第1編 人事行政

第3部 平成30年度業務状況

第1章 職員の任免

第2節 採用試験

(1)採用試験の種類

人事院が試験機関として自ら実施した平成30年度の採用試験は、28種類31回である。このほか、人事院の指定に基づき、外務省が試験機関として実施した外務省専門職員採用試験がある(表1−2)。

28種類の内訳は、①政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする係員を採用する総合職試験(院卒者試験及び大卒程度試験の2種類)、②定型的な事務をその職務とする係員を採用する一般職試験(大卒程度試験、高卒者試験及び社会人試験(係員級)の3種類)、③特定の行政分野に係る専門的な知識を必要とする事務をその職務とする係員を採用する専門職試験(国税専門官採用試験、労働基準監督官採用試験等の15種類)、④民間企業における実務の経験その他これに類する経験を有する者を係長以上の官職へ採用する経験者採用試験(係長級(事務))等の8種類)である。

(2)採用試験の周知

人事院が試験機関として実施する平成30年度の採用試験全体の施行計画については、平成30年2月1日に官報公告を行った後、各採用試験の詳細について、受験申込みの受付期間を考慮し、28種類31回の採用試験を5回に分けて官報により告知した。また、人事院のホームページなどで採用試験について情報提供を行うとともに、ポスター、採用試験の概要等の募集資料の掲示・配布を全国の大学、高等学校等に依頼し、積極的な採用試験の周知を図った。

表1−2 国家公務員採用試験実施状況一覧(その1)
表1−2 国家公務員採用試験実施状況一覧(その2、3)
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(3)採用試験の方法

採用試験は、受験者がそれぞれの試験の対象となる官職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力及び適性を有するかどうかを相対的に判定することを目的としている。

そのため、官職の職務遂行に求められる知識、技術、その他の能力及び適性を検証する方法として、基礎能力試験、専門試験、人物試験等の試験種目のうちから、それぞれの採用試験に効果的な試験種目を組み合わせて実施している。

例えば、総合職試験の大卒程度試験においては、国家公務員として必要な基礎的な知能及び知識を見るための「基礎能力試験」、必要な専門知識及び技術等を見るための「専門試験」、政策の企画立案に必要な能力、総合的な判断力及び思考力等を見るための「政策論文試験」をそれぞれ筆記試験により行い、さらに、人柄、対人的能力等を見るための「人物試験」を個別面接により行っている。また、総合職試験の院卒者試験では、「政策論文試験」に替えて、課題に対するグループ討議を通してプレゼンテーション能力やコミュニケーション力等を見るための「政策課題討議試験」を行っている。

こうした試験種目のうち、専門性の高い試験種目の内容については、試験専門委員として委嘱した大学の教員及び専門知識を有する各府省の職員等とともに検討を重ねた上で決定している。

また、採用試験の実施後は、その結果分析を通じて試験方法の検討を行うほか、必要に応じて各学校における教科内容の実態調査を実施するなど、採用試験の妥当性及び信頼性を高めるよう常に研究を行っている。

(4)実施状況

ア 概況

平成30年度に実施した採用試験の状況は、表1−2に示したとおりである(資料1−1)。

総合職試験(院卒者試験)は、対象となる官職に必要とされる専門知識等に応じて9の区分試験に分けて実施した。また、総合職試験(大卒程度試験)は11区分、一般職試験(大卒程度試験)は10区分、法務省専門職員(人間科学)採用試験は7区分、労働基準監督官採用試験は2区分、一般職試験(高卒者試験)は4区分、一般職試験(社会人試験(係員級))は2区分、刑務官採用試験は6区分、入国警備官採用試験及び航空保安大学校学生採用試験は2区分、海上保安学校学生採用試験は5区分、国土交通省経験者採用試験(係長級(技術))は2区分の試験に分けて、それぞれ実施した(資料1−2−11−2−21−31−81−1012)。

さらに、一般職試験(大卒程度試験)のうち「行政」の区分試験、一般職試験(高卒者試験)のうち「事務」及び「技術」の区分試験、一般職試験(社会人試験(係員級))のうち「技術」の区分試験、刑務官採用試験及び税務職員採用試験については、合格者の地域的偏在を防ぎ、各地域に所在する官署からの採用に応じられるように、地域別の試験に分けて実施した(資料1−31−61−71−9)。

