第1編 人事行政

第2部 風通しのよい職場環境づくりに向けて〜職員の声から見える公務職場の実情を踏まえて〜

はじめに

職員が勤務条件や職場環境等に関して日頃から考えていることを知ることは、よりよい職場環境づくりを行うに当たって不可欠である。これらを把握する方法としては様々なものがあるが、職員からこれらに関して相談することのできる窓口に寄せられた声を捉えることも、一つの有力な方法である。

人事院は、平成12年6月に、各府省の職員から勤務条件その他の人事管理に関する苦情相談があった場合の手続を定め、これに従って、勤務条件や勤務環境等について悩み・不満等を抱える職員からの苦情相談に対応している。一人ひとりの職員の声を聴き、その悩みや不満等に応えるものであり、地道な作業を求められる業務であるが、職員の苦情を迅速かつ適切に解決するための方策の一つとして、重要な役割を果たしてきている。

この枠組みが発足してから、20年近くが経過したが、これまでに2万件を超える相談が寄せられており、この点からも人事院の苦情相談業務が各府省の職員から理解を得ていることがうかがえる。その内容については、任用関係、給与関係、勤務時間・休暇・服務等関係、健康安全関係、ハラスメント関係など、多岐にわたっており、職員が人事管理に関し様々な悩みを抱えていることが分かる。

また、近時の公務職場を見ると、育児、介護など多様な事情を抱えている職員が顕在化してきていることや、若手職員について、価値観が多様化していること、自らの今後のキャリアに不安を感じ、将来的にどのように成長していけるのかを知りたいと思っていることなど、新たな形態の悩みや不満等も生じてきていることがうかがえる。

こうした悩みや不満等については、人事院が平成28年度の年次報告書第2部において行った意識調査、平成29年度の年次報告書第2部において行った意識調査(以下「平成29年度意識調査」という。)においても、そうした傾向が見られたところであり、平成29年度の年次報告書第2部では、特にその傾向が強く、実務の中核となっている30代職員を取り巻く環境等について整理した上で、課題を考察し、それらに対する方策について提起を行ったところである。

今回、本報告書において、実際に寄せられた苦情相談等を題材として取り上げ、個々の職員の職業生活における悩みや不満等から見えてくる課題を捉え、それに対してどのように対処していくかについて提言することで、個々の職場や管理職員が、職場環境やマネジメントを日々改善していく上での取組の一助としていただくことを期待している。

具体的には、第1章において、人事院における苦情相談制度の概要や相談内容の傾向などについて述べるとともに、第2章において、具体的な苦情相談の事例を紹介し、職場における職員が抱えている悩みや不満等、さらにはそれを生じさせている公務職場における課題などを浮き彫りにする。

あわせて、公務職場に関する若手・中堅職員を対象としたアンケート(以下「若手・中堅職員アンケート」という。)及び管理職員を対象としたアンケート(以下「管理職員アンケート」という。)を通じて、職員の悩みや不満等、公務職場の抱える課題の要因はどこにあるのかという点について、補完的に探っていく。

その上で、第3章において、こうした悩みや不満等が顕在化する前に、これらを効果的に解消していくために、どのような方策が考えられるのか、具体的には、管理職員に求められること、職場全体として取り組んでいくべきこと、それらに対して人事院として果たすべき役割等について述べるとともに、参考となる民間企業等の取組を紹介することとしたい。