第36回(令和5年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

金融庁 政策オープンラボ TECH FORMINGチーム

  行政事務における業務効率化ツールを開発・実装し、多くの業務の効率化やワーク・ライフ・バランスの向上等を実現。捻出した時間を政策の検討等に充てることにより、若手職員の活躍を促進するとともに、より効率的な公務の実現に大きく貢献したことが認められました。

 
 
 

☆はじめに、政策オープンラボ TECH FORMINGチームではどのような取組を行っているのでしょうか。

私たちのチームは、ITの活用を通して業務手法・習慣を効率化することで、若手職員が政策の検討そのものに時間を割くことができる環境に変えていくことを目的として活動しています。最終的な目標はこのような活動を通じて、金融庁をより創造的な人材が集まる組織に変えていくことです。 当チームでは、職員全体のスキル向上とチームメンバーによる効率化事例の創出が好循環となるよう、大きく分けて次の二つの取組を進めています。
① 職員等のITリテラシー向上の取組 職員向けのプログラミング研修や外部講師によるITに関するセミナーの実施のほか、公務に関心を持つ理工系学生に向けたキャリア体験の開催等
② 時代に即した業務効率化ツールの開発 業務の効率の改善に向けたボトルネックや全庁的に共通する非効率な業務について、独自に業務効率化アプリケーションを開発・運用

 

☆チーム発足のきっかけ、業務効率化ツールの開発・活用の経緯をお聞かせください。

当チームの代表を務める職員は、採用直後から、非効率な業務手法・習慣への問題意識を強く持っていました。その後、金融庁の組織改革の一環として、職員が担当業務以外に広く金融行政に関係する課題に取り組むことが認められる「政策オープンラボ」が始動した際、プログラミングなどを通して、それらの課題を解決していくため、「TECH FORMINGチーム」を立ち上げました。 業務効率化ツールの開発・活用の経緯は、個々のツールによって異なる部分はあるものの、代表者と同様、チームメンバー各々の視点から見た強い問題意識が活動の原動力になっています。

 

☆業務効率化ツールについては、具体的にはどのようなものを開発されたのでしょうか。

国会対応に係る事務手続のペーパーレス化(国会バッジ電子管理簿システム)、法令改正を正確に行うための確認作業の一部デジタル化(法令高速読み合わせツール)、会議に出席する有識者・事務局職員双方の負担を軽減するための業務合理化(審議会日程調整効率化システム)などを行っており、霞が関の内外から様々な反響や問い合わせをいただきました。 チームには、プログラミングの経験がない職員もいますが、互いに学び合いながら、要件定義からコーディング、テスト、運用・保守まで、工程の全てをチームメンバーが行っています。また、外部との通信を要する場合などは、情報処理安全確保支援士の資格を有するメンバーが中心となり、必要に応じて担当部署と協力しながら、セキュリティの検討にも携わっています。

 

☆取組を進める上で御苦労された点をお聞かせください。

5年前にこのような活動を始めたときは、当庁では職員有志による業務効率化の前例がなく、デジタル化政策にも注目が集まる前でした。実績や信頼がない状況で新しい手法の導入を試みたところ、庁内から反対・反発の声が寄せられました。そのような中で、取組が成功したのは、プログラムやアプリケーションを実装して、効率化の効果を実際に見せることができたからだと思います。企画段階で反対されていた方も、実際にアプリケーションの動作を見ると、賛同してくださることが多かったです。 その他、ITならではの技術面での苦労もたくさんありましたが、開発したツールが数年にわたって使い続けられ、実際に若手職員の超過勤務時間を削減したり、政策に携わる時間を捻出したりできていることは大変嬉しいです。こうした取組の成果が広まることで、庁内外に同様の取組が広がり、より若い世代が革新的な取組を立ち上げようとする際の後押しになれば幸いです。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

技術発展や国際金融の新たな課題への対応など、金融庁が取り組むべき分野及び業務総量は拡大を続けています。他方で、人的なリソース総量は限られていることから、行政機能の質を維持・向上させるためには、業務のスクラップや継続的な業務効率化が求められます。 当チームはこれからも、業務効率化を通じて金融庁を魅力的な職場に深化させ、創造的な人材が集う場所とすることにより、金融行政の質を向上させてまいります。 そしてそれが、10年後、20年後に振り返ってみたときに、社会や国民生活への貢献の一助となっていれば光栄に思います。

 
▲職員向けプログラミングワークショップの様子
 

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