第1編 人事行政

第3部 令和4年度業務状況

第5章 職員の勤務環境等

第8節 服務及び懲戒

2 懲戒

(1)懲戒制度の概要、懲戒処分に関する指導等

各府省等の任命権者は、職員が、①国公法若しくは倫理法又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合、②職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、③国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合のいずれかに該当するときは、当該職員に対し、懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができることとされている(国公法第82条第1項)。その具体的手続は、国公法及び規則12-0(職員の懲戒)に定められている。

人事院は、毎年の懲戒処分の状況を公表するとともに、各府省等に対し、担当者会議等の機会を通じて、懲戒制度の厳正な運用について徹底を図っている。

(2)懲戒処分の状況

令和4年に懲戒処分を受けた職員数は234人(免職17人、停職49人、減給118人、戒告50人)であり、前年に比べて18人減少している。

処分数を府省等別に見ると、法務省が最も多く、次いで国税庁、国土交通省、厚生労働省及び海上保安庁の順になっている。また、処分の事由別に見ると、公務外非行関係(窃盗、暴行等)、一般服務関係(欠勤、勤務態度不良等)、交通事故・交通法規違反関係、通常業務処理関係(業務処理不適正、報告怠慢等)の順に多くなっている(資料5-45-5)。

令和4年中において、懲戒処分を行った事例としては、国家公務員倫理規程違反事案を除くと、以下のようなものがあった。

  •  基幹統計調査における不適切な事務処理事案

    国土交通省の建設工事受注動態統計調査について、提出が遅れた過月分調査票を当月分として合算処理を行っていたところ、これら提出が遅れた調査票を補完するための新たな推計手法を導入した以降も合算処理が行われ、結果として二重計上の状態となっていた。この問題を的確に把握しなかったことにより不適切処理が継続され、また、把握した以降においても、その把握した事実や問題点を公表せず、不適切な状態のまま調査結果の公表を継続したなどとして、同省において、当時の担当部局管理職職員を含む4人に対して減給処分が、1人に対して戒告処分が行われた。このほか、すでに退職していた職員1人に対して減給処分相当として自主返納の要請が行われ、出向中の職員1人に対して国復帰時に減給処分が行われる予定となっている。また、当時の担当職員1人並びに組織管理上の責任者として事務次官及び国土交通審議官1人に対して訓告の矯正措置が行われた。

  •  補助金等不正受給事案

    ・ IT導入補助金不正受給事案

    中小企業等がITツールを導入する経費の補助として国から支給されるサービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金を、他者と共謀の上、四つの合同会社の名義で申請し、詐取していたとして、厚生労働省の他の職員を管理・監督する地位にある職員1人に対して免職処分が行われた。

    ・ 持続化給付金不正受給等事案

    新型コロナウイルス感染症拡大により特に大きな影響を受けている事業者に対し国から支給される持続化給付金の不正給に加担したとして、国税庁職員1人に対して免職処分が行われた。

各任命権者は、懲戒処分が行われるべき事件が刑事裁判所に係属している間においても、人事院の承認を経て、適宜、懲戒処分を行うことができることとされている(職員が、公判廷における供述等により、懲戒処分の対象とする事実で公訴事実に該当するものがあることを認めている場合には、人事院の承認があったものとして取り扱うことができる。)。この手続により、令和4年においては、8省等で14人(免職4人、停職4人、減給5人、戒告1人)に対して懲戒処分が行われた。

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