第1編 人事行政

第2部 風通しのよい職場環境づくりに向けて〜職員の声から見える公務職場の実情を踏まえて〜

第1章 苦情相談の現状

第2節 苦情相談総件数等の推移

規則13−5による苦情相談が開始された平成12年度以降、平成30年度までの間の苦情相談総件数は、おおむね800件台後半から1,400件台前半の間で推移してきているところであるが[図1−2参照]、その間に苦情相談を取り巻く状況について次のような変化があった。

まず、苦情相談の対象となる職員数について、苦情相談は一般職の国家公務員(行政執行法人職員を除く。)を対象として行ってきているものであるが、平成13年4月に国立の研究所等の機関が独立行政法人化され、平成16年4月に国立大学、国立高等専門学校、国立病院及び国立療養所が独立行政法人等化され、さらに、平成22年1月に日本年金機構が発足し、これに伴い社会保険庁が廃止されるなど、国の機関の組織再編により、これらの機関の職員が苦情相談の対象ではなくなったことに伴い、対象となる職員数が大きく減少した。

次に、苦情相談の体制について、人事院に続いて各府省においても、自府省の職員を対象とする苦情相談体制の整備がなされ、職場の人間関係に起因する相談については、所属府省等の苦情相談窓口等、職場における解決努力をまず促す対応を行うとともに、人事院が苦情相談の処理を通じて蓄積した情報やその分析結果について、各府省の人事管理にいかすことができるよう、会議等を通じて情報提供や助言を行ったことにより、各府省における苦情相談への取組が進展、定着していった。一方、人事院においても、平成16年度から電子メールでの相談の受付を開始したり、人事院の苦情相談体制の周知を図るため、苦情相談に関するパンフレットを各府省を通じて配布するなど、人事院に相談しやすい環境を整備してきた。

さらに、この間における行政をめぐる状況としては、行政のスリム化等に伴って限られた人員で複雑・高度化する行政ニーズに対応することとなり、職場環境が以前より厳しくなるとともに、職員の価値観の多様化が進んできている。

こうした変化の中で、制度創設以来、苦情相談総件数としては、増減を繰り返しながらも全体としては横ばいの状況であるが、特に最近5年は、1,000件を超える件数で推移し、平成30年度は前年度比29.9%増の1,443件と大幅に増加し、過去最多の件数となっている。加えて、苦情相談の対象となる職員数が大きく減少していることから、職員千人当たりの苦情相談総件数で見てみると、規則13−5による苦情相談が開始された平成12年度以降、平成15年度から平成17年度にかけて大きく増加した後、おおむねその水準が変わらない状況となっていたが、平成30年度は苦情相談総件数と同様に過去最多となっている[図1−3参照]。

また、各府省に苦情相談体制が整備された下において人事院に寄せられる苦情相談については、相談者が所属府省内で申し出にくい複雑困難な事案が多く見られる。

図1−2 苦情相談総件数の推移
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図1−3 職員千人当たりの苦情相談総件数の推移
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