第34回(令和3年) 人事院総裁賞「職域部門」受賞

農林水産省 大臣官房 新型コロナ現地支援チーム

  新型コロナウイルス感染症への対応において、中国からのチャーター機による帰国者やクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」からの下船者の不安や負担を軽減するため、昼夜を問わず食料調達、環境整備、連絡調整等の様々な支援に尽力し、公務の信頼を高めることに貢献したことが認められました。

 
 
 
 

☆はじめに、大臣官房新型コロナ現地支援チームではどのような業務を行っていたのでしょうか。

新型コロナウイルスへの対応に関して、令和二年一月の終わりから二月にかけてチャーター機で中国から帰国された方々や、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客・乗員の一部の方々に対する経過観察が、政府が準備した宿泊施設で行われることとなりました。
 内閣官房を中心に、各府省から応援を得て施設を運営することとなり、農林水産省も新型コロナ現地支援チームを税務大学校(埼玉県和光市)等七か所の施設に派遣し、食料・食事支援等の生活支援に当たりました。

 

☆経過観察期間中の生活支援について、特に御苦労の多かった点や御留意されていた点をお聞かせください。

最初から明確な役割分担が決まっていたわけではありませんが、自然災害による災害避難者への生活支援の枠組で考えて、当チームが食料支援の担当になりました。しかし、災害による避難生活と感染症を想定した経過観察では状況が大きく違っていました。
 被災者と異なり、経過観察者は感染への不安を抱えて孤立した環境で時日の経過を待ちます。手慣れた食料のプッシュ型支援はすぐに行き詰まりました。食事は、人との交流が難しい環境ではほとんど唯一の楽しみです。感染防止のため経過観察者と直接話せない中でどのようにニーズを把握すれば良いのか。食料を取りに来られない経過観察者にどうやって届ければ良いのか。手探りでの対応が必要でした。
 食料の配布から食事の提供に発想を切り替え、朝昼夕トータルで考えてバラエティ豊かで栄養バランスがとれた献立を組み立て、自衛隊の御協力を得て温かいまま部屋の前まで配膳する流れを現場で組み立てました(この手法を、当時リネン室を事務室としていたことにちなみ、「リネン室方式」と呼んでいました。)。
 内線で要望を聴き取り、アンケートを回収して、アレルギーの配慮が必要な方、ベビーフードや幼児のお菓子、サラダの要望を把握しました。省の生産担当課は果物を確保して届けてくれました。食事だけではなく、加湿器や買物代行等の要望もお聴きしました。発注数や配送時間にミスがないよう、業者との交渉・調整は細心の注意を払いました。
 また、食事提供に舵を切ったとき、発注済みの弁当が何食分かあったのですが、無駄にならないように農林水産省本省や関東農政局の職員が買い取ることで速やかに方向転換ができました。数食分購入した職員が、冷たい弁当が数食続くことの辛さを体感できたのも貴重な経験でした。

 

☆業務を通じてやりがいを感じられるのは、どのようなことでしょうか。

当チームには、各局庁から様々な専門知識・経験を持つ職員が集められました。しかし、今般の業務は初めての経験で、チーム員一人一人現場で発生する様々な出来事への柔軟な対応が求められました。
 食事の提供には計画し発注してから届けられるまでのリードタイムが必要になるのですが、滞在者の人数が刻一刻と変わり、用意した食事が足りなかったときの焦燥感。早朝に到着を手配したものの手違いで協力くださった自衛隊の方々を待ちぼうけさせてしまったときの申し訳なさ。そして、当時は全く未知の感染症を警戒しながらの慣れない環境での泊まり込みの業務。そのような経験の記憶を上書きしてくれるのは、食事の食べ残しが段々減ってくる手応えと、「食事のメニューや手配の大変さに対して、感謝する気持ちでいっぱいです」、「健康的なメニュー選定にとても感謝しています」といった、しばしばいただく滞在者からのお礼の言葉やお手紙でした。
 滞在者を支えるという一点において無我夢中でしたが、届いたと感じたことを思い出します。。

 

☆今後の業務への抱負をお聞かせください。

今般の業務は、農林水産省職員として大切にしている「現場主義」の実践の場であったと思います。
本チームは、既にその任務を終え、解散しておりますが、チーム員だけでなく、後方支援に当たった農林水産省全体としても貴重な経験となりました。今後とも、あらゆる部署において、国民の皆さまの期待に応える農林水産行政を推進してまいります。

 

☆最後に、国民の皆様へメッセージをお願いします。

経過観察者への生活支援は、内閣官房を中心に各府省から応援を得て行われたものです。業務が円滑に行われたことは、様々な府省の方々の尽力によるものであったことを覚えていただけますと幸いです。
 今後も、政府の一員としての農林水産省職員に、変わらない熱い期待をかけ続けてくださるようにお願い申し上げます。

 
▲子どものプレイルームに提供
 
▲問い合わせ対応の様子
 
▲栄養バランスに配慮した食事の例
 
 
 

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