なお、平成30年9月30日に実施した総合職試験(大卒程度試験)「教養」の区分試験の第1次試験において、台風の影響により大阪市での実施が困難であったため、同市での受験予定者を対象にした再実施試験を10月28日に行った。

全採用試験(外務省の実施する試験を含む。)の申込者総数は130,090人で、前年度に比べると4,566人(3.4%)減少した。このうち、大学・大学院卒業程度の試験は88,363人で、前年度に比べ3,243人(3.5%)減少した。また、高等学校卒業程度の試験は、41,727人で、前年度に比べ1,323人(3.1%)減少した。

全採用試験の合格者総数は23,353人で、前年度に比べ1,925人(9.0%)増加した。

申込者数が合格者数の何倍かを示す比率(以下「倍率」という。)は、表1−2のとおりである。その内訳は、大学・大学院卒業程度の試験が5.7倍(前年度6.3倍)、高等学校卒業程度の試験が5.3倍(前年度6.3倍)であり、前年度をやや下回った。

図1−1 国家公務員採用試験申込者数(Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種(平成23年度まで)及び総合職・一般職(大卒・高卒))の推移
図1−1 国家公務員採用試験申込者数(Ⅰ種・Ⅱ種・Ⅲ種(平成23年度まで)及び総合職・一般職(大卒・高卒))の推移のCSVファイルはこちら

イ 試験の種類別等の状況

(ア) 総合職試験

① 春に実施した総合職試験の申込者数は、院卒者試験が2,181人で前年度に比べ289人(11.7%)の減少、大卒程度試験が17,428人で、693人(3.8%)の減少、全体では19,609人で982人(4.8%)の減少となった。

女性の申込者数は、院卒者試験が588人、大卒程度試験が6,324人、全体では6,912人となった。女性の申込者割合は、全体の申込者数の35.2%となり、総合職試験導入以降、7年連続で3割を超えるとともに、過去最高となった。

合格者数は、院卒者試験が639人、大卒程度試験が1,158人で、全体では1,797人で81人(4.3%)の減少となった。

女性の合格者数は、院卒者試験が158人、大卒程度試験が330人で、全体では488人となった。また、合格者に占める女性の割合は、院卒者試験が24.7%、大卒程度試験が28.5%で、全体では27.2%となり、全体の割合は過去最高となった(資料1−13)。

申込者数及び合格者数について、国・公・私立別の出身大学(大学院を含む。)別の割合で見ると、それぞれ国立大学48.8%、69.8%、公立大学5.1%、2.8%、私立大学44.9%、27.0%、その他外国の大学等1.2%、0.3%であった(資料1−15)。

② 秋に実施した院卒者試験「法務区分」の申込者数は22人で、前年度に比べ1人(4.3%)減少し、合格者数も11人となり、前年度に比べ1人(8.3%)減少した。

女性の申込者数は3人で、前年度に比べ4人(57.1%)減少し、申込者全体に占める割合も13.6%で16.8ポイント低下した。また、女性の合格者数は2人で、前年度に比べ1人(33.3%)減少し、合格者に占める割合も18.2%で6.8ポイント低下した(資料1−13)。

また、大卒程度試験「教養区分」の申込者数は2,928人で、前年度に比べ117人(4.2%)増加し、合格者数は145人で、前年度に比べ10人(7.4%)増加し、いずれも過去最高となった。

女性の申込者数は1,036人で、前年度に比べ68人(7.0%)増加し、申込者全体に占める割合も35.4%で1.0ポイント上昇した。また、女性の合格者数は38人で、前年度に比べ12人(46.2%)増加し、合格者に占める割合も26.2%で6.9ポイント上昇し、女性の申込者数、申込者全体に占める割合、女性の合格者数、合格者数に占める割合は、いずれも過去最高となった(資料1−13)。

(イ) 一般職試験(大卒程度試験)

