第1編 《人事行政》

【第1部】 人事行政この1年の主な動き

第5章 人事管理業務のIT化の推進

◎ 人事給与業務の簡素化・効率化を図るとともに、システム運用等に係る経費の最小限化等の実現に向けて、人事給与業務効率化に向けた改善計画に記載されている「人事給与業務の改革」及び「人給システムの改革」に係る改善策に取り組んだ。

◎ 平成28年度に人事・給与関係業務情報システム(以下「人事・給与情報システム」という。)への移行作業に着手した16府省等の全てが人事・給与情報システムの運用開始を実現し、平成27年度までに本番稼働を開始している12府省等と合わせ、28府省等の全職員約27.3万人(常勤)が本システムによる処理対象となった。

人事・給与情報システムは、各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議の決定による「人事・給与等業務・システム最適化計画」(平成16年2月27日)等に基づき、人事管理、給与管理、共済管理、職員からの届出・申請処理等の諸機能を一体化した府省共通システムであり、平成27年度までに全ての府省等に導入することとされていた。しかし、システム構築前の業務の整理が不十分であったこと、性能面等に課題があることを踏まえ、平成26年8月に設置された人事給与業務効率化推進会議の下、平成28年度中に全ての府省等が本システムに移行を行うことを目指して、人事給与業務の簡素化・効率化を図るとともに、システム運用等に係る経費の最小限化を行うため、政府全体で人事給与業務の抜本的な見直しに取り組むこととなった。

人事院においては、関係機関と連携しつつ、改善計画に記載されている「人事給与業務の改革」及び「人給システムの改革」に係る改善策に取り組み、各府省等の移行作業の支援等を実施した。

(1)「人事給与業務の改革」に係る主な改善策

府省等の一体的なシステム利用を前提とした行政内部の事務の簡素化・効率化の徹底や円滑なシステム利用を目指し、人事給与業務について、業務の統一化・合理化、電子化の推進、実施体制等の見直しを柱とした「人事給与業務の改革」を実施しており、平成28年度の主な取組は以下のとおりである。

  1. ア 人事異動通知書や昇格・昇給に関する通知、給与明細書等の人事・給与情報システムで作成される通知について、原則、人事・給与情報システムによる電子交付を実施。加えて、人事異動通知書の電子交付を推進することにより、公印の省略を推進(各府省申合せ(平成28年7月))
  2. イ 人事異動通知書の様式及び記載事項に関する運用を規則及び通達に規定された取扱いに統一(各府省合意(平成28年11月))
  3. ウ 人事院所管の手続において、担当者が職員に代わって職員本人からの届出の内容に沿って申請(代行申請)した届出等について、職員本人が申請した場合と同様の取扱いとすることを可能とする見直し(通達の改正(平成29年2月))
  4. エ 各府省の運用実態等に合わせ柔軟に取り扱われてきた人事給与業務に係る各種調書等について、府省等の一体的なシステム利用による業務効率化を図り、もって円滑なシステム利用を促進するため、人事異動通知書、職員別給与簿など12種類の調書の様式を統一(通達の改正(平成29年3月))
  5. オ 人事・給与情報システムに係る各府省等間の検討・調整体制の強化のため、人事・給与関係業務情報実務担当者連絡会議(全体WG)を計6回、改善計画システム化会議を計7回開催

(2)「人給システムの改革」に係る主な改善策

改善計画に基づくシステム改修については、改善計画システム化会議を適宜開催し、改修の進捗状況等の説明、改修仕様の各府省等調整等を十分に実施するとともに、受託業者に各府省等の運用実態や非機能要件等をも考慮した総合テストを実施させる等の品質向上の方策を講じた上で、改善計画に基づき定められたスケジュールどおりに改修作業を実施し、性能向上に関する改修については平成28年10月に、機能向上に関する改修については平成29年2月及び同年3月にリリースした。

(3)各府省等の移行支援に係る主な取組

改善計画に基づき移行作業に着手した府省等が、人事・給与情報システムへの効率的かつ円滑な移行を実現できるよう、平成28年度に、各府省等に対して、移行のためのデータ作成から本番稼働後の運用までの支援に加え、移行作業経験のある職員等で構成する特別移行支援チームの会議、移行作業に関する勉強会のほか、移行府省の人事給与業務担当者、本番稼働中の府省等を含めた新任者及び人事・給与情報システムの管理者をそれぞれ対象とした利用者講習会を開催した。

これらの支援と併せた各府省等の取組の結果、平成28年度に移行作業に着手した16府省等の全てが本番稼働(内閣官房、内閣法制局、内閣府、警察庁、個人情報保護委員会、金融庁、消費者庁、文部科学省、厚生労働省(国立ハンセン病療養所)、経済産業省、気象庁、環境省及び原子力規制委員会の12府省等)又は並行稼働(財務省、国税庁、厚生労働省(地方労働局)、国土交通省及び運輸安全委員会の4府省等(厚生労働省(国立ハンセン病療養所及び地方労働局)については、同省本省及び施設等機関が本番稼働開始済みであることから、府省数に加えていない。)となり、人事・給与情報システムの運用開始を実現した。このことにより、28府省等の全職員約27.3万人(常勤)が人事・給与情報システムの処理対象となった。

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