第1編 人事行政

第2部 風通しのよい職場環境づくりに向けて〜職員の声から見える公務職場の実情を踏まえて〜

おわりに

この報告では、人事院が行っている苦情相談業務に寄せられた苦情相談を題材として、具体的な相談事例を紹介するとともに、若手・中堅職員や管理職員に対するアンケートを補完的に行い、職場で働くことに関して職員が抱えている悩みや不満等がどのようなものであるか、その要因はどこにあるのかを探った。

また、これらによって導き出される公務職場の抱える課題を浮き彫りにし、それに対してどのようなことが求められているかを明らかにするよう努めるとともに、それに対処するための取組を提言することを試みた。

今回、苦情相談の内容を分析するなどした結果、育児、介護などの多様な事情を抱えている職員が顕在化してきているにもかかわらず、それぞれの職場や管理職員が、必ずしもそれを受け止めきれていない場合があることが分かった。

また、若手・中堅職員が、自らのキャリアに不安を感じたり、自身の評価がどのようなものであるのか知りたいと思っていたりするにもかかわらず、管理職員から、育成に関する十分な説明がなされなかったり、人事評価の面談などが十分に行われていなかったりすることがあることもうかがわれた。

これらに対しては、各職場、各管理職員として、それぞれが取り組んでいくべき課題であるが、まずはそれを課題として認識することから始めるとともに、全ての職場、管理職員が一体となって対処していく必要がある。

本報告では、上記のような課題が浮き彫りになったことから、①限られた組織や人員の中で、多様な事情を抱えている職員の能力発揮や意欲の向上をどのように図っていくべきか、②価値観の多様化が進むとともに、キャリア形成に関する意識の高まりが見られる若手・中堅職員に対してどのようにコミュニケーションを図り、育成していくべきか、③管理職員にこれまで以上にマネジメント能力が求められる中で、どのようなことに特に留意すべきかといった点に対処していく必要があることを明らかにした。

その上で、①風通しがよく、何でも言いやすい職場環境の整備、②人材育成の観点を重視した人事評価の必要性、③部下職員と日常的に意思疎通を図ることによる信頼関係の構築などについて提言を行ったところである。

各職場や管理職員において、今後、個々の職員が、能力を十分に発揮し、意欲を持って働くことのできるような職場環境づくりに向けて取り組むに当たり、参考としていただければ幸甚である。

また、人事院としても、その一助となるよう、苦情相談制度の活用に向けて引き続き周知に努めるとともに、働きやすい職場環境づくりの一環としての両立支援制度等の周知、人材育成の観点を踏まえた人事評価の活用の徹底、管理職員のマネジメント能力の向上に資する研修の充実などに努めてまいりたい。