人事院総裁談話

平成30年8月10日 人事院勧告・報告 総裁談話

1 本日、人事院は、国会及び内閣に対し、国家公務員の給与の改定を勧告しました。


2 本年は、民間における賃金の引上げを図る動きを反映して、本年4月分の月例給について、民間給与が国家公務員給与を平均387円(0.09%)上回る結果となりました。そのため、初任給及び若年層について俸給月額を引き上げることとしました。

 また、特別給(ボーナス)についても、民間事業所における昨年8月から本年7月までの直近1年間の支給割合が公務を上回ったことから、年間4.5月分に引き上げることとしました。

 6年連続となる給与の引上げは、職務に精励している職員にとって、士気の一層の向上につながることと思います。職員各位におかれては、行政サービスの更なる向上を図るため、引き続き、全力で職務に取り組んでいただくようお願いします。


3 また、本年は住居手当の見直しを行うこととしました。具体的には、公務員宿舎使用料の上昇を考慮し、手当の支給対象となる家賃額の下限を引き上げるとともに、その原資を用いて、民間事業所における住宅手当の支給状況等を踏まえた手当額の上限の引上げを行うこととしました。


4 官民を問わず人材確保をめぐる状況が厳しい中、引き続き、公務に多様な有為の人材を確保することが重要となっています。また、公務職場においては、若手職員に自らのキャリア形成に関する意識の高まりが見られるとともに、育児、介護等の事情を抱えた職員の存在が顕在化するなどしています。

 人事院としては、このような状況を踏まえ、人材確保のための各種施策の展開を進めるとともに、全ての職員が活躍できる公務職場の実現に向けて、若手職員・女性職員のキャリア形成支援、管理職員のマネジメント能力向上、長時間労働の是正、仕事と家庭生活の調和、ハラスメント防止対策等の諸課題について、引き続き取組を進めてまいります。


5 公務に対する国民の信頼を損なうような事態が続いていることは極めて遺憾です。職員各位におかれては、全体の奉仕者としての高い倫理感・使命感を持って日々の職務に真摯に取り組み、的確に責任を果たしていただくようお願いします。人事院としても、引き続き、あらゆる機会を捉えて職員の倫理感・使命感の醸成や自らの職務に対する責任の自覚について働きかけるなど、一層の対応に努めてまいります。


6 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として、情勢適応の原則に基づき国家公務員の適正な処遇を確保しようとするものです。

 勧告を通じて、職務に精励している職員に適正な給与その他の勤務条件を確保することは、職員の努力や実績に報いるとともに、人材確保にも資するものであり、組織活力の向上、労使関係の安定等を通じて、行政の効率的、安定的な運営に寄与するものです。

 国会及び内閣におかれては、人事院勧告制度の意義や役割に深い理解を示され、勧告どおり実施されるよう要請いたします。

 国民各位におかれては、行政各部において多くの公務員がそれぞれの職務を通じ国民生活を支えていることについて、深い御理解を賜りたいと存じます。
 

 
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