人事院は、公務の民主的かつ能率的な運営を国民に対し保障するという国家公務員法の基本理念の下、人事行政の公正の確保と職員の利益の保護等その使命の達成に努めてきており、人事院勧告制度を始めとする公務員制度は、行政運営の基盤として重要な機能を果たしている。
昨今の少子高齢化の進展や生産年齢人口の減少等は、社会に広く影響を及ぼしてきており、労働力の確保や従来型の働き方を見直す契機となっている。このような状況の中、人事院としては、将来にわたって能率的で活力ある公務組織を確保し、全ての職員がそれぞれの能力や経験等を十分に発揮して活躍できるよう、現下の人事行政の諸課題、特に、多様な人材の確保及び育成、能力や経験等を十分に発揮できる働き方の実現や定年の引上げ等に対応した給与制度の見直し等に向けた人事施策の策定・推進に取り組んでいくことが重要であると考えている。今後とも人事行政の公正の確保及び労働基本権制約の代償機能を担う第三者・専門機関の責務として、適切にその役割を果たしていく所存である。
本報告書の構成は、2編からなり、第1編は「人事行政」全般について、第2編は「国家公務員倫理審査会の業務」の状況について記述している。このうち第1編は3部からなり、第1部は、適正な公務員給与を確保するための給与勧告等、職員の勤務環境を整備するための各施策、多様な人材の確保・育成等のための取組、公務部門における障害者雇用に関する取組、新型コロナウイルス感染症をめぐる対策、人事行政分野における国際協力など令和元年度における人事行政の主な動きについて記述している。次いで第2部では、特別テーマとして、「グローバル社会を切り拓く国家公務員を育てるために」と題し、行政における国際化への対応に関する取組や国際人材の確保・育成の状況等を紹介し、グローバル社会に適応した人事管理の在り方、国際人材の確保・育成を行っていくための今後の方策などについて述べている。第3部では、令和元年度の人事院の業務状況について、各種資料を掲載して記述している。
本報告書により、人事行政及び公務員に対する理解が一層深まることを願うものである。