第36回(令和5年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

国土交通省 九州地方整備局 
緊急災害対策派遣隊 (TEC-FORCE)

  九州地方の大規模自然災害において被災地へ職員を派遣し、応急対策を実施。記録的な大雨となった令和4年台風第14号では、河川・道路の被災状況調査にデジタル技術やドローンを積極的に活用するなど、被災地の早期復旧に大きく貢献したことが認められました。 なお、令和6年能登半島地震においても、デジタル技術を用いた被災状況調査等を行っています。

 
 
 

☆はじめに、緊急災害対策派遣隊の業務内容をお聞かせください。

緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)は、迅速に地方公共団体等への支援が行えるよう、国土交通省において平成20年4月に創設されました。隊員として、地方整備局等の職員が活動しています。 大規模自然災害が発生、又は発生するおそれがある場合には、その地域を管轄するTEC―FORCEを中心に、地方自治体からの要請等に基づき迅速に出動し、被災状況の把握、被害の発生・拡大の防止、被災地の早期復旧といった災害応急対策や、災害復旧申請、復旧工事における技術的な支援等を行っています。

 

☆緊急時の対応に備えて、日頃からどのような訓練や準備をされているのでしょうか。

九州地方は、近年、毎年のように大規模災害が発生するなど、風水害や土砂災害などの自然災害が多く、火山災害や南海トラフ地震等の発生リスクもあります。 このため、九州地方整備局では、風水害訓練や地震・津波訓練を通して、緊急時の対応に備えています。具体的には、防災ヘリコプターによる広域的な被災状況の把握や緊急輸送ルートの道路啓開調査など、タイムラインに基づいた初動対応訓練を始め、ドローンや最新のデジタル機器等の操作訓練により、TEC―FORCE隊員の災害対応力の強化に努めています。

 

☆令和4年9月の台風対応では、ドローンやデジタル技術が活用されたとのことですが、具体的な活動内容についてお聞かせください。

令和4年9月には、九州地方に観測史上4番目に大きな台風(令和4年台風第14号)が上陸し、宮崎県を中心に、河川の氾濫や土砂災害、停電(約35万戸)や孤立集落の発生など、甚大な被害が発生しました。 九州地方整備局のTEC―FORCEは、公共土木施設の被災状況の調査を行うため、宮崎県の西米良村、諸塚村、椎葉村に派遣されました。 そこでは、ドローンやスマートフォン、360度カメラなどを用いて、被災現場の全周方位の写真や動画、点群データを取得しました。また、これらのデータをインターネットにより関係機関とリアルタイムに情報共有しました。 被災直後は、山の斜面が崩壊し、道路が寸断されるなど、非常に危険で、職員が立ち入ることが困難な地域が多数ありますが、このように、デジタル技術を導入することにより、職員にとって安全で効率的な調査が可能となりました。 さらに、被災状況調査のデジタルデータを自治体に提供することで、復旧工法の検討や災害査定への活用など、自治体への充実した支援を行うことができ、被災地の早期復旧に貢献しました。

 

☆業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。

TEC―FORCEの隊員は、日頃は他の職員と同様に、河川・砂防、道路や港湾などの社会資本の整備や維持管理業務を行っています。被災地での派遣活動は、危険の伴う業務ではありますが、平時での業務を通して身に付けた専門的な技術力を大いに発揮できる場でもあります。被災自治体の要望に応え、信頼を得ながら、被災地の早期復旧という成果を上げることが、職員のモチベーションとなっています。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

近年、災害が頻発化・激甚化しており、大規模災害が、いつ、どこで、発生するか分からない状況です。 TEC―FORCEは、現場力を最大限に発揮して、被災地に寄り沿った支援ができるように取り組んでまいります。 国民の皆様におかれましても、ハザードマップや避難所の確認など、日頃から災害への備えをお願いいたします。

 
▲被災地に向かう隊員の出発式の様子
 
▲被災状況調査の様子
 
▲排水ポンプ車による緊急排水の様子
 

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