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第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第2章 人事行政の公正の確保

1 人材の確保


(1)平成27年度採用試験日程の繰下げ

民間企業の採用選考活動は、学生の学修時間の確保や教育の充実、海外の大学等へ留学等を推進するため、平成27年度卒業・修了予定者から8月1日以降に遅らせて開始されることとなった。これを踏まえて、国家公務員採用試験についても、総合職試験(院卒者試験、大卒程度試験(法務区分、教養区分を除く。))については、第1次試験日以降の試験日程を平成26年度までの日程から1か月程度繰り下げることとし、一般職試験(大卒程度試験)と専門職試験(大卒程度試験)については、総合職試験日程の変更に合わせて第2次試験日及び最終合格者発表日を若干繰り下げることとした。

平成27年度の国家公務員採用試験日程の変更については、人事院ホームページ等において詳細に情報提供を行いつつ、各府省、受験者等に向けて、その内容を改めて周知することにより、国家公務員採用試験の円滑な実施に向けて取り組んだ。

平成27年度国家公務員採用試験(総合職試験)の日程

申込受付期間(インターネット) 4月1日(水)~4月8日(水)
第1次試験日 5月24日(日) [平成26年度は4月27日(日)]
第2次試験日(筆記) 6月28日(日) [平成26年度は5月25日(日)]
第2次試験日(政策課題討議・人物) 7月2日(木)~7月17日(金) [平成26年度は5月27日(火)~6月13日(金)]
最終合格者発表日 7月31日(金) [平成26年度は6月23日(月)]

(2)総合職試験における外部英語試験の活用

人事院では、行政の国際化を踏まえ、従来から、国家公務員採用試験において、英語の出題割合を増やしているほか、平成24年度から、総合職試験の一部の試験種目(政策課題討議試験・政策論文試験)の出題に英文資料を使用するなど、英語試験の強化に取り組んでいる。

業務の国際化が進む中にあって、国家公務員採用総合職試験からの採用者が従事する政策の企画立案等の業務の遂行に当たっては、基礎的な英語能力を備えていることが望ましいと考えられることから、人事院は、採用試験において、読む、書く、聞く、話すといった実践的な英語能力を検証することとした。その際、既存の外部団体が実施する英語試験のうち、広く利用され、内容や水準についても社会的な信頼を得られていると認められるものを活用することが適当であると判断し、平成27年度以降に実施する総合職試験の全ての試験区分において、実践的な英語能力を測定できる外部の英語試験を活用することとした。その後、外部英語試験の具体的な活用方法等について専門家や関係者の意見を聞きつつ検討を進め、平成25年12月に、活用する英語試験の種類や基準となる点数を含む活用方法全体の概要を公表した。

さらに、平成27年度の総合職試験からの実施に向けて、平成26年10月、規則の改正を行うとともに人事院公示を制定した。あわせて、外部英語試験による加算を求める際に必要となる書類など外部英語試験の活用の詳細な内容について、人事院ホームページ等において情報提供を行い、試験の円滑な実施に向けて取り組んだ。

総合職試験における外部英語試験の活用方法等

1 対象となる試験区分

総合職試験(院卒者試験・大卒程度試験)の全ての試験区分

2 活用する英語試験

TOEFL(iBT)、TOEIC、IELTS、実用英語技能検定(英検)の4種類

3 活用方法

(1)対象となるスコア等と加算点

活用対象となる英語試験のスコア等を有することが確認された受験者に対し、最終合格者決定の際に、有するスコア等に応じて総得点に以下のとおり加算を行う

  TOEFL(iBT) TOEIC IELTS 英検
15点加算 65以上 600以上 5.5以上
25点加算 80以上 730以上 6.5以上 準1級以上

(2)スコア等の有効期間

試験実施年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験した英語試験のスコア等を有効とする(第2次試験(人物試験)の際に確認)

(3)総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分等の見直し

行政課題の複雑化、グローバル化が進展する中、既存の専門分野にとらわれることなく、多様な有為の人材を確保していくことが不可欠となっている。また、近年、社会全体として女性の登用拡充の機運が高まっており、公務においても女性の採用の拡大が重要な課題となっている。

このような状況を踏まえ、人事院は、平成26年8月7日の人事院勧告時の報告において、「法律や経済といった専攻分野以外の分野からも、公務に期待される能力を有する女性を幅広く採用できるよう、多様な受験者が受験しやすいものにする観点から、総合職試験の試験内容等の見直しについて検討を進める」旨を表明した。

人事院では、各府省や大学関係者の意見を聴取するなど、試験内容の見直しについて検討を進めた結果、平成28年度から、総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分における専門試験の試験内容を、政治学又は国際関係を専攻する受験者の専門分野を重視した内容に見直すこととし、平成26年12月19日に具体的な見直しの内容を公表した(資料1-25参照)。このうち必須問題については、これまで、政治学、国際関係、憲法、行政法、民法、経済学、財政学、経済政策の8科目から32題出題していたものを、政治学、国際関係、憲法の3科目から25題の出題に減らすこととした。選択問題については、これまで、選択A(政治学・行政学から8題出題)、選択B(国際関係・国際法から8題出題)のいずれか一つを選択することとしていたものを、行政法、民法、経済学、財政学、経済政策、行政学、国際法、国際事情の8科目30題から任意の15題を選択して解答する方式に変更することとした。平成28年度の採用試験の実施に向けて、平成27年3月2日、人事院公示の改正を行い、受験者等に対する積極的な周知活動を行っている。

なお、総合職試験(院卒者試験)「行政」区分の専門試験についても、「選択Ⅰ(政治・国際系)」において同様の改正を行った。

平成28年度以降の総合職試験(大卒程度試験)「政治・国際」区分の試験内容

1 専門試験(多肢選択式)

[必須問題]
政治学⑩、国際関係⑩、憲法⑤
[選択問題]
次の8科目30題から任意の15題を選択して解答
行政法⑤、民法③、経済学③、財政学③、経済政策③、行政学⑤、国際法⑤、国際事情③
※○内の数字は出題予定数。

2 専門試験(記述式)

次の8題のうち3題を選択して解答
政治学、行政学、憲法、国際関係A、国際関係B、国際法、公共政策A、公共政策B

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