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第1編 《人事行政》

【第2部】女性国家公務員の採用・登用の拡大に向けて

第4章 女性国家公務員の採用・登用の拡大に向けて

第2節 登用の拡大に向けて

2 管理者・人事当局の意識・姿勢へのアプローチ

女性職員の登用に当たっては、直接の上司や人事当局の意識や姿勢が大きな影響を及ぼすことから、これらの者の意識改革や人事管理への配慮を促しつつ取組を進めることが必要となる。

(1)管理者の自覚の醸成と的確な対応の徹底

女性職員の登用の拡大において、管理者の果たす役割は非常に重要である。

管理者は、日常の業務遂行においては、男女の別なく必要な助言・指導を行うことが必要とされるとともに、例えば育児などのライフイベントによる女性職員の職務からの一時的な離脱・復帰の際あるいはその最中においては、相談や情報提供を円滑に行うなど適時・適切な対応を行うことが求められる。

このような役割の重要性を管理者に周知するため、女性登用施策の必要性を認識したり、助言・指導の際のコミュニケーション手法などを学ぶための場の設定と参加の奨励が必要である。各府省は、それぞれが行う研修の場や人事院が今年度新設した女性職員登用推進セミナーなどの場を活用し、管理者の意識の向上等を図っていく必要がある。特に、女性管理職の割合が低い地方機関の管理者にそのような機会の活用を促すべきである。

(2)「育成」と「配慮」のバランスのとれた人事管理

出産・育児等の家庭責任を負う職員に配慮し、両立支援制度を利用しやすい環境を整えることは、管理者の重要な責務である。一方、育児・介護等の家庭責任を担う職員であっても、その状況は様々であり、育児等を行っていることを理由に、一律にそれらの職員を時間的な制約の少ない定型的業務中心のポストに配置することは適当ではない。能力と意欲のある職員には、たとえ超過勤務が制限されるような状況であっても、能力・適性に応じ、管理職に登用される過程において経験すべきポストに就く機会を与え、管理職への育成を図っていくことが重要である。

なお、家庭責任を負う女性職員を超過勤務等が想定されるようなポストに就けた場合、本人の努力にもかかわらず、周囲の者がその支援のため負荷を負う可能性も否定できないが、そのような場合には、管理者や人事当局が必要に応じて職場における業務分担や人員配置の工夫を行うとともに、負荷を負う周囲の職員に対し、その努力を「見ている」とのメッセージを伝え、人事評価においても適切に評価するなどにより、支え合う環境を創り出すことが必要である。

(3)育成計画の弾力化

女性職員が出産・育児等のライフイベントにより職務からの離脱を余儀なくされる時期は、人によって様々であり、マネジメントに必要な特定のポストや研修を同期採用者と横並びで経験しなければ将来的に管理職に昇進できないとする固定的な人事管理では、能力ある女性職員にその機会を失わせることにもなる。管理職となるために必要な職務を経験させる機会や研修受講の機会を年次等にかかわらず柔軟に設定することにより、休業等による職務経験の不足を回復させ、チャレンジする機会を付与することが必要である。


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