今回の調査対象民間企業で年齢構成の偏りに対応して行われている特徴的な取組として、次が挙げられる。なお、これらは一つの取組だけで十分な効果が上がるものでなく、並行して複数の取組が行われていることに留意する必要がある。
(人材確保)
- ア 入口(採用)で年齢構成の偏りを生じさせないよう、中・長期的見通しを踏まえた長期採用計画を策定し、毎年の採用者数を平準化している。
- イ 長期的な採用見通しに変更が生じた場合など従業員数が不足する年齢層が生じた場合には、中途採用を積極的に活用している。
- ウ 中途採用だけでは必ずしも十分な数の採用を行えない場合もあるため、例えば、地域限定型従業員として採用した女性従業員のうち意欲と能力のある者の管理職への登用、非正規従業員の正規従業員への転換のための試験(学科試験→部内面接→部内推薦→本社面接)なども行われている。
(人事管理や人材育成)
- エ 登用に当たって従業員に求められる語学能力やキャリアパスの開示(「見える化」)や業務・スキルのマニュアル化により、従業員自身による自己啓発の取組の向上が図られている。
- オ ライン職種以外の高度専門職等の役職を新設して複線型の人事管理を導入することにより、管理職にならない層のモチベーションの維持が図られている。
(60歳超の従業員の活用とモチベーション維持)
- カ 労働力人口が減少する中、60歳超の従業員には、知識・経験をいかした高いパフォーマンスはもとより、後輩への知識・経験の継承など多くのことが期待されており、再雇用後のモチベーションを維持するため、再雇用時の配置予定部門への退職前の配置換、研修等による再雇用後の役割転換に係る理解促進、再雇用後の勤務成績の処遇への反映などが行われている。