第1編 人事行政

第2部 風通しのよい職場環境づくりに向けて〜職員の声から見える公務職場の実情を踏まえて〜

第3章 課題と対応

第1節 苦情相談等から見える課題

2 職員の意識の変化

(1)キャリア形成に関する意識

平成29年度意識調査において、30代職員の「キャリア形成で最も重視すること」として、「やりがいのある仕事をすること」と並んで「自分の能力を活かせる仕事をすること」と回答した者も多く、また、「今後のキャリア形成の方向性についての考え」として、「どちらかというと自分の専門性・強みを高めていきたい」が最も多い回答となっていた。

若手・中堅職員アンケートにおいても、キャリア形成に関し、女性職員を中心として、育児等との両立への不安を感じていることがうかがえる。

このように、単に上位のポストにどのように昇進していくのかという形式的な面に限らず、むしろ、自らの能力やスキルを、今後どのようにして伸長させていけるのかという、実質的な意味でのキャリア形成がどう図られていくのかということに、強い関心が向けられているところである。

加えて、第2章の事例7においても、「人事評価の手続」に関し、評価を契機として職員が自らの強み・弱みを把握して自発的な能力開発に役立てることができるなど、人事管理面で重要な役割を担っているにもかかわらず、面談が行われない場合があることが課題として見られた。

自らの働きぶりが、上司や同僚からどのように見られているのか、どのような点が良い評価を得ているのか、どのような部分がまだ足りない、欠けていると思われているのかといったことについて、具体的に知りたいという意識も高いものと思われる。

そこで、第2章の事例8においても、「人事評価を通じたコミュニケーション等」に関し、面談等の機会を通じたコミュニケーションの必要性が課題として見られたが、若手職員が、自らの今後の公務における職業生活について、できる限り不安を感じることなく、積極的に職務に取り組んでいけるような職場環境を作るため、これらの職員のキャリア形成に関する意識の高まりに応えるべく、各職場において、必要な取組を講じていく必要がある。

その際、若手職員が、職業生活に係る不安や希望などに関し、そもそも自らの考えや意見を伝える機会が十分に与えられていないと感じること自体が、上司や同僚、さらには職場全体に対する不満につながる要因にもなりかねないということに留意する必要がある。

(2)仕事と私生活のバランスに関する意識

かつては、職務に従事することが全てに優先するという考え方の下で、まずは自らに命ぜられた勤務時間を超過勤務も含め確実に勤務し、その余の時間を使って、職員自らの生活を組み立てていくという形がとられることが多かったが、例えば、学生を含む16歳から29歳までの若者を対象として平成29年度に内閣府が行った就労等に関する若者の意識を調査した「子供・若者の現状と意識に関する調査」における、仕事と家庭・プライベートとのバランスについての調査結果を見ると、「仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先する」と回答した者の割合は63.7%となっている。また、公務においては、総合職試験等からの新規採用者を対象として人事院が行った平成29年度のアンケート調査によると、仕事と家庭のどちらを優先するかという問いに対し、「仕事を優先」、「どちらかと言えば仕事を優先」とする回答が6割強となっているが、「家庭を優先」、「どちらかと言えば家庭を優先」とする回答も4割弱見られる。なお、平成29年度意識調査において、30代職員に対する「人生100年時代に向けて今から何が必要と考えるか」という問いに対し、「公務外でも通用する知識・技能の習得」と回答した割合が63.8%、「人的ネットワークづくり」と回答した割合が45.9%となっている。

仕事と同じように、家庭など仕事以外の生活も尊重することで、より有意義な人生を送っていきたいという考え方を持つ人が、若年層を始めとして見られるところである。家庭生活との両立を図ることに加え、地域などで職場以外の人と交流を図ることや、知識や能力を高めるための研さんを図ることなどにより、直接的に仕事と関係することではなくても、単に精神的な豊かさが得られるというだけでなく、多角的な視野や柔軟な発想力を醸成することにつながることで、仕事にもよい影響を与えることが期待できる。

こうした意識を踏まえ、これからの公務職場における働き方を考えていくことも必要である。