第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第4章 公務部門における障害者雇用に関する取組

1 2019年度障害者選考試験の実施

(1)障害者選考試験の概要

「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)においては、人事院に対して、「能力実証等の一部を統一的に行う障害者を対象とした選考試験」の実施が要請されており、その時期については、平成30年度は「各府省が年度中に採用を行えることを最優先に」、令和元年度は「各府省が同年中に採用を行えるよう」検討することが要請されている。

人事院では、この要請を受けて必要な検討を行い、各府省とともに、障害者手帳を有する者(※)を定型的な事務をその職務とする係員として採用するための障害者選考試験を実施した。具体的には、平成30年度においては平成31年2月から3月にかけて、令和元年度においては令和元年9月から11月にかけて、人事院が第1次選考として基礎能力試験及び作文試験を統一的に実施し、その通過者の中から各府省が第2次選考として採用面接を行って最終合格者を決定する形で実施した。

(※)次に掲げる手帳等の交付を受けている者であって、第1次選考の日の属する年度の4月1日における年齢が17歳以上59歳未満のもの

ア ① 身体障害者手帳

② 身体障害者福祉法第15条の規定により都道府県知事の定める医師が、当該都道府県において同条の申請に用いられる様式により作成した、障害の種類及び程度並びに障害者の雇用の促進等に関する法律別表に掲げる障害に該当する旨が記載された診断書・意見書

③ 産業医又は規則10-4第9条等に規定する健康管理医による②に準じる診断書・意見書(心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう若しくは直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫又は肝臓の機能の障害に係るものを除く。)

イ 都道府県知事若しくは政令指定都市市長が交付する療育手帳等又は児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医若しくは地域障害者職業センターによる知的障害者であることの判定書

ウ 精神障害者保健福祉手帳

(2)平成30年度障害者選考試験からの変更点

2019年度障害者選考試験は、平成30年度障害者選考試験の実施状況等を踏まえ、受験上の配慮等の必要な変更を行った上で実施した。

第1次選考においては、視覚障害のある受験者について、電子ファイルの試験問題集により受験できることを明示するとともに、聴覚障害のある受験者について、試験官発言事項の書面伝達に加えて試験室への手話通訳士の配置を選択可能とした。

第2次選考においては、受験者の面接機会の確保に資するよう、人事院が第1次選考時に受験者の面接希望機関(1人最大3機関まで)を把握し、受験者ごとに面接希望機関の面接日を割り振ることとした。また、各府省から受験者への内定の提示連絡の解禁日を定めることとした。

(3)実施結果等

2019年度障害者選考試験においては、当初の採用予定者数248人に対し、申込者数は4,574人、合格者(採用内定者)は244人であった。なお、第1次選考の実施に当たり、641人から受験上の配慮の申出があり、点字による試験、電子ファイルの試験問題集による試験、試験官発言事項の書面及び手話通訳による伝達等の配慮を行った。

基本方針の策定後、各府省においては、法定雇用率の達成に向け、障害者採用計画に基づき、障害者選考試験からの採用を含む障害者の採用が行われてきた。その結果、厚生労働省の発表によれば、令和元年末において、全ての国の行政機関で法定雇用率が達成されることとなった。(令和2年2月厚生労働省「国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果」)

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