① 表1−2のとおり申込者数は33,582人で、前年度に比べ1,560人(4.4%)減少したが、合格者数は7,782人となり、前年度に比べ577人(8.0%)増加した。

女性の申込者数は12,036人で、前年度に比べ355人(2.9%)減少したが、申込者全体に占める割合は35.8%で0.5ポイント上昇した。また、女性の合格者数は2,639人で、前年度に比べ204人(8.4%)増加し、合格者に占める割合は33.9%で0.1ポイント上昇した(資料1−13)。

② 申込者及び合格者を学歴別に見ると、大学卒業者等の占める割合は、申込者は88.8%で0.9ポイント上昇し、合格者は90.1%で1.6ポイント上昇した。大学院修了者等の占める割合は、申込者は7.6%で1.2ポイント低下し、合格者も7.9%で1.6ポイント低下した(資料1−16)。

③ 申込者数及び合格者数について、国・公・私立別の出身大学(大学院を含む。)別の割合でみると、それぞれ国立大学35.8%、52.2%、公立大学6.6%、8.0%、私立大学53.9%、37.7%、その他3.8%、2.1%であった(資料1−17)。

(ウ) 一般職試験(高卒者試験)

① 表1−2のとおり申込者数は14,455人で、前年度に比べ497人(3.6%)増加し、合格者数は3,289人となり、前年度に比べ599人(22.3%)増加した。

女性の申込者数は4,874人で、前年度に比べ329人(7.2%)増加し、申込者全体に占める割合は33.7%で1.1ポイント増加した。また、女性の合格者数は1,205人で、前年度に比べ243人(25.3%)増加し、合格者に占める割合も36.6%で0.8ポイント上昇した(資料1−13)。

② 申込者及び合格者を学歴別に見ると、高等学校卒業者等の占める割合は、申込者は48.8%で2.9ポイント低下したが、合格者は39.0%で0.8ポイント上昇した。専修学校卒業者等の占める割合は、申込者は48.9%で3.3ポイント上昇したが、合格者は59.1%で1.0ポイント低下した(資料1−18)。

(エ) 点字等による試験の実施

① 点字による試験の実施は、総合職試験(大卒程度試験)の法律区分及び一般職試験(大卒程度試験)の行政区分を対象に措置することとしている。

また、視覚障害の程度によって、総合職試験、一般職試験、財務専門官採用試験、国税専門官採用試験、食品衛生監視員採用試験、労働基準監督官採用試験、税務職員採用試験及び気象大学校学生採用試験については、拡大文字による試験及び解答時間の延長等の措置を講じている。

② 平成30年度においては、点字試験を希望する申込者は総合職試験(大卒程度試験)及び一般職試験(大卒程度試験)で各1人であった。

拡大文字による試験と解答時間の延長の両方の措置を希望する申込者は一般職試験(高卒者試験)で1人であった。

解答時間の延長の措置を希望する申込者は一般職試験(大卒程度試験)で1人であった。

また、拡大文字による試験を希望する申込者は総合職試験(大卒程度試験)及び一般職試験(大卒程度試験)で各1人であった。

なお、以上のほか、身体の障害等がある受験者に対して、試験の公正な実施に支障を来さない範囲で、必要に応じ着席位置の変更等受験の便宜を図った。

ウ インターネットによる受験申込み

インターネットによる受験申込みは、受験申込みの利便性の向上及び行政事務の効率化を図る観点から、平成16年度に航空管制官採用試験及び航空保安大学校学生採用試験で導入し、順次、対象を広げ、平成24年度からは、全ての試験においてインターネットによる受験申込みを導入した。

平成30年度におけるインターネットによる申込者の割合は99.9%(院卒者・大卒程度試験99.9%、高卒程度試験99.6%)となり、前年度に比べ0.2ポイント上昇した。

エ 委託試験の適正な実施

平成30年度においても、公正かつ適正な採用試験の実施の確保のため、試験実施事務等を当該試験により職員を採用する府省に委託して行っている試験(以下「委託試験」という。)に対する総合的支援策を実施した。

具体的には、当該府省が実施する事前研修への人事院職員の講師派遣、総合職試験第1次試験の試験係官に当該府省の職員を受け入れる実地研修を実施した。