次災害防止措置や河川・道路の直轄施設の復旧など、総力を挙げた対応に尽力したことが認められました。

 
 

☆地方整備局ではどのような業務を行っているのでしょうか。
 中国地方整備局は、中国地方5県(鳥取、島根、岡山、広島、山口)の主要な公共施設(河川、道路、空港、港湾等)の整備や管理等を通じて、中国地方の経済発展や安全・安心の確保等を図っています。特に、大規模な災害が発生した際は、地方自治体等に職員を派遣することなどにより、被害の拡大防止や早期復旧の技術的な支援を行っています。

☆平成26年8月の広島市土砂災害は、災害関連死を含め死者75名に及ぶ大規模なものでした。中国地方整備局として総力を挙げて対応に当たられた中で、特に苦労された点や留意された点をお聞かせください。
 広島市土砂災害は、未明の集中豪雨により多くの箇所で土石流が発生し、大きな被害となりました。中国地方整備局では直ちに災害対策本部を設置し、早朝から、広島市や政府現地対策室等へ職員を派遣するとともに、ヘリコプターによる調査や現地における被災状況調査を行いました。また、緊急に土石流が発生した沢の点検を行って危険度を判定し、関係機関等に情報提供を行いました。
 甚大な災害であったことから、情報収集、関係機関との連絡調整、対応方針の決定、災害協力業者の協力体制確保を行うなど、中国地方整備局の総力を挙げて速やかな復旧活動を行いました。被災した整備局管理の河川の仮復旧、道路のがれきや土砂の撤去と併せ、広島市からの支援要望を受けて用水路や市道の土砂撤去に着手するなど、整備局が一丸となって昼夜を問わず活動を行いました。

☆二次災害が発生する危険のある中で、自衛隊等の捜索活動の安全が確保されるよう、地方整備局の職員の方がまず危険度評価を行われたとのことですが、どのような状況下でどのような作業を行われたのかお聞かせください。
 現地は、土砂、がれき、流木、車両等が山積した上、沢からの流水により足場はぬかるんだ状態であったため、捜索活動や土砂撤去作業などは難航を極めていました。不安定な土塊が残り、災害の発生後にも降雨があったため、二次災害の発生が危惧される状況の中、まず整備局職員と国土技術政策総合研究所等の専門技術者等で班を編制し、土石流が発生した箇所を中心に、急峻で不安定な斜面を徒歩で立ち入って点検を実施しました。
 その点検結果に基づき危険度を評価し、現地で捜索活動を行っていた自衛隊員等の安全確保のために必要な情報提供と技術的助言を行いました。また同時に、その情報を広島県や広島市にも提供し、後の避難勧告解除や応急対応のための判断材料として利用されました。

☆昼夜を問わず土砂の撤去等の復旧作業に当たられるなど、職員の方々の御苦労は大変なものであったと思われますが、特に印象に残ったことなどがあればお聞かせください。
 地域の方々が一刻も早く元の生活を取り戻されるよう、災害に備えて協定を結んでいる民間建設会社の御協力の下、土砂撤去作業を昼夜を問わず行うことで、応急復旧の進捗に大いに貢献できたと考えています。
 また、ボランティア活動や多くの地域の方々が生活している中での作業であったため、「被災者や地域住民へ寄り添う気持ち」を心掛け、丁寧な説明や要望の把握に努めるだけではなく、要望に対するフォローアップも確実に実施しました。
 こうした取組により地域の方々からの信頼感が醸成され、御協力が得られたことから、早期の対応に結び付いたと考えています。

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。
 国土交通省では、社会資本の整備や管理を進めるとともに、大規模災害発生時には、被害の拡大防止、被災地の早期復旧及び支援に努めてまいりますが、近年、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化してきており、また、今後、発生が想定される地震・津波、大規模な火山噴火などへの対応も必要となってきています。自然災害から命を守るためには国民一人一人が災害時に適切な避難行動を取っていただく必要があります。ハザードマップや避難情報の確認など、日頃から災害への備えをお願いします。

▲被災直後の状況

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