早出遅出勤務の円滑な運用について
(令和6年3月29日職職―79)
(人事院事務総局職員福祉局長発)
 
 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号。以下「勤務時間法」という。)第6条第2項の規定に基づく各省各庁の長による勤務時間の割振りに関し、業務の状況や職員の事情等に応じた早出遅出勤務の適正かつ円滑な運用を確保するための取扱いについて定めましたので、令和7年4月1日以降は、これによってください。
 なお、これに伴い、「修学等のための早出遅出勤務の円滑な運用に関する指針について(平成18年4月25日職職―157)」及び「障害の特性等に応じた早出遅出勤務の円滑な運用に関する指針について(平成30年12月7日職職―247)」は、廃止します。
 
 
1 基本的考え方
 各省各庁の長は、勤務時間法第6条第2項の規定による勤務時間の割振り権限に基づき、必要に応じて弾力的な割振りを行い、職員に早出遅出勤務(1日の勤務時間の長さを変えずに始業及び終業の時刻を通常と異なる特定の時刻とする勤務)をさせることができる。早出遅出勤務については、より適正かつ円滑な運用の促進を図る観点から、あらかじめ、対象となる職員、勤務時間帯、手続等に関する規程を整備しておく必要がある。当該規程には、原則となる勤務時間帯等のほか、各職場における管理者の判断に基づき、業務の都合や職員の事情に応じた柔軟な勤務時間の割振りが例外的にできる旨を定めておくこともできる。
 また、各省各庁の長は、各職場において制度の周知を図ることなどにより、早出遅出勤務ができる環境の整備を行うことが望ましい。
 
2 特に配慮が必要な早出遅出勤務
 1のとおり、早出遅出勤務は、勤務時間の割振り権限を有する各省各庁の長によって実施されるものである。しかしながら、特に次に掲げる場合には、公務の運営に支障が生じない範囲内で、職員の事情等を踏まえ早出遅出勤務について配慮することが望ましい。
 一 超過勤務等による職員の疲労の蓄積を防止する必要がある場合(以下「疲労蓄積防止のための早出遅出勤務」という。)
 二 「職員の勤務時間、休日及び休暇の運用について(平成6年7月27日職職―328)」第3の第13項に規定する障害者である職員等に対して配慮が必要な場合(以下「障害の特性等に応じた早出遅出勤務」という。)
 三 職員の修学等を支援する必要がある場合(以下「修学等のための早出遅出勤務」という。)
(注)上記に掲げるもののほか、人事院規則10―11(育児又は介護を行う職員の早出遅出勤務並びに深夜勤務及び超過勤務の制限並びに意向確認等)において、育児又は介護を行う職員の早出遅出勤務が規定されており、各省各庁の長は、これらの職員から請求があった場合には、公務の運営に支障がある場合を除き、早出遅出勤務をさせるものとされている。
 
3 疲労蓄積防止のための早出遅出勤務に係る基準・手続等の参考例
 疲労蓄積防止のための早出遅出勤務の運用に当たっては、早出・遅出の「組」のパターンに合わせて、特定日の勤務時間の割振りを変更する方法(一定の要件の下で管理者が割振りを変更する方式や、前日の終業時刻に着目して管理者が翌日の割振りをあらかじめ定められたパターンで変更する方式がある。)や、早出・遅出の「組」のパターンに合わせて、一定期間の勤務時間の割振りを変更する方法が考えられる。
 参考モデルを示せば、別添のとおり。
 
4 障害の特性等に応じた早出遅出勤務及び修学等のための早出遅出勤務に係る基準・手続
 障害者である職員等に対しては、自らの希望や障害の特性等に応じて、無理なく、かつ、安定的に働くことができるような環境の整備が求められている。また、職員の修学等を支援することは、職員個人の能力・資質を伸ばし、長期的には公務能率の維持・向上に寄与するものと考えられる。
 このような観点から、各職場の状況を踏まえつつも職員の事情や希望をできる限り考慮するため、早出遅出勤務を活用することが考えられる。これを踏まえ、障害の特性等に応じた早出遅出勤務及び修学等のための早出遅出勤務の実施に関する基準・手続を示すと、以下のとおり。
(1) 基準
 ① 各省各庁の長は、他の職員への影響など各職場における状況を十分把握した上で、公務の運営上の支障の有無を判断し、早出遅出勤務の可否を決定する。その際、早出遅出勤務を希望する職員の当該希望する期間に係る業務の内容、業務量、代替者の配置の難易等を総合して当該判断を行う。
 ② 職員の健康及び福祉並びに公務能率の観点から、始業の時刻を午前5時以後とし、かつ、終業の時刻を午後10時以前とする。
(2) 手続
 ① 早出遅出勤務を希望する職員は、当該希望する理由、始業及び終業時刻及び期間を明らかにして各省各庁の長に対して申出を行う。
 ② 各省各庁の長は、①の申出があった場合には、公務の運営上の支障の有無について判断の上、当該申出をした職員に対して早出遅出勤務の可否を速やかに通知し、公務の運営上の支障により早出遅出勤務を認めない場合には、当該支障のある日及び時間帯等を記載して通知するとともに、職員からの求めに応じて、その理由を説明する。
 ③ 各省各庁の長は、①の申出に係る事由について確認する必要があると認める場合には、当該申出をした職員に対して証明書類の提出等を求める。(例:修学等のための早出遅出勤務の場合であれば、入学証明書や在学証明書等)
 ④ 職員は、早出遅出勤務の必要がなくなった場合又は始業及び終業時刻若しくは期間を変更する必要が生じた場合その他早出遅出勤務に係る状況について変更が生じた場合には、速やかに各省各庁の長に対してその旨を届け出る。
 ⑤ ①の申出、②の通知、④の届出に関する書類の様式を定める場合の参考例を示せば、別紙1から別紙3までのとおり。なお、障害の特性等に応じた早出遅出勤務に係る①の申出や④の届出については、様式によらず、当該書面に係る記載事項を記載した電子メールを職員が送信する方法、各省各庁の長が自ら職員から聴取した内容を記録する方法等によることもできる。
 (注1)障害の特性等に応じた早出遅出勤務に関して、職員から申出があった場合には、障害者である職員等が、自らの希望や障害の特性等に応じて、無理なく、かつ、安定的に働くことができるような環境の整備が求められていることを踏まえ、当該職員の勤務時間について可能な限り配慮を行うことが必要である。
 (注2)修学等のための早出遅出勤務に関して、「修学等」の対象については、公務能率の維持・向上の観点から、夜間大学の課程や職務と関連性があるセミナー、資格講座等に限定することが基本であるが、必要に応じて、各省各庁の長の判断により、職務に密接な関連性のあるものに更に限定することができる。また、必要に応じて、任期付職員や臨時的職員など一定期間内に必要な職責を果たすことを目的として採用される職員については対象としないこと、最低勤続年数や利用回数等の要件を設けることもできる。ただし、役職、職種等により対象を限定することは適当でない。
 なお、職場内の他の職員への負担の偏りや職員間の不公平感が生じないように十分留意すべきことは当然であるが、例えば、繁忙部署で勤務していることのみをもって早出遅出勤務を認めないなどとすることは適当でなく、週1日であっても活用の可能性を探るなど、職務に対する職員の士気の維持・向上に努めるものとする。
 
以   上
別添( PDF
 
別紙1( PDF
 
別紙2( PDF
 
別紙3( PDF
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