第35回(令和4年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

農林水産省 農産局 園芸作物課 花き振興グループ

  東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において、暑熱下という厳しい環境の中、ビクトリーブーケなどの国産花きの提供等を実施。東日本大震災の被災地をはじめとした国産花きの品質の高さ及び復興のシンボルとして世界へのアピールに成功し、国内花き産業の振興に大きく貢献したことが認められました。

 
 
 
 

☆はじめに、花き振興グループではどのような業務を行っていたのでしょうか。

花き振興グループでは、花き業界と連携し、メダリストに副賞として贈呈されるビクトリーブーケや有明に設置された「メインプレスセンター」におけるいけばな展示、開会式や聖火リレーグランドスタート会場への花きの提供を行いました。
 我が国の花き関係団体は、生産者、卸売市場、流通、小売といった花き供給関係に加え、いけばな、フラワーデザインといった花きの文化に関係した団体が存在しますが、花き振興グループの働きかけもあり、オリパラ東京大会での国産花きの活用に向けて、これら関係九団体が大同団結した「日本花き振興協議会」が設立されました。
 また、近年の五輪大会では副賞にマスコットが贈呈され、生花のビクトリーブーケは途絶えていましたが、日本花き振興協議会と連携し、オリパラ大会におけるブーケの実現と大会における花きの活用に向け粘り強く交渉した結果、2大会ぶりに生花によるビクトリーブーケが復活することになりました。

 

☆東京2020オリンピック・パラリンピックでは、ビクトリーブーケなどの国産花きの提供等を行われましたが、これらの職務を遂行する中で、特に御苦労の多かった点や御留意されていた点をお聞かせください。

今大会は、真夏の東京という猛暑下での大会という、花にとっては過酷な状況のもとで開催されたことから、ブーケの鮮度をいかに保ったまま各競技会場に届けるかが課題でした。
 このため、花きの生産、卸売、流通、小売といった関係者がそれぞれの立場からアイデアを出し合い、試作や輸送テストが重ねられたほか、本番では各産地生産者からの供給、ブーケの制作・会場輸送ともに、温度管理を徹底することにより、猛暑下の大会においても、花の鮮度を保ったまま、六千束を超えるブーケをメダリストに届けることができました。

 

☆東京2020オリンピック・パラリンピックでビクトリーブーケなどが提供されたことにより、どのような反響があったのかという点や、その反響を通じて感じられたやりがいなどをお聞かせください。

ビクトリーブーケについては、TV、新聞等多くのメディアから取り上げられました。何より、日本をはじめ世界各国のメダリストが満面の笑顔でブーケを高く掲げるシーンが報道されるたびにやりがいを感じることができました。
 また、ツイッターをはじめとするSNSを通じて多くの方が思い思いのビクトリーブーケを制作・発信し、さらにその投稿記事が広く拡散されていったことが印象的でした。
 メインプレスセンターにおけるいけばな展示についても、多くの海外メディアから映像や動画で紹介され、日本の高品質な花きやいけばな文化の良さに加えて、東日本大震災の復興に世界各国から寄せられた「被災地復興支援」に対するお礼のメッセージも併せて発信することができました。

 

☆今後の業務への抱負をお聞かせください。

花き業界では、2020オリパラ東京大会を契機に、勝者を讃えるビクトリーブーケをレガシーとして、今後様々なスポーツ大会に定着させたいとしており、花き振興グループとしましても、引き続きそのような活動を情報発信等を通じて支援していきたいと考えています。
 また、2027年には横浜で国際園芸博覧会が開催される予定です。横浜国際園芸博覧会は、1990年の大阪花博に次いで37年ぶりに国内で開催される最上位(A1)クラスの国際園芸博覧会であり、博覧会の成功に向け、引き続き花き関係団体と連携し、国民全体の機運の醸成を図ってまいります。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

花は、私たちのくらしを彩り、潤いや癒やしを与えてくれます。テレワーク等家庭で過ごす時間が増えたり、ワーケーションなど多様な働き方も広がっている昨今、皆様も、ぜひ家庭や職場、身近な場所に花を飾って楽しんでいただければ幸いです。

 
▲制作途中のビクトリーブーケ
 
▲ビクトリーブーケに使用された岩手県産リンドウ
 
▲メインプレスセンターにおけるいけばな展示の制作風景
 
 
 

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