第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第4章 定年の引上げ及び能力・実績に基づく人事管理の推進

1 定年の引上げ

少子高齢化が急速に進展する中において、複雑・高度化する行政課題に的確に対応し、質の高い行政サービスを維持していくためには、高齢層職員の能力及び経験を本格的に活用することが不可欠である。このため、平成30年8月10日、人事院は、国会及び内閣に対し、定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出を行った。

これを受けて政府において検討が行われた結果、令和3年4月13日、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、第204回国会に提出された。同法案は、衆議院内閣委員会、参議院内閣委員会における審査を経て、6月4日の参議院本会議で可決・成立し、同月11日に「国家公務員法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第61号)が公布された(令和5年4月1日施行)。この法律においては、令和13年4月1日に定年が65歳となるよう、令和5年4月1日から2年ごとに1歳ずつ定年を引き上げることとされている。また、60歳に達した管理監督職の職員は原則として管理監督職以外の官職に異動させることとする管理監督職勤務上限年齢制(いわゆる役職定年制)、60歳以降の職員について多様な働き方を可能とする定年前再任用短時間勤務制等が新たに設けられるほか、60歳に達した職員の給与について、当分の間、原則として、60歳前の7割水準に設定する特例を設ける等の措置が講じられている。

人事院においては、各府省等及び職員団体からの意見等も踏まえつつ検討を行い、令和4年2月18日に定年の段階的引上げに伴う規則の制定・改正等を行った(令和5年4月1日施行)。人事院としては、高齢層職員の能力及び経験の本格的な活用に向けて、定年の引上げが円滑に行われるよう、規則等の内容を周知するなど、各府省等とともに必要な準備を進めていくこととしている。

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