第1編 《人事行政》

【第2部】 魅力ある公務職場の実現を目指して

はじめに

人事院は、平成27年度の年次報告書第2部において、国家公務員の年齢別人員構成の変化と人事管理への影響について取り上げ、40歳台と50歳台の職員の割合が20歳台と30歳台の職員の割合を相当に上回るという年齢別人員構成の偏りを指摘し、問題の所在として、新規採用職員の確保、若年層や中堅層の職員の育成、組織全体の活力の低下、業務量に見合った適正な人員の確保について言及した。こうした問題に対処していくためには、公務に多様な有為の人材を確保するとともに、年齢構成に偏りが生じている公務の職員が、その能力を十分に発揮することが肝要である。

公務への人材確保の環境を見てみると、公務員には、全体の奉仕者としての使命感や熱意、高いコミュニケーション能力や専門能力などを有する有為の人材が求められているところ、今後、若年人口や労働力人口の減少が確実に見込まれ、民間企業等との人材獲得競争の激化が避けられないものとなる中で、公務にふさわしい人材を広く誘致する必要がある。

また、社会経済情勢の激しい変化に行政運営が対応していくためには、若手職員を育成してその能力や専門性を高めるとともに、中堅層や高齢層の職員を含め一人一人の能力を十分に活用することを通じて、施策を迅速かつ着実に推進していくことが求められている。

このような人材確保や人材活用に当たっては、広く国民に対して公務の魅力や特徴を発信するとともに、現職職員の意欲や能力を高める必要があるが、一方で、職員がこうした点についてどのような認識を有しているのかは、これまで必ずしも明らかにされておらず、従来の課題認識や対応策が職員の意識や公務職場の実態に即したものであったのかどうかを改めて検証する必要がある。

そこで、学術的な研究成果を踏まえて開発された、職場の問題点を把握するための手法であり、民間企業、地方公共団体、外国政府において広く実施されている「従業員満足度調査」の手法(詳細については補論を参照)を活用し、今回、国家公務員に対する多角的・包括的な意識調査を初めて実施した。職員自身が公務職場に対して抱いている意識を様々な視点から調査することを通じて、職員は公務職場のどのような点に魅力があると感じているのか、また不満に感じている点は何かを把握し、その背景を分析することで、公務職場における課題を浮き彫りにするとともに、職場の実情を踏まえつつ、公務職場の魅力を高めるためにはどのような取組や方策が求められるのかについても言及することとしたい。

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