第2編 国家公務員倫理審査会の業務

第1章 職員の倫理意識のかん養及び倫理的な組織風土の構築

2 倫理的な組織風土の構築

倫理保持の徹底を図るためには、職員一人ひとりの倫理意識をかん養するだけでなく、各職場において倫理的な組織風土を構築していくことが極めて重要であり、各府省等に対して、上述した懇談会や会議、国家公務員倫理週間などの機会を通じて、相談・通報窓口の体制整備や周知の要請など、具体的な取組を要請した。

また、倫理的な組織風土を構築する観点からは、相談・通報の仕組みを整備し、それが利用されることも重要となる。これらの整備・活用は、その組織が倫理保持を重視していることを示すことになるだけでなく、違反行為に対し早期に認識・対処することで事態の深刻化を防ぐことにもつながるものである。相談・通報の活用促進のため、平成30年度においては、次の(1)〜(3)の業務を実施した。

(1)相談・通報窓口の体制整備

現在、公務員倫理に関する相談・通報窓口として、倫理審査会が設置する「公務員倫理ホットライン」及び各府省等が設置する窓口があり、後者については、各府省等が組織内に設置するもの(内部窓口)と組織外に弁護士事務所等を活用して設置するもの(外部窓口)とがある。内部窓口は全ての府省等において人事担当部局などに整備されているが、外部窓口は未整備の府省等も見られるところである。外部窓口の設置には、組織外部に窓口が存在することにより組織内の緊張感が高まり、違反を抑止することが期待できるほか、窓口利用者の意向やその者が置かれた状況等に応じて窓口を選択することが可能となり、利用者の利便性を高め、相談・通報の活用促進につながるといった意義がある。そこで、倫理審査会事務局から未設置の府省等に対して、外部窓口の意義や設置に向けての助言を行いつつ個別に設置を求めた結果、平成30年度には2府省等が外部窓口を新設し、倫理監督官を置く48府省等のうち45府省等が設置している状況となった。

(2)相談・通報窓口の周知

(1)で述べたとおり相談・通報窓口の体制整備は進んでいるが、職員に対するアンケート結果によると相談・通報窓口の存在を知らない職員も依然として一定数存在することから、相談・通報窓口の一層の周知に取り組んだ。具体的には、国家公務員倫理週間の時期に合わせて作成している職員向けパンフレットに倫理審査会が設置している公務員倫理ホットラインの連絡先及び各府省等が設置する相談・通報窓口の内部窓口及び外部窓口(設置している府省等のみ)の連絡先を記載する欄を設け、各府省等が当該欄に必要事項を記載した上で職員に周知することとした。また、各府省等の相談・通報窓口の連絡先を倫理週間終了後においてもイントラネット等に掲載しておくことなど、これら窓口の周知を恒常的に行うよう要請した。

また、相談・通報したことにより不利益な取扱いを受けるおそれがあるのではないかなど、相談・通報に対して懸念を持つ職員もいるため、相談・通報窓口を周知する際には、相談・通報者が不利益な取扱いを受けないよう万全を期していること、匿名による相談・通報も受け付けていること、通報後の流れなども併せて周知するとともに、各府省等に対してこれらの事項を周知するよう要請した。

公務員倫理ホットライン
研修教材やパンフレット等に掲載している公務員倫理ホットラインの周知記事

(3)相談しやすい職場環境の構築

職員を対象とするアンケート結果を見ると、約7割の職員が倫理法・倫理規程に違反すると疑われる行為を見聞きした場合には、上司など職場の他の職員に相談すると回答している。このように、倫理法等違反といえるか必ずしも判然としなくとも疑義が生じた際に職員が相談することは、違反行為の未然防止や事態の深刻化の抑止につながるものである。

そこで、公務員倫理セミナーなど倫理審査会が行う研修・啓発活動において、相談等の重要性を強調するとともに、官房長等との懇談会や地方機関の長等との懇談会、倫理事務担当者向けの倫理制度説明会等の機会を捉え、各組織の窓口においてこうした相談等も受け付けていることを周知すること、相談しやすい職場環境を構築することなどを促した。