第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第2章 働き方改革と勤務環境の整備等

1 長時間労働の是正

国家公務員の超過勤務は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に各省各庁の長から命じられて行うものとされており、民間労働者の時間外労働と枠組みは異なっている。しかしながら、公務においても職員の健康確保や人材確保の観点等から長時間労働を是正すべき必要性は異なるものではなく、超過勤務の縮減に取り組んでいく必要がある。

人事院は、これまで、「超過勤務の縮減に関する指針」(平成21年職員福祉局長通知)で年間の超過勤務の上限目安時間数を示してきたが、長時間労働の是正のための制度等の検討を進め、平成30年6月に成立した働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の内容も踏まえ、超過勤務命令を行うことができる上限を、勤務時間法に基づき人事院規則で定めること等について、同年8月10日の国会及び内閣への報告において言及した。

その後、必要な検討を進めた結果、超過勤務命令を行うことができる時間の上限について、規則15−14(職員の勤務時間、休日及び休暇)の一部を改正し、原則として1箇月について45時間かつ1年について360時間と、他律的業務の比重の高い部署においては1箇月について100時間未満、1年について720時間かつ2箇月から6箇月までの各1箇月当たりの平均を80時間とするなどの措置を講ずることとした。ただし、大規模災害への対処、重要な政策に関する法律の立案、他国又は国際機関との重要な交渉その他の重要な業務であって特に緊急に処理することを要する業務に従事する職員に対しては、上限の時間を超えて超過勤務を命ずることができることとした。この場合には、各省各庁の長は、上限を超える超過勤務を必要最小限のものとし、かつ、その職員の健康の確保に最大限の配慮をするとともに、超過勤務を命じた日が属する1年の末日の翌日から起算して6箇月以内に、当該超過勤務に係る要因の整理、分析及び検証を行わなければならないこととした。

また、長時間の超過勤務を行った職員の健康確保措置を強化するため、規則10−4(職員の保健及び安全保持)等の一部を改正し、1箇月100時間以上の超過勤務を行った職員及び2箇月から6箇月までの各1箇月当たりの超過勤務時間の平均が80時間を超えた職員に対しては、職員からの申出がなくとも医師による面接指導を義務化するとともに、超過勤務の多い職員から申出があった場合の面接指導について、その対象となる超過勤務時間数の基準を1箇月について100時間から80時間に引き下げた。勤務時間管理については、面接指導を実施するため、職員の勤務時間の状況を記録することを義務付け、課室長等による超過勤務予定の事前確認や、所要見込時間と異なる場合の課室長等への事後報告を徹底させるとともに、超過勤務時間の確認を行う場合は、課室長等や周囲の職員による現認等を通じて行うものとし、客観的な記録を基礎として在庁の状況を把握している場合は、これを参照することもできることとした。

あわせて、より適正に職員の健康管理を行えるよう、健康管理医の職務の明確化、健康管理医が職員の健康管理指導等を適切に行うために必要な情報の提供、健康管理医の業務に関する事項の周知などにより、健康管理医の機能強化を図ることとした。

これらの措置を講ずるための規則の改正等は、平成31年2月1日に公布・発出し、同年4月1日から施行した。

さらに、年次休暇の使用を促進するため、人事院は、平成30年12月7日に「計画表の活用による年次休暇及び夏季休暇の使用の促進について」(平成30年職員福祉局長通知)を発出し、平成31年1月1日から、各省各庁の長は、休暇の計画表の活用等により、一の年の年次休暇の日数が10日以上の職員が当該年において年次休暇を5日以上確実に使用することができるよう配慮することとした。

公務における長時間労働の是正は重要な課題であって、政府全体で連携して取り組んでいくことが必要であり、人事院としても、必要に応じて制度の運用状況を把握し、各府省を指導していくなど、引き続き適切に役割を果たしていくこととしている。