第1編 人事行政

第2部 公務職場の魅力と課題を考える~国家公務員の意識調査データを通して~

おわりに

前記のとおり、4年前、人事院は、本府省庁に勤務する一部の職員を対象に公務職場に関する意識調査を実施した。その結果は各府省庁にフィードバックしたが、そのこともあり、最近ではそれぞれの府省庁において「満足度調査」、「エンゲージメント調査」などが実施されている。しかしながら、全府省庁の常勤職員全員を対象に、共通の項目を設定しての意識調査は、これまで実施されていない。その点でも、今回の意識調査は有意義なものであると考えている。

今回の意識調査は、年度末の多忙な時期であったことに加え、新型コロナウイルス感染症対策に係る業務、出勤回避措置や在宅勤務の奨励など例年とは異なる勤務状況下での実施であった。このような状況の中、回答が任意であるにもかかわらず、6万人を超える職員から回答を得た。協力いただいた職員、そして対象職員に周知していただいた各府省庁の人事担当部局の方々には、改めて感謝申し上げたい。

今回の意識調査では、所属する組織や職場における国民・社会に対する奉仕・貢献に関するもの、ハラスメント防止に関するもの、法令やルールの理解や遵守に関するものは、おおむね肯定的な評価がなされており、他方、人員配置や業務効率化といった働き方に関するもの、将来のキャリアや生活に関するものについては、おおむね否定的な評価がなされていた。平成28年度調査の結果も踏まえ、「国民や社会への奉仕」、「コンプライアンス」、「働き方改革とワーク・ライフ・バランス」、「成長実感や将来イメージ」という枠組みで整理し、それぞれについて結果を詳述し、課題改善に向けた方策等について言及した。今回改善が必要と指摘した課題に対応することは、職員にとって職場満足度が向上し、公務組織の活力が高まることにつながるとともに、公務外の方々からの公務職場に対する信頼・魅力が増すこと、さらには人材確保にも寄与するものである。

今回報告した分析手法や整理は一例であり、他の分析手法でも分析を行うことができ、また、今回示した解釈とは別の解釈が成り立つ余地もあると考えられる。結果データについては、今後、人事院のホームページ上で利用可能な形で公表する予定であり、人事院としても様々な機会を捉えて追加的に分析していくこととしたい。さらに、このような意識調査の目的は、職場環境や人事管理の改善に活用していくことであることから、今回の意識調査の結果を、各府省庁のトップ層や人事担当部局、各職場の管理職員が、それぞれの実情に応じて理解し、課題と認識したものについては改善に向けた取組を実践することが重要である。各府省庁において意識調査の結果を活用していただくためにも、各府省庁に対して丁寧にフィードバックする予定である。

公務職場の課題を改善していくには、継続的な現状把握と不断の検証が必要であることから、このような意識調査は今後も継続的に実施していくこととしたい。今回の回答者数は常勤職員の在職者数の2割程度であったことから、次回の意識調査を実施するに当たっては、より多くの職員に回答していただくよう実施時期や実施手法などについて各府省庁と十分相談しながら検討していく必要があると考えている。また、今回は日本国内に勤務する常勤職員のみを対象としたが、対象者を拡大することも今後の課題である。

本報告を契機として、公務職場に関する議論が喚起され、公務職場の魅力と活力を高める取組を進めることにより、公務に有為な人材を確保するとともに、職員が生き生きと働きその能力を十分に発揮することを通じて、行政運営の更なる向上につながることに期待したい。