第1編 人事行政

第1部 人事行政この1年の主な動き

第3章 良好な勤務環境の整備

1 長時間労働の是正

国家公務員の超過勤務については、平成31年4月から、規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)により、超過勤務を命ずることができる上限を設定している。ただし、大規模災害への対処等の重要な業務であって特に緊急に処理することを要する業務(以下「特例業務」という。)に従事する職員に対しては、上限を超えて超過勤務を命ずることができるが、その場合には、各省各庁の長は、当該超過勤務に係る要因の整理、分析及び検証を行わなければならないこととしている。

各府省において上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員について、令和2年度の状況を人事院が把握したところ、その状況は表1から表3のとおりである。他律的業務の比重の高い部署(以下「他律部署」という。)では13.6%、他律部署以外の部署(以下「自律部署」という。)では7.0%であった。このうち、本府省の他律部署においては25.2%が上限を超えて超過勤務を命ぜられており、上限の基準別では、1箇月について100時間未満の上限を超えた職員が13.8%、2箇月から6箇月の平均で80時間以下の上限を超えた職員が18.1%となっていた。

表1 上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合(他律部署)
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表2 上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合(自律部署)
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表3 他律部署の指定状況(令和2年度)
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上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員が従事した主な特例業務としては、大規模災害への対処、重要な政策に関する法律の立案、他国又は国際機関との重要な交渉のほか、新型コロナウイルス感染症対策関連業務(国民の感染防止、事業者支援対策等)、予算・会計関係業務、人事・給与関係業務、国会対応業務等があった。

特に、令和2年度においては、年間を通じて新型コロナウイルス感染症対策関連業務が発生していたこと等により、令和元年度よりも上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員が増加している。

人事院としては、各府省に対し、特例業務の範囲や、他律部署の指定の考え方について統一が図られるよう指導を行うとともに、月100時間以上等の長時間の超過勤務を行う職員に対する医師の面接指導を徹底すること、上限超えを回避するために業務分担や人員配置の見直しに取り組むこと等について指導を行った。

令和3年8月10日の人事院勧告時の報告においては、各府省において業務の合理化等を行った上で業務量に応じた要員が確保される必要があることについて指摘するとともに、国会対応業務の改善を通じた国家公務員の超過勤務の縮減について、国会等の一層の理解と協力を求めており、これに基づき関係方面への働きかけを行った。

令和4年度からは、超過勤務の縮減に向けた指導を徹底するため、勤務時間調査・指導室を新設し、各府省における制度の運用状況をよりきめ細かく把握して、必要な助言・指導を行うこととしている。

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