勤務間のインターバル確保について
(令和6年3月29日職職―78)
(人事院事務総局職員福祉局長発)
 
 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)第4条第1項に規定する各省各庁の長の責務(職員の健康及び福祉を考慮し、適正な勤務条件を確保)に基づくものとして、人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)において、勤務間のインターバル(同規則第1条の2に規定する「職員の健康及び福祉の確保に必要な勤務の終了からその次の勤務の開始までの時間」をいう。以下同じ。)の確保に係る努力義務が規定され、令和6年4月1日に施行されます。
 これを踏まえ、各府省における具体的な取組の検討を支援するため、目安となる時間や確保に係る取組例等を示すこととしました。各府省におかれては、これを参考にして、勤務間のインターバル確保の取組の推進に努めてください。
 
 
1 勤務間のインターバル確保の基本的考え方
 適切な勤務間のインターバルにより睡眠時間を含む生活時間を十分に確保することは、健康の維持のために不可欠であるとともに、仕事と生活の調和がとれた働き方を追求するためにも重要であり、公務職場の魅力向上のほか、公務能率の一層の向上につながることも期待される。また、民間労働法制では、勤務間インターバル制度導入が企業の努力義務とされており、「過労死等の防止のための対策に関する大綱(令和3年7月閣議決定)」においては、勤務間インターバル制度を導入している企業割合に関する数値目標が設定され、公務員についても、当該目標の趣旨を踏まえ、必要な取組を推進することとされている。
 これらを踏まえると、国家公務員についても、勤務間のインターバル確保の取組を早期に推進していく必要があるため、当該確保に係る各省各庁の長の責務を法令上明確にすることとしたものである。
 
2 勤務間のインターバルの目安
 勤務間のインターバルの目安は、11 時間とする。
 この目安は、勤務間のインターバル確保は努力義務であることを踏まえつつ、各省各庁の長が具体的な取組を行う際の参考となるよう、原則として確保することが望ましい時間を示すものである。
(注)目安となる 11 時間の算定に当たっては、正規の勤務時間及び超過勤務時間を考慮するものとする。なお、密度の薄い断続的な勤務である宿日直勤務については、当該算定の対象には含まないが、これとは別に職員の健康及び福祉の確保のため適切な取組を講ずることが求められる。
【参考】
 人事院「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会『最終報告』」(令和5年3月)(抄)
 Ⅴ.勤務間インターバル
 勤務間インターバルの時間数については、脳・心臓疾患の明らかなリスク上昇が報告されている長時間労働を一定程度防止することが期待できること、勤務間インターバルが短くなるほど休息時間、特に睡眠時間が短くなることが分かっており、休息時間と事故・ケガの発生程度、疲労蓄積や睡眠の質、及びその他の健康影響には明らかな負の量反応関係があるといえること、また、勤務間インターバル制を導入している諸外国の例、ヒアリングを行った民間企業や国土交通省航空局の例などを踏まえれば、原則とすべき時間数を 11 時間とすることが適当であると考える。
 
3 勤務間のインターバル確保に係る取組
 (1) 勤務間のインターバルを確保するためには、長時間の超過勤務を減らしていくことが重要であり、超過勤務命令の上限等に関する制度について人事院規則等に沿った適切な運用を行うことが有効である。また、各職場における職務内容や執務体制の実情に応じた取組を検討する必要がある。取組の一例を示せば、以下のとおりである。
①「超過勤務を命ずるに当たっての留意点について(平成31年2月1日職職―22)」等に従い、超過勤務時間の適切な管理等を行うとともに、業務の効率化等により超過勤務の縮減に向けた対策を行うこと。
② 深夜までの勤務又は早朝からの勤務を要する状況が続く場合には、早出遅出勤務の活用や、執務体制の見直しによりシフト制とするなど、できる限り職員間における負担の分散や軽減を図ること。
③ フレックスタイム制の利用方法について各職場の幹部や管理職を含む職員に適切に周知するとともに、令和7年4月1日に施行する勤務間のインターバル確保のためコアタイムに勤務時間を割り振らないことができる特例を含め、積極的にフレックスタイム制を活用できる環境を整備すること。
④ 幹部や管理職が、率先して業務プロセスの見直しに取り組むことや、自らフレックスタイム制の活用を始めとする柔軟な働き方を実践することなどにより、部下職員の資料作成等に係る業務の負担軽減を図り、効率的に業務遂行できる環境を整備すること。
 
 (2) 各省各庁の長は、適切な行政サービスを提供する執務体制を確保するため、2で示す目安となる 11 時間の勤務間のインターバルを日々確保することが困難である場合であっても、⑴に示すような取組を行い、職員が睡眠時間を含む生活時間を少しでも長く確保できるよう努めるとともに、職員の深刻な健康リスクを防ぐための取組も検討する必要がある。取組の一例を示せば、以下のとおりである。
① 各職場において週や月単位で目標を定め、目安となる勤務間のインターバルを確保できない日が恒常的に続く状況は避けるよう努めること。
② 目安となる勤務間のインターバルを確保できない日が一定期間続く場合には、フレックスタイム制の活用や当該期間終了後の休暇取得がしやすい雰囲気を醸成することなどにより、職員の速やかな心身の疲労回復を支援するよう努めること。
③ 各職場において、目安となる勤務間のインターバル確保が困難な要因や課題等を分析し、対応を検討すること。
 
4 その他
 勤務間のインターバル確保に係る努力義務は、各省各庁の長に対して当該確保のための具体的な取組を求めるものであり、各職場の職員に課されるものではないことに留意が必要である。したがって、各省各庁の長は、当該取組を実効的なものとするため、効率的な業務遂行に努めることや職場の意識・慣習を変えていくことなどについて、職員の理解や協力を得ながら取り組むことが重要である。その際には、勤務間のインターバル確保は、一義的には職員自身のためであることも十分に説明し、その重要性や必要性について、意識醸成に取り組むことも求められる。
 
以   上
Back to top