第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第3章 多様な人材の確保・育成等

2 人材の育成

(1)行政研修における取組

ア 初任行政研修の内容の充実

平成30年度初任行政研修においては、実地体験科目での派遣先・内容の充実を図るとともに、過去の行政事例を題材として行う行政政策事例研究で新たな事例開発を行うなど、カリキュラムの充実を図った。

東日本大震災の被災地で活動する現地のNPO法人や、官民で連携した地方創生の活動に取り組むNPO法人等へ研修員を派遣する「被災地復興・地方創生プログラム」では、サッカークラブの運営を通じて地域振興に取り組む愛媛県今治市の「今治。夢スポーツ(FC今治)」、地域の未来を創る若手実践家の育成と市民の地域活動支援に取り組む島根県雲南市の「おっちラボ」の2団体への派遣を新たに開始した。また、歴史的意義の大きい過去の行政事例を題材として研究発表を行う「行政政策事例研究」においては、新たに「日米外交史」を新規題材として取り上げた。日米外交に関する事例研究に当たって、外務省外交史料館を訪問し公文書管理の意義について理解するとともに、当時の事情について通暁した研究者や行政官OBからの講義を聞き、公開された外交文書を活用して、沖縄返還や日米貿易・経済問題などについて理解を深めるカリキュラムを実施した。

イ 課長補佐級研修の見直し

課長補佐級研修については、カリキュラムの特色付けとして、若手の課長補佐を対象として、組織マネジメントやこれからの働き方、キャリア形成について考えるコースを新設した。また、彩の国さいたま人づくり広域連合との合同研修として、国の職員と県の職員が、高齢化する地域社会の課題や今後の在り方について、公務員研修所に隣接した地域のニュータウンを訪ねて実情に触れるとともに、都市計画の専門家からの基調講義と課題提示に基づき、共通の政策課題研究を行い、相互に研究成果の発表と意見交換を行うコースを初めて実施した。リーダーシップ研修では、東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)との共同プログラムを引き続き実施したほか、現場訪問先として新たに愛媛県と連携し、研修員のグループ研究課題に応じた自主的な活動(ヒアリング等)を日程に組み込んで支援するなど研修内容の更なる充実に取り組んだ。

(2)テーマ別の研修等における取組

ア キャリア開発セミナー30の試行

平成28年度及び平成29年度の年次報告書第2部において行った職員意識調査結果等を踏まえ、キャリア形成支援の観点から、30歳台の係長級職員を対象に、これまでの自身の職業キャリアを振り返り、今後のキャリア形成を考える機会を提供する「キャリア開発セミナー30」を新たに開発し、平成30年度試行実施した。

イ 幹部・管理職員を対象とした研修の実施

平成29年度の終わり頃から決裁文書の改ざん、幹部職員によるセクハラ等の問題により、公務員に対する国民の信頼を大きく損なう事態が発生したことから、職員の模範となるべき各府省幹部職員を対象とした研修を新たに実施した。具体的には、本府省の新任審議官級職員に対して従来から実施している昇任時相談窓口等体験研修の事後研修の実施機会に併せて、国民全体に奉仕するという公務員の使命等を改めて認識することなどを目的として、事務次官経験者が自らの経験に基づいた公務員としての在り方等についての講義を行った。また、本省局長に対し、公務員不祥事等を自己の問題として捉えるため、所属組織や職務に即して発生し得る不適切事例やそれに対してとるべき行動を具体的に考えさせる討議を行うなどの研修を新たに実施した。