第1編 人事行政

第2部 風通しのよい職場環境づくりに向けて〜職員の声から見える公務職場の実情を踏まえて〜

第1章 苦情相談の現状

第1節 苦情相談の現状

1 苦情相談制度の創設

公務・民間を問わず、職員は組織の一員として勤務する以上、その勤務条件や職場の勤務環境など人事管理に関して、職員が日常的に悩みを抱えたり不満等を感じたりすることがあるのは自然であるといえよう。このような職員の悩みや不満等について、職場において迅速・適切に解決が図られる場合には、当該職員の士気の維持・向上や職場・組織の活性化につながっていく一方、そうでない場合には、当該職員の勤労意欲やモチベーションの低下が懸念されるのみならず、職場や上司・同僚等への不信感等から職場での人間関係に歪みが生じ、職員間で相互不信に陥り、組織全体の活力にも悪影響を及ぼすことにもなりかねない。また、こうした悩みや不満等については、問題が顕在化してから事後的に解決が図られるよりも、そうなる前にできる限り未然に防止される方が望ましいといえる。

人事院では、従前から苦情相談業務を行っていたが、この苦情相談は、不利益処分の審査請求や行政措置要求等の公平審査手続に至らない、職員個人からの日常的な不満等に対する解決手段としての役割を担うものである。審査請求や行政措置要求について、かつては労使関係に起因するものが多数見られたが、労使関係の安定に伴って、職員個人の不服に基づくものが主流になってくるなどの状況の変化が見られるようになってきたことから、職員個人からの不満等に対する解決手段としての苦情相談の必要性も高まってきた。その中で、苦情相談については、その手続等が対外的に明確にされていなかったため、職員個人からは人事院の苦情相談業務について認知されにくく、苦情相談をしにくい状況にもあった。

また、行政の複雑・高度化等に伴い職員の勤務条件、勤務環境が変化する中、勤務条件や職場におけるいじめ・嫌がらせ、セクシュアル・ハラスメント等の職場における人事管理上の問題についての苦情相談が増加し、その内容も複雑・多様化してくるとともに、公務能率の維持・増進を図る上からも、苦情相談業務の重要性が高まってきた。

こうした状況を踏まえ、人事院は、平成12年6月1日、新たに規則13−5(職員からの苦情相談)を制定し、苦情相談の手続、対応方法等を明確化し、苦情相談に対する適切な対応を推進することとした。