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第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第6章 不利益処分に対する救済

2 社会保険庁の廃止に伴う分限免職処分に係る判定の要旨


社会保険庁の廃止に伴う分限免職処分に係る審査請求事案においては、分限免職回避の取組が十分に行われたかが主な争点となり、人事院は、人事の公平性・公正性の観点から、処分取消の場合については、おおむね以下のとおり判定した。

取消判定の要旨
(全ての取消判定に共通する判断要旨)

  • 本件処分は、日本年金機構法により、社会保険庁を廃止し、公的新法人の日本年金機構を設置することに伴うものであり、国公法第78条第4号の官制の改廃により廃職を生じた場合に該当する。
  • 社会保険庁及び厚生労働省は、分限免職処分を回避するため種々の取組を行ったと認められるが、他府省による受入れが金融庁及び公正取引委員会による計9人と限定的であったこと、平成21年度の新規採用を相当数行ったこと、社会保険庁の廃止に伴って生じる残務整理のため認められた暫定的な定員を活用せず、平成22年度の新規採用を相当数行ったこと、取組の開始時期が遅かったこと等、取組には不十分な点も認められ、少なくとも公務部門における社会保険庁職員の受入れを、限定的ではあるが一部増加させる余地はあったと認められる。

(個別事案の判断要旨)

  • 地方厚生局等に転任候補者として選考された職員と同等又は同等以上の評価結果にありながら選考されるに至らなかった請求者に対して行われた本件処分は、人事の公平性・公正性の観点から妥当性を欠き、取り消すことが相当である。
  • 地方厚生局等に転任候補者として選考された職員より下位の評価結果であるものの、公務災害であることを前提としないまま、転任候補者として選考されずに行われた本件処分を維持することは妥当性を欠き、取り消すことが相当である。
  • 請求者に対する当局の対応は、育児休業等により2年間職場を離れており、かつ、懲戒処分を受けたことで機構への採用を希望できなかった請求者に対し、機構に応募できる者と同様の資料等を送付するのみで、面談等による説明や意向把握を何ら行わなかったこと等、重大な手続上の瑕疵があったと言わざるを得ないものであり、分限免職回避努力が尽くされたとは認められないことから、本件処分は、妥当性を欠き、取り消すことが相当である。

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