第36回(令和5年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

気象庁 気象大学校

  100年以上の長きにわたり気象庁職員に対して専門的な知識・技術に係る教育・研修を実施。職員の技術力・能力向上を通して、指導的な役割を果たす職員を育成し、気象業務の基盤を支えるとともに、国民の安全・安心の確保や公務の信頼の向上にも大きく貢献したことが認められました。

 
 
 

☆はじめに、気象大学校ではどのような業務を行っているのでしょうか。

高校を卒業して気象大学校学生採用試験に合格し、気象大学校学生として採用された職員に、一般教養、基礎及び専門教科、気象庁での業務を遂行するために必要な知識と技能を教授しています。また、全国の気象庁職員に対しても、現在の職階及び担当業務に応じた研修を行い、気象業務の遂行に必要な知識と技能を教授しています。

 

☆昨年、創立100年を迎えられましたが、組織のターニングポイントになった出来事があればお聞かせください。

気象大学校の前身である中央気象台附属測候技術官養成所が大正11年に設立されて以降、名称が気象技術官養成所、中央気象台研修所、気象庁研修所、気象大学校と4回にわたり変更されました。とりわけ、昭和26年の気象技術官養成所から中央気象台研修所への変更は、戦後の教育行政の整理統合に伴うもので、これにより高等教育機能が一時失われましたが、その必要性の再認識のもと、昭和34年の高等部の設置により高等教育機能は復活し、現在の気象大学校へとつながっています。 こうした変遷は、社会情勢により国の組織は変わるものの、いつの時代も、科学に基づく気象業務を担う人材が必要とされ続けてきたことの証(あかし)であり、その上に気象大学校の今があると考えています。

 

☆地震や大雨など大きな自然災害が多発する中で、気象業務の役割はますます重要になってきていると思いますが、最近特に力を入れていることはありますか。

近年の改革の取組として、教育現場へのITの導入を積極的に進めています。例えば、大学部においては学生の研究発表を全国の職場で視聴してもらい、多くの先輩職員から実際の職務経験に即した意見をもらえるようにしました。研修部においては座学講義のオンライン化や、通信教育課程にオンラインで教官がアドバイスをすることができる仕組みを導入するなど、オンライン研修の充実を図っています。このほか、力を入れていることとして、知名度向上、基礎学力の確保と新たな技術の修得のバランスの向上、ゲーム世代・スマホ世代の若者に対して魅力ある授業内容・方式の追求があります。

 

☆業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。

新入生又は研修生が気象大学校で勉学に励み、成長していく姿は頼もしく感じられ、そのような成長の瞬間を目の当たりするときにやりがいを覚えます。卒業又は修了後にそれぞれの所属官署で即戦力として活躍し、社会に貢献する姿を見るときは、教職員の間で大きな話題になることもあり、喜びを共有しています。 また、各県に所在する地方気象台は、30人程度の職員で構成されており、特に採用・異動直後の職員は周囲に同年代の顔見知りの職員が少なく、不安を感じることがありますが、気象大学校での研修は、全国の地方気象台職員が集まることから、職員間のネットワークを広げる良い機会になっています。研修期間中に専門性を向上しつつ、親睦を深め、その後も交流が続いている様子を見ると、気象大学校で研修を実施して良かったと思います。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

気象大学校は、1学年15名、全4学年で60名の学生を擁する小規模な学校です。しかし、学生及び研修生は気象に関する専門知識だけでなく、公務員としての心構え、災害の防止、質の高い気象情報を常時提供する使命感を身に付けており、卒業生及び修了生は、迅速・正確な気象情報の提供に日夜励んでいます。今後も有為な人材を育成し、皆様の安全・安心に微力ながら貢献してまいります。

 
▲気象大学校生による地上気象観測実習
 
▲職員の専門性向上に向けた研修の様子
 
▲気象大学校生による火山観測実習
 

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