第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第5章 人事行政分野における国際協力

◎ 主要国の人事行政機関の幹部職員等を、毎年招へいし、人事行政の最新の実情について意見交換を行っている。平成30年度は、ドイツ及び英国から政府幹部職員を招へいし、「幹部公務員の倫理感の維持・不正防止」をテーマに、日本行政学会との共催による国際講演会を実施した。

◎ アジア諸国の公務員制度改革を継続的に支援し、日本の公務員制度に高い関心を持つ国との人的ネットワークを構築するため、平成29年度から、アジア諸国の人事行政機関の専門家を招き、意見交換を実施している。平成30年度は、前年度に引き続き、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール及びタイの5か国から専門家を招へいし、人材の確保・育成に関する意見交換を実施した。

◎ 平成17年1月より、中国及び韓国の中央人事行政機関と日中韓人事行政ネットワークを構築し、各種協力事業を実施している。平成30年度は、6月に東京において、「三国の公務員の倫理制度」をテーマに第11回三国共催シンポジウムを開催した。

(1)主要国政府幹部職員等招へい事業

人事院は、人事行政の専門機関として、各国人事行政機関との交流を通じて人事行政分野における協力を推進するとともに、我が国の公務員制度が直面する課題に関し、各国の経験や取組から示唆を得ることを目的として、毎年、主要国の人事行政機関の幹部職員等を招へいし、人事行政の最新の実情について意見交換を行っている。平成22年度からは、日本行政学会との共催により、2か国から政府幹部職員等を同時に招へいし、国際講演会等を実施している。

平成30年度においては、ドイツ及び英国から政府幹部職員を招へいし、「幹部公務員の倫理感の維持・不正防止」をテーマとした国際講演会を11月に開催した。

講演会においては、ドイツ連邦内務・建設・祖国省公務員局長のアンスガー・ホラー氏より、ドイツにおける公務に対する国民の評価、上司の命令に対する官吏の異議申立ての権利、政治的官吏の役割等について、英国内閣府服務・倫理担当部長のトリスタン・ペデルティ氏より、大臣規範及び国家公務員規範の概要、職員に規範を遵守させるための取組、英国の直面する課題等について説明があった。

本講演会には各府省職員、研究者、学生等約100人が参加し、被招へい者に対し、多くの質問が寄せられた。

(2)アジア諸国人事行政担当機関職員招へい事業

経済成長や政治の民主化を進めるアジア諸国においては、専門能力を持つ士気の高い公務員が行政を担うよう、欧米型の近代的な公務員制度を範としつつ、公正で能率的な仕組みの構築に向けた改革が進められており、人事行政分野の改革においては、我が国の公務員制度に強い関心が寄せられている。

人事院では、こうしたニーズを踏まえ、アジア諸国の公務員制度改革を継続的に支援し、人的ネットワークの拡大を図るため、平成29年度から、アジア諸国の人事行政機関の専門家を招き、公務員人事管理の現状や公務員育成に関する意見交換を実施している。

平成30年度は、インドネシア人事委員会、マレーシア公務員庁、フィリピン人事委員会、シンガポール首相府公務員局及びタイ人事委員会事務局の5機関から、課長級を中心とした専門家を招き、「公務における有為な人材の確保・育成」を共通テーマに、各国の取組や課題について意見交換を実施した。

(3)日中韓人事行政ネットワーク

人事院は、平成16年11月の日中韓首脳会議において承認された「日中韓三国間協力に関する行動戦略」に基づき、人事行政分野における協力枠組みとして、平成17年1月に、中国人事部(現:中央組織部)及び韓国中央人事委員会(現:人事革新処)との間で日中韓人事行政ネットワークを発足させ、現在まで各種協力事業を実施するなど、日中韓協力の一翼を担っている。

本ネットワークにおいては、三国の公務員制度における重要な課題や最新の取組を把握するため、原則毎年、三国による持ち回りで三国共催シンポジウムを実施している。平成30年度は、「三国の公務員の倫理制度」をテーマとして、池本武広国家公務員倫理審査会事務局長、李涛(リ・タオ)中国中央組織部国家公務員局公務員管理室副巡視員及び林炳根(リム・ビョングン)韓国人事革新処財産審査課長による第11回日中韓三国共催シンポジウムを6月に東京において実施し、各府省職員、研究者、学生等約70人が参加した。

シンポジウムにおいては、三国の最新の公務員倫理制度の状況やその課題について発表が行われた後、発表者による討議及び会場からの質疑応答が行われた。

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