第1編 人事行政

第2部 風通しのよい職場環境づくりに向けて〜職員の声から見える公務職場の実情を踏まえて〜

第1章 苦情相談の現状

第3節 苦情相談内容の全般的な傾向

人事院に寄せられた苦情相談は、相談の主たる内容に着目し、内容区分別に分類している。具体的には、転任・配置換、辞職などの「任用関係」、給与の決定、諸手当制度(扶養手当、通勤手当等)の運用などの「給与関係」、勤務時間の割振り、休暇の取得などの「勤務時間・休暇・服務等関係」、職場環境、病気休暇からの復帰などの「健康安全等関係」があり、人事評価制度・手続、人事評価結果、人事評価結果の任用・給与等への反映については「人事評価関係」と分類している。また、いわゆるハラスメント関係として「セクシュアル・ハラスメント」、「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント」、「パワー・ハラスメント」があり、それ以外のいじめ・嫌がらせとして「パワハラ以外のいじめ・嫌がらせ」がある。これらのいずれにも当てはまらないものについては、「その他」としている。

ここでは、平成20年度及び平成26年度から平成30年度までの苦情相談の内容区分別総件数の推移[図1−4参照]を基に苦情相談の全般的な傾向を見ていきたい。

まず、平成20年度の内訳を見ると、「任用関係」が約22%と最も多く、次いで「勤務時間・休暇・服務等関係」が約19%、「パワー・ハラスメント」が約14%となっており、ハラスメント関係の件数を合わせた割合は、20%に満たないものとなっている。

他方、平成26年度から平成30年度までの内訳を見ると、各年度を通じて「パワー・ハラスメント」が最も多く、各年度とも全体の25%前後を占めており、ハラスメント関係の件数を合わせた割合で見ると20%台後半で推移している。このほか、「任用関係」及び「勤務時間・休暇・服務等関係」が10%台の半ばから20%程度、「健康安全等関係」が10%台前半の順で推移している。また、非常勤職員についても、ハラスメント関係や任用関係の相談が多くなっている。

平成20年度に比べ、近年、ハラスメント関係の相談の割合が高くなっているのは、ハラスメントという言葉の認知度が高まり一般に浸透してきていること、相談内容が個人のプライバシーに関わる問題もあることから、自府省ではなく中立・第三者機関である人事院への相談を選ぶ場合も増えていると思われることなど幾つかの要因が考えられる。パワー・ハラスメント(以下「パワハラ」という。)については、平成29年度意識調査において、約6割の30代職員が「理不尽な指示をされた」、「大声で叱責された」、「能力を否定された」などといった上司からの厳しい指導を受けたとし、このうち95.2%の職員が「パワハラと感じた」、「パワハラとまでは言わないが不満を感じた」と回答しており、こうしたことも相談が増加している背景にあるのではないかと思われる。

このほか、近年は、働き方などに対する価値観の多様化や、仕事と育児や介護といった家庭生活の両立、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」に対する意識が高まっており、平成29年度意識調査においても、30代職員の仕事に対するモチベーションを特に低下させたことがあるものとして、「業務多忙や長時間勤務等によりワーク・ライフ・バランスが保てないこと」と回答した者が最も多く、約半数を占めている。苦情相談においても、そのような多様な事情を抱える職員からの、仕事と家庭生活の両立に関連した、育児や介護中の職員の転任・配置換に関する相談や、育児時間・介護休暇等の制度の運用、取得に際しての業務遂行上の相談、上司・同僚との関係に関する相談のほか、厳しい人員の状況等を背景とした業務多忙や超過勤務に関する相談が寄せられていることもあって、「任用関係」、「勤務時間・休暇・服務等関係」の割合も高くなっており、特に、「勤務時間・休暇・服務等関係」については、平成30年度には全体の20%を超える状況となっている。

図1−4 苦情相談の内容区分別総件数の推移